人の見た目に現れるもの
「人は見た目が9割」という言葉が流行ったのを覚えているだろうか? この言葉、実はとても深い。確かに人は見た目から入るのだが、見た目には内面が現れてしまうからだ。ウキウキしている時、心配事がある時、ふてくされている時…他人が見ても、「ああ」とわかることは多いのではないだろうか。
だからといって、いつも笑顔でいればいいかというとそうでもない。絶対に、笑顔でいることに疲れてしまうから。心と体が一致していない時、それが一番美しくないのだ。
『ギーター』が教えてくれる
今回は、『バガヴァッドギーター』から、普遍的な美しさを磨き上げるための詩節をいくつか紹介しよう。言葉が心に響く時、その響きによって細胞が振動し、きれいに整列し始める。それは詰まりを取って流れをよくし、浄化していく。
2章47節
キミには定められた義務を行う権利はあっても
行為の結果についてはどうする権利も持たない
自分が行為するのではない
自分が行為すると考えないからといって怠惰にならない
解説:やるなら“今でしょ!”とやってみる。重いが喜びに満ちていれば、心配や不安の入る余裕はない。喜びは老いを遠ざけてくれる。
2章22節
人は古くなった衣服を捨て
新しい別の服に着替えるように
魂は古くなった体を脱ぎ新しい体を着る
解説:肉体には寿命があるが、肉体の持ち主である魂は決して老いることはなく、朽ちることもない。過去でも未来でもなく、今を生きよう。
6章9節
自分に好意をよせるものも冷淡なものも
友人も敵も嫉妬深いものも
修道者も罪人も どこにも属さない人も
みな平等に観る人は誠に進歩している
解説:今存在しているものはそのままで価値がある。何かの基準で価値は計れない。“置かれたところで咲きなさい”ということ。
2章48節
義務を忠実に行い
成功と失敗を等しいものと見て
あらゆる執着を捨てよ
このような心の平静をヨーガという
解説:努力を否定しているのではない。悔やんだり、結果に縛られ、心まで不自由にしないこと。
6章17節
食べること 眠ること 仕事をすること
また休養や娯楽についても
節度ある習慣を持てば ヨーガの実修で
物質的な苦悩を除くことができる
解説:節度を守ろう。何でも頑張りすぎること、すぐ諦めること、面倒くさいからと言って実修を怠けることは老け込みやすい習慣に。
6章5節
人は自分の心で自分を向上させ
決して下落させてはならない
心は自分にとっての友であり
また同時に敵でもある
解説:加齢を敵とすることは、実は自分自身を敵としてしまうこと。心の中の戦いことが本当の敵。外に見ていた敵は実は自分の心の映し。
出典:『Yogini』Vol.44
話してくれた人:西川眞知子
ゼロサイト代表。ヨガとアーユルヴェーダの融合を図り、誰でも簡単に生活に取り入れられるシステムを開発。『バガヴァッドギーター』は座右の書。