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人間関係は自分次第
多くの人が、誰かとの関係で悩みを持っている。誰かとは、恋人やパートナー、親、兄弟、友人、コミュニティの知り合い、会社の関係者などなど。『Yogini』で取ったアンケートでも80%近くが、人間関係に問題を抱えているようで、何も問題を感じずに、毎日が楽しくて仕方がないという人は、そうそういないようだ。
そもそも問題とは何だろうか。例えば、相手の言葉がきつい、自分の思ったように動かせてくれない、相手が自分の意見を押しつけてくる、相手が面倒なことばかり起こす、相手がルーズだ、相手が神経質すぎる、相手が過干渉だ、相手が自分を無視する…などなど、挙げていけば切りがないほど考えられる。
ちょっと大雑把に言えば、どんなことでも問題になり得るのかもしれない。なぜなら、相手と自分は違う人間だからだ。
しかし、よく考えてみると、どの問題も自分の心の持ち方、余裕のあるなしによって気にしないですませることも可能だ。見えている世界は人によってそれぞれなので、それをどう捉えるかで、世間はバラ色なのか灰色なのかが変わってくる。
人間関係はまさにそうで、多くは、自分次第でどうにかよりよく改善することができるだろう(明らかないじめ、特に身体的な暴力などを伴う場合は、そんな簡単な話ではないと思うが)。
自分の中の「自分の位置」
ただし、この「自分次第」というのが実は関門。なぜなら、最近多くの人の自己肯定感が低くなっているから。自己肯定感とは文字通り、「自分自身をこれでいい」と掛け値なしに思えること。誰とも比較せず、人の言動に振り回されず、自分は自分のままでいて気持ちよく過ごせること。
しかし、自己肯定感は必ず人間関係の中で育まれるものなので、人間関係で問題があると、なかなか「私はこのままでOK」という状況になりにくい。人と比較することで、すごく劣等感を抱いたり、反対にすごく尊大になってしまうこともあるからだ。
理想は、自分がどんな相手との間でも、常にフラットでいられること。自分の中で考える「自分の位置」が、どんな相手とも対等で心地いい距離感が存在している状態なのではないだろうか。
自分の弱点は何?
ということで、ここでは自分自身が自分を「認めにくい」と思っている弱点を探してみよう。以下のチェックリストで、多くのチェックが入ったところがあなたの弱点と思われるところ。同じ数が入ったら、どちらにも心が引っかかりを覚えるということになる。
弱点がわかったら、その先の改善方法をぜひ読んでみて。今後、ラクになっていくためのヒントが紹介されている。
Check1
□自分の地位や仕事や収入がニクい、あるいは低く評価されていると感じる。
□周りの人の学歴が気になる。
□周りの人は自分よりもできると感じている。
□自分の学歴、職歴、今の状況に後悔している点が多い。
□もっと頑張らなくてはと思っている。
□すぐに転職したくなる。すぐに他に目移りする。
□今いる場所と違うところなら自分の力をもっと発揮できるのに。Check2
□自分のファッションには自信がない。
□自分の顔・体に変えたい部分が五つ以上ある。
□人に「自分の好み」、「趣味」などを堂々と主張できない。
□一人の時の過ごし方がわからない。
□生まれ変われるなら…とよく考える。
□できればあと4〜5kg痩せたい。
□AかBかの選択でよく迷う。Check3
□人間関係に悩みがち。解決したい問題が常にある。
□親が違っていたなら…と思うことがよくある。
□友達の多い少ないが気になる。
□人との関係は、しょせん表面的なものだと思うことがよくある。
□自分はあまり人に好かれないと思う。
□人の評価が気になる。
□人前では緊張しやすい。Check4
□自分のことがあまり好きじゃない。
□自分の選択にいつも失敗感を持ってしまう。
□新しい場での人間関係や初めての体験は苦手だ。
□努力は報われないものだと思う。
□自分のガンコさに困ることがある。
□直したい自分の性格や価値観が五つ以上ある。
多かったリストの番号と対応する以下の解消方法を読んで、自己肯定感を整えよう。
1 能力・キャリアにコンプレックス
(学歴/仕事/収入/地位)
真面目で一生懸命、向上心が高い人、またそう求められて育った人ほど、本音で「なりたい自分」を自覚する前に、「到達すべき事項」としての能力やキャリアを目指してしまうことがある。世間が決めた評価で自分を見るのではなく、「自分が大事にしたいことを、自分が納得できるように行っているか」という視点で、自分を捉えるようにしてみよう。
2 容姿・センスにコンプレックス
(顔/スタイル/ファッション/ライフスタイル)
世間を気にする前に「自分はこれが好き、心地いい」という感覚を、丁寧に見つけ出すことを大切にしてみよう。「これ好き!」と口に出してみると、自分の声が自分に聞こえて、ちょっとした自信になる。知らない誰かが決めた評価基準で、いい・悪いを決めなくていいのだ。人に迷惑をかけない限りは、自分の感性を貫いて、自分らしさを一番に過ごしていいのだ。
3 人間関係にコンプレックス
(パートナー/モテ・非モテ/家族/友達/職場)
個性が異なる人同士が交わる人間関係なのだから、その組み合わせごとにいろいろな答えがあっていい。一つのコミュニケーションで相手の表情が曇ったとしても、自分が間違っているとは限らない。他人を傷つけてしまうケースが別だが、人それぞれの価値観、人間関係の持ち方があるということを認めていくことで、自己肯定感が上がる/下がるという悩みもなくなっていくだろう。
4 思考・行動にコンプレックス
(いい人/正しい判断/努力と規律)
自分が生きていくのに本当に必要なものは何か? 「〜ねばならない」という誰かから植えつけられた思い込みを、少しずつでも手放していこう。生きづらいと思っている現代社会に無理やり合わせなくていいのだ。“できない自分、やりたくない自分”に出会ったら、ハードルを下げたり、方法を変えるというのも手。
今てにしているモノサシは誰か基準ではなく、本当に自分基準のモノサシなのか、ゆっくり考えてみるといいかもしれない。
Text:Yogini編集部
出典:『Yogini』Vol.77
話してくれた人:稲富正治
臨床心理士。アルコール問題、不登校、慢性疾患患者のケア、コミュニケーションを専門とする。