春の体調不良や、花粉症対策は今!
アーユルヴェーダの古典書『チャラカサンヒター』によれば、「冬は冷たい風との接触で消化の火(アグニ)が強くなり、重たいものでも消化することができる季節」(総論編6章9節)とされている。つまり、冬は一年の中で、消化力・体力・抵抗力が最も高まる季節。
食べ物の質はもちろん、「食べる物を消化できるかどうか」を大切に考えているアーユルヴェーダにおいては、最も食べたいものを食べていい時期だ。
「好きなものを自由に食べられる!」と、思わず気を抜いて生活してしまいそうだが、ここに大きな落とし穴が。実は、冬の過ごし方次第で、悩みの多い、春先の体調不良や花粉症、アレルギー症状が悪化、はたまた緩和させることもできるのだ。
冬の季節の消化力が最も上がった状態は、冬の終わりに向け徐々に衰退を迎え、食べすぎや消化不良による未消化物質(アーマ)がたまりやすい時期になっていく。この時、蓄積されたKapha(カファ)というエネルギーが、春先になり増大し、花粉症を代表としたアレルギー症状を引き起こすとされている。
つまり、春先のアレルギー症状を抑えたければ、年明けから春先にかけての生活に気をつけることが大きなポイントになってくるのだ!
春先までのアーユルヴェーダ的季節の過ごし方
基本的にアーユルヴェーダでは、晩秋から始まった冷たく乾燥した冬の季節を、Vata(ヴァータ)が乱れる季節としており、心身のバランスを乱さないためには、Vataの大きな特徴である、「冷たさ」や「乾燥」や「軽さ」に気をつけながら生活することが大事だと考えられている。
冷え、肌の乾燥、不眠、神経系の不調は典型的なVataの乱れで、オイルマッサージが勧められている。特に、頭・耳・足の3点のマッサージが有効。
食事は、「温かく」、「油分を含んだ」、「栄養価のある」ものがよく、火を通した温かいものを薄味でなく濃い味つけで食べられるのもこの季節の特徴。「甘味」、「酸味」、「塩味」を適度に摂ることは、Vataを鎮静させる。
ここで気をつけたいのが、「甘味」の摂りすぎ。「甘味」は安定感を与えると同時に、冷えや体重増加にも影響し、春のアレルギーの原因になるKaphaの蓄積につながるので摂りすぎには注意。素材の味を生かした、自然の「甘味」が安心だ。
また「甘味」の摂らなさすぎは、逆に消化の火(アグニ)が燃えすぎてしまい、暴飲暴食につながる。良質なものを適度に食べ、満たされた胃を作ることも大事なことだ。未消化物質(アーマ)をためないよう、常に心も体も温かくして、適切な消化力を保つ生活を心がけたい。
ともあれ、冬は、一年で最も消化力・体力・抵抗力が上がっている季節。我慢の日々になる必要はない。自分に優しく、心も体も満足させて、着実に春への準備を始めていこう。
Recipe
手軽に作れて消化力を上げてくれる「クミンティー」
体の中に未消化物質(アーマ)をためたくない時に、手軽に作れて、しっかりと消化力を上げてくれる「クミンティー」は、今の季節に特にオススメ。
軽く煎って作ったクミンティーは、焙煎したお茶のようなおいしさ。クミンには、消化促進、腸内ガスの排出、免疫力アップ、アンチエイジング、ホルモンの調整など多くの効果がある。
材料
・クミンシード(ホール) 小さじ1
・水 400~500cc
作り方
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フライパンにクミンシードを入れ、乾煎りする(中火)。
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クミンの香りが十分に立ち、茶色くなってきたら、水を入れる(黒く焦げすぎると苦くなるので注意)。
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一度沸騰させたら火を弱め、2~3分煮出す。
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茶こしで濾してクミンを除く(クミンは少し残っていても風味がいい)。
※焙煎具合、水の量で味が変わるのでお好みで
写真、文=Kazuya(冨岡和也)
とみおかかずや。料理人、フードコーディネーター、栄養士、インド政府機関認定アーユルヴェーダセラピスト。食のアトリエ『Natural Lifestyle』代表。 instagram: @kazuya_naturallifestyle