特別ではなく日常に
真面目な日本人は、いわゆるヨガ的な生活、アーユルヴェーダ的な生活をしようと意気込むと、その「形」を実践することに必死になってしまう傾向がある。
もちろん、ヨガやアーユルヴェーダを学ぶ上で「伝統を重んじ、古典に忠実に学ぶ」ということはとても大切なこと。しかし、インドの南東に位置する仏教国スリランカのように、自国の文化や宗教に合わせて、独自のアーユルヴェーダの発展を遂げてきた国もある。
アーユルヴェーダでは“バランスを取る“ということが何よりも重要。バランスが乱れることによって生じた心と体の未消化物が不調につながり、豊かな人生が阻害されてしまうと考えられているのだ。
だからこそ「形」に固執しすぎず、その土地に合わせた生活をするということをとても大切にしている。年末年始の連休を使って、日常から離れて心と体をリセットするのはとてもいいことだが、年末年始ならではの日本の文化や習わしに合わせた生活の中で、積極的にアーユルヴェーダを取り入れてみては?
年末年始のアーユルヴェーダ的過ごし方
年末年始はイベントが続き、酒や肉を食べる機会が増える傾向にある。アーユルヴェーダは医学の立場を取っており、宗教的な戒律はない。肉も酒も、すべてはエネルギーとしてみなされ、体に入った時その性質の影響を受けると考える。
初冬の時期は、アグニ(消化の火)がとても強いため、適切な時間に十分な量を食べることを心がけたい。脂を含む魚介類や湿地の動物の肉を使った、酸味、塩味を利かせたスープや酒ではワインがオススメだ。
適切な時間に関しては、消化力が最も高まるお昼が理想。その時の消化力に合わせた食事をするという意味で、暴飲暴食や遅い時間帯に消化に重い食事をすることは避けたい。
体の声を聞き自分の消化力と相談しながら適切な時間に食事を楽しもう。
-Recipe-
「ギーとクミンの香るオニオンスープ」
年末年始は暴飲暴食になりがち。今回は手軽にでき、疲れた胃に優しく、アグニを回復させてくれるオニオンスープのレシピを紹介する。
自然な甘味を生かしたスープで、タマネギはよく炒めることで甘味に変わって安定感を与えてくれる。クミンとギー(インドの精製バター)は消化力を上げ、Vataを整える。
材料
・タマネギ(スライス) 200g
・水 400g
・ギー(なければバター) 10g
・クミンシード 小さじ1/2
・塩 適量(小さじ1と1/2程度)
作り方
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鍋にギーをひき、クミンを入れ焦がさないように香りを立てる(弱火)。
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香りがたったら薄くスライスしたタマネギを入れ、じっくり炒める。
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タマネギが黄金色になるまで炒めたら水を入れ、トロトロになるまで煮込む。
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塩で味を整えて完成。
写真・文=Kazuya(冨岡和也)
料理人、フードコーディネーター、栄養士、インド政府機関認定アーユルヴェーダセラピスト。食のアトリエ『Natural Lifestyle』代表。 instagram: @kazuya_naturallifestyle