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社会の中で生きるストレスで心がボロボロになってしまった時、みなさんはどのようにストレスを発散していますか?心が壊れるまでストレスを抱え込まないために、それぞれにストレスの発散方法があると思います。今回は、ストレスに対するヨガ的なアプローチを考えてみます。
ストレスを溜め込まず、心にスペースをつくるには
精神的に苦しいときの対処法には様々なものがあります。ストレスの吐き出し方を考えてみましょう。
言葉に出して、ゆとりをつくる
ストレス発散の一般的な方法として、友達同士で愚痴を聞きあうというのを日常的に行っている人が多いのではないでしょうか。特に女性は、解決策のアドバイスが欲しいわけではなく、ただ聞いて共感してもらえると気持ちがスッキリしやすい方が多いです。
これは自分の心の内(ストレス)を、友達や家族に聞いてもらい、自分の心の中をスッキリさせる方法です。お互いに苦手な人の悪口を言ったり、将来の不安や悩みを吐き出し合って、心の中のゴミを捨てているのですね。
それでも対処しきれない時には、カウンセラーに話を聞いてもらいます。カウンセリングの主な技法には、傾聴や承認があります。傾聴では、カウンセラーは自分の意見を挟まず、ひたすら患者の話を「うなづき」や「あいづち」を行いながら聞き、さらに質問で、患者自身の心に徹底的に向き合います。もちろん、カウンセラーからの助言もありますが、一般的にはアドバイス程度にとどまり、患者に義務感を与えないようにします。
クリシュナのような凄腕カウンセラーに相談
バガヴァッド・ギーターの第一章を読んでみて下さい。この章では、クリシュナは全く自分の意見を言いません。主人公のアルジュナは、自分に与えられた試練によるプレッシャーとストレスで心の中が苦悩でいっぱいになってしまいました。その時、先生であるクリシュナは、ひたすらアルジュナの言葉に耳を傾けます。
精神的な苦痛で頭がいっぱいになってしまっている時には、新しい考え方を受け入れる余裕がありません。まずは、心の中にスペースを作り出すことが大切です。
ストレスの原因を解決しない限り、ストレスを捨てても、また新しいストレスが生まれてしまいます。しかし、解決するためには、まずは一旦新しい考え方を受け入れるための心のスペースを作りましょう。
その一環として、じぶんでは対処できそうにないときにはクリシュナのように、すべてを受け入れてくれるようなカウンセラーに相談してみるのもおすすめです。
身体に異変が起こるようなストレスは要注意
精神的なストレスが深刻になってくると、身体にも異変が起きてきます。
バガヴァッド・ギーターの第一章で戦いを目の前にしたアルジュナは、四肢が沈み込み、口が渇いて、身体が震えます。また鳥肌が立ち、持っていた弓が手から落ち、皮膚が焼かれるような感覚を覚えます。
ストレスによって体調を崩す経験は多くの人が体験しています。緊張で胃が痛くなったり、便秘や下痢、または眠れなくなったり、ショックが大きいと血の気が引いて立ち眩みを起こす場合もあります。人によっては皮膚に発疹がでたり生理不順になる場合もありますね。
敏感になり過ぎるのもよくはありませんが、自分の身体からのサインには出来るだけ気が付いてあげたいです。
ストレスから身を守る、セルフケアも身につけよう
人に聞いてもらうのもいい方法ですが、常に自分の心のゴミを人に押し付け続けることもできません。自分自身で行えるメソッドも取り入れられると良いです。
ストレスを弱めるためには、抽象的な悩みを客観視して、整理整頓することがとても大切。
紙に書き出して悩みを整理整頓
心の中のモヤモヤは、抽象的なほど解決が難しいです。心が苦しいと思うときには、問題を具体化することがとても大切です。主観的・感情的になり過ぎているときも、客観的になることで冷静さを取り戻せます。
手順1:ストレスが大きい順にストレスの原因を書き出してみる
まずは大きいものから書いて、思いつく限り細かいものまで書いてみましょう。
- 仕事に行きたくない
- 上司を見ると、それだけでイライラして動悸がする
- 上司が細かいミスをネチネチと注意するのが嫌だ
- 上司がマグカップを乱暴に机に置くときの音が嫌だ
- 嫌なことを嫌だと言えない
など、まずは「仕事に行きたくない」という大きな悩みから、なぜ行きたくないのか細かく考えます。
手順2:どうなったらストレスがなくなるのか考えて書き出す
- いったん鬱が治まるまで休養してみる
- 上司が移動になって欲しい
- 怒られるごとにストレス手当で5,000円もらえたら我慢できる
- オフィスに行くだけで動機がするからリモートワークしたい
- もう一生働かずに生きたい
→1週間休んでも、また仕事に戻ったら元に戻ってしまうかも
→これもあり得ないけど…
→そんなの無理。専業主婦になる?いや、無理だな。宝くじ買おうかな。
絶対に無理!と思うような内容でも大丈夫です。こうなったら自分のストレスが減ると思われる方法を想像してみましょう。深堀りしていると、思わぬアイディアが生まれてくるかもしれません。
手順3: 自分にできることがあるか考える
- 嫌なことを直接上司に言ってみる。面と向かっては無理だからメールで。
- 仕事を辞める。
- 文句言われないくらい成果を出す
- 思い切って有休をとって旅行に行く・同僚を誘って飲みに行って愚痴る
実際には行動できないことでも大丈夫です。あらゆる可能性を書き出してみましょう。例えば、上司に直接文句を言うなんて絶対無理!と思っていても、「怒らせないで伝える言い方ないかな?」と想像を続けていると、「今なら言える!」というタイミングが突然訪れることがあります。初めから無理だと思い込んでいたら見えなかったチャンスに気が付きやすくなります。
インドではロボットに悩みを聞いてもらう人も続出
2020年は新型コロナウイルスの影響で、世界中の人が将来に対する不安を抱き、精神的な問題を抱えています。そんな中行われたOracle’s 2020 AI@Work調査によると、インドの労働者の92%は職場の人事部や産業医よりも、ロボットにメンタルヘルスの相談をしたいという回答がありました。世界的な平均値(68%)よりもとても高い数値です。
ロボットによるメンタルヘルスケアの最大の強みは、徹底的に客観視して問題に向き合えることです。主観的になってしまっている時には、抜け道はないと思い込んでしまいがち。
こちらは、人に愚痴を聞いてもらうよりも、具体的な解決策を求めてのアプローチなので、より意義があると考えられるのかもしれません。
最終的な目標はストレスの発散ではなく、ストレスを生まないこと
ヨガの目標は、生まれてしまったストレスを捨てることではなくて、そもそも苦しみを生みださない生き方にシフトすることです。
そのための方法は『ヨガ・スートラ』の八支則などで説かれています。しかし、新しい考え方を受け入れるためには、いったん自分の心の中にスペースを作る必要があります。
どれだけ素晴らしいアイディアがあったとしても、すでに心が飽和状態であれば、現状を維持するだけで精一杯になってしまいます。今回は、自分の心に生まれたストレスをどのように吐き出すかについてご紹介しました。
日頃から心の中を整理整頓して、スペースを作ることで、自分の生活がより良いものとなるアイディアをもっと取り入れやすくなります。