新しい年の始まりである1月には、沢山の方がその年の抱負を考えます。
筆者はヨガの聖地であるリシケシにて年を越して、自身のグル(師)と一緒に自身のヨガについて向き合う時間を過ごさせていただきました。
以前オンラインでインタビューさせていただいた記事はこちら。
今回は、リシケシで長い年月ヨガを指導されているスニール先生に、ヨガ実践者にとっての正しいサンカルパ(誓い)の見つけ方を教えていただきました。
オンラインではいつもお会いしていますが、やはり直接お会いできるのは違った感覚です。今日本の生徒さんたちからも頂いている質問についてお聞きしたくて、今回インタビューをお願いしました。
よろしくお願いします!
新年の抱負とサンカルパの違い
同じように、ヨガ実践者はサンカルパ(誓い)を決めて、それを実践しています。
人生の目標、一年の目標、そしてヨガのサンカルパの違いは何でしょう?
外の世界には沢山のことが起きているよね、それによって人は作り出された意識を築いてしまっているんだよ。自分の意識には、自身の意識と外部に作られた意識があることを知っておこう。
自分で決めたと思っていることの多くが、実は周りの人たちに作られたものだったりするんだ。ソーシャルメディアや友達、テレビ、新聞、家族、それらが君の中に情報を植え付けているよね。
その情報によって、多くの人は「自分はこれがしたい」と願望を作り出す。これがサンカルパと普通の願いの違いだよ。
例えば、Facebookを開いてみてごらん!色々なトレンドがあって「私はもっと自分を愛する」とか「もっと旅行をする」とか、それらにイメージを添えて投稿できるようになっているんだ。
だけど、投稿した君は本当に自分がそれを望んでいるか分からないよね。たまたまその言葉が目についたから、選んだだけ。
例えば、私が「5キロ痩せたい!」と毎年願っていたら、それは自分の本当の願いだと思い込んでしまいます。
それって自分自身の願いか、外的な願いか、どうやったら判断することができますか?
そうすると、多くの願望は思考の作り出したものだと気が付くことができる。
しかし、純粋なヨガ的な願いは、思考の副産物ではいけないのだよ。思考は常に変わってしまうからね。
自分のコアの声を聞いて得られる願いは、続くもの、真実であって、変りがないものなんだ。
一瞬の思考が静まった状態、完全な寂静から生まれる願い。そういった願いは、人生でずっと抱き続けることができる。迷いもない。
たった一瞬の静けさに到達したことで、それを知って、従うことができる。
もしも、そのコアの部分、静けさに到達することができれば、自分のサンカルパを初めて決めることができるのじゃないかな。
それは1日で見つける必要はない。1か月かかるかもしれないし、1月1日元旦じゃなくてもいいじゃないか。
「私は、本当に本当にそれを望んでいるの?」
そうしたら、君の言語、表現で決めなさい。決めたら、そこに向かって練習を続けなさい。
粗いサンカルパと深いサンカルパ
例えば「5キロ瘦せる」という願いであれば、それは一生キープできない願いですが、一生変わらないサンカルパってどのようなものなのでしょうか?
本当の願いを決める一つの方法として、まずは今のサンカルパで実践してみるといい。そうすれば何らかの経験を得ることができる。
それを何年かやれば、毎年違う願いが現れて、これらの願いは自分の真の願いでないと知ることができる。そうやって、小さなサンカルパから徐々に実践を深めていくのも1つの方法。
もしくは、最初に小さなサンカルパを設定したら「この願いが叶った後に私は何を望むのだろう?」と考えてみること。
それを繰り返して「これが最終的な私の望み?」と自問し続けてみよう。
この方法でも、答えに到達することができるよ。
ヨガ哲学的なサンカルパを知る
それらの哲学によると、究極の願いとは「苦悩からの解放」。そして、永遠の歓びであるアーナンダを経験すること。それがゴールっていうこともできるね。
その他の願いは、最終的な願いへの階段なんだ。
その解釈で問題ないですか?
究極のゴールも、違う言葉で表現できるだろうね。
ある人は「愛を経験すること」と言うだろうし、経験によってブッダ、パタンジャリ(ヨガ・スートラの編者)、マハヴィーラ(ジャイナ教の聖者)、みんな違う道を見つけたけれど、究極のところ、同じゴールにたどり着いているよね。
だから、誰かが「痩せたい!」と願っても、間違いじゃないかもしれないね(笑)
分かりやすくサンカルパについて教えて頂きました。
究極のゴールは「永遠の幸せ(アーナンダ)」ですが、どうやってそこに向かうのか……焦らずに、じっくりと時間をかけて自身のサンカルパに向き合いたいと感じました。