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国によって異なるアーユルヴェーダ
ヨガをしている人にはおなじみのアーユルヴェーダだが、最近はヨガ業界に限らず、美容、スパ、リゾート、レストラン、カフェなどでも「アーユルヴェーダ」という言葉を耳にする機会が増えてきた。
アーユルヴェーダと言うとインドのイメージが強いが、実はスリランカでもアーユルヴェーダは人々の暮らしに身近なもの。
スリランカとはインドの下にある小さな島国で、「インド洋の涙」や「インド洋の真珠」とも言われている。栃木県ほどの大きさながら、世界遺産が8個もあることで知られている。さらに空港からアクセスのいいぜいたくなスパやリゾート施設での充実したセラピー、仏教国であるがゆえの文化の親しみやすさなどが特徴で、旅行者の満足度が高い魅力いっぱいの国なのだ。
スリランカのアーユルヴェーダは、マッサージのストロークや強さ、治療に用いるオイルの種類、スパイスやハーブ、食事など、インドのアーユルヴェーダとは異なる点が多い。そもそもは同じ「アーユルヴェーダ」なのに、なぜこんなにも違いがあるだろうか?
今回はアーユルヴェーダがどこで発祥し、発展していったのか、古典書をもとにその成り立ちを見ていこう。
アーユルヴェーダ発祥の地
アーユルヴェーダの最も古い古典書『チャラカサンヒター』によると、アーユルヴェーダは、「聖人(リシ)達が、インドのヒマラヤ山脈の奥地にて、インドラという神様から授かった長寿の知恵」とされている(総論編第1章)。その知恵が、各地で継承され、それぞれの土地で発展していった。
発展の中で、それぞれの特徴を形作っていったのが、その土地の気候と宗教だ。アーユルヴェーダでは、人間は、定期的な習慣に適応すると考えられる(総論編第6章)。そのため、アーユルヴェーダのメソッドにおいても、地域や季節、宗教によって、生活方法や食べ物が変化するのだ。
つまり、アーユルヴェーダで考える健康の基本的な概念を基に、土地ごとに対応していった伝承医療が現在のアーユルヴェーダとなっている。では、日本で暮らす私達は、どのようにアーユルヴェーダ的生活をするのがいいのだろうか?
スパイスで手軽にアーユルヴェーダを
アーユルヴェーダ的に考えると、日本で暮らす私達にとっては、やはり日本の気候や習慣に合わせた生活を送ることが望ましい。
しかし季節や時間帯を含む、さまざまなストレスや要因に影響を受けて、バランスを崩してしまうのは、現代社会を生きる私達にとって避けて通れないことだろう。
そこで、オススメしたいのが、アーユルヴェーダの真骨頂でもある「スパイスの効果」。日本だからと言ってスパイスを使わないのではなく、「効力のあるスパイスや食材」を有効に取り入れることによって、心と体のバランスを取るように努めよう。
クミンの香るレンコンとアーモンドミルクのポタージュ
まだまだ続く寒い冬。アーユルヴェーダでは、冬はVata(「空」と「風」)の季節とされ、「乾燥」、「軽さ」「冷たさ」に注意し、逆の性質を取る生活を送ることで心と体のバランスを取ることがすすめられている。
食事に関しては、甘味や油脂を適度に含む、温かい食事が理想だ。また、年末年始の不規則な食生活で消化力が落ち気味な状態が続いている人は、消化力を整え、体を温める、クミンやギー(インドの精製バター)、神経やホルモンのバランスを整えるアーモンドミルクもオススメだ。
今回は、消化力を上げてくれるクミンと、アーモンドミルクを使った、心身ともに温まるポタージュのレシピをご紹介。
Recipe
材料(2人前)
- レンコン(すりおろし) 200g
- タマネギ(粗みじん切り) 100g
- アーモンドミルク 200g
- 水 100g
- 塩 適量(小さじ1/2程度)
- クミン 小さじ1/2
- ギー(なければ無塩バター) 5g
作り方
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鍋に、ギーとクミンを入れて、火にかけ、焦がさないようにクミンの香りを引き出す(弱火)。
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香りが立ったら、タマネギを入れ、よく炒める。
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タマネギがしんなりしてきたら、レンコンを入れ、さらに炒める。
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とろみがでてきたら、アーモンドミルクと水を入れ、軽く煮込んで塩で味を整えたら完成。
写真・文=Kazuya(冨岡和也)
料理人、フードコーディネーター、栄養士、インド政府機関認定アーユルヴェーダセラピスト。食のアトリエ『Natural Lifestyle』代表。 instagram: @kazuya_naturallifestyle