新しい年が明けても、新型コロナウイルスへの不安はぬぐえず、対面での仕事が中心となる多くのヨガインストラクターの方からの不安な声が耳に届きます。
聖地リシケシを拠点にヨガの指導をされているスニール先生は、オンラインで世界中のヨガインストラクターの人への指導を続けていらっしゃいます。
今回は、ヨガ的な不安との向き合い方についてお話を聞いてみました。
大切なのは、不安に向き合って受け入れること
ヨガの先生にとっては苦しい時期だと思います。リシケシでは毎年訪れていた多くの外国人生徒が姿を消して、日本でもヨガスタジオを満足に稼働することができません。
この状況で、それぞれのヨガの先生も不安と向き合う方法について考えていると思います。ヨガが心理的な苦悩にどのように働くのかを教えて頂けますか?
パンデミックによって良い側面もあったことは認めよう。例えば、オンライン・ヨガの普及であったり。人々が考え方を変えるきっかけになって、素晴らしいものが生まれた。
自分の家に練習のスペースを見つけて、自分の練習を行うのと同時に指導もできるのだから。生活スタイルや環境の問題で、今までヨガのクラスになかなか来れない人も参加できるようになった。先生にも生徒にも利点はあっただろう。
そして、不安と緊張。確かに不安は高まってしまったね。だからこそ、今がそれに向き合う時期だよ。今なら時間があるでしょ。忙しく生活をしている時には、私たちは不安に向き合えていないのだから。
今それが視覚化されたのなら、向き合う良い時期なのでしょう。
不安と向き合うためのヨガ的なプロセスとは
例えば、アーサナの練習の時に恐れについては考えてはいないですよね?自分の身体や呼吸に意識を向けていると思います。
例えば感情が高まって涙を流す人もいるし、様々な形で感覚が現れてくる。そうしたら、現れた感覚にフタをしないこと。それをしっかりと観察して深めて。
その後で、開放感を感じることができるから。心が自由になるんだ。
大切なのは、現れたものを拒絶しないで、認めて、そこにとどまること。それが君の助けになるから。
ただ気づいて、ただ向き合うだけ。特別なことをしようとしなくていい。
身体に意識を向けて、そこにあるストレスに向き合うこと。この世には一生続くストレスはないから、そこに向き合っていれば自然と不快感は消えていくんだ。
その時、同じように心の不安も自然に手放せるものだと気が付く。
その時、身体と同時に心の快適さも得られるから、アーサナだけで人は自由になれる。ということでしょうか?
宗教ではないバクティ・ヨガによって解放
例えば君がフルートを演奏している時には思考は働いていないけれど、心で感じたものを演奏しているだろ。どのようなマントラでも、楽器の演奏でも、音は、心の中のスペースを開くのに有効なんだ。
クリシュナやシヴァといった神に捧げてもいいけれど、そうでなくてもいい。音楽も一つのバクティ・ヨガの形だよ。
バクティ・ヨガの目的である慈悲や愛の感情に繋がること、それが音楽でも叶う。
マントラでも、音楽でも、効果を得るためにはどれだけ自分の意識をそこに繋げることができるかが大切と言えそうですね。
不安がある時には、心の働きが忙しくなりがち。そういった時こそ、音に心を預ける時間の大切さを感じました。