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一歩進んだアーユルヴェーダの花粉症対策
春真っ盛り。今年も多くの人が花粉症に悩まされているのではないだろうか?アーユルヴェーダでは春は重たく、ずっしりとしたKapha(カパ/水のエネルギー)の季節とされていて、花粉症や鼻詰まりなどの症状は、このKaphaの影響を受けていると考えられている。
そのため、「花粉症を軽減させるための方法」として推奨されるのは、Kaphaと逆の作用を持つ、苦味や渋味のある食材を食べること。つまり春の野草など、旬の食材を食べることが、代表的な食事療法として紹介されている。
もちろんこれが、アーユルヴェーダ的には大正解な花粉症の食事療法ではあるが、もう一つ、意識したい、とても大事ことはアーユルヴェーダの大原則「消化力」だ。
消化力が落ちる春
アーユルヴェーダでは、冬が最も消化力が強くなる時期だと考えられているが、春になると、すでに消化力はずいぶんと落ちてきている。そのため、花粉症対策として、苦味や渋味のある食材を食べるのはもちろんだが、まずは食べた物をしっかりと消化させ、食材の効果を有効的に使うことから考えなくてはいけない。
食べ方を間違うとKaphaや未消化物(アーマ)を増加し、花粉症の症状を悪化させてしまう。気をつけるべき、食べ方は以下の通り。
(1)食べる時間帯
朝食と夕食には、消化に重いものを食べることを避ける。アーユルヴェーダでは、時間帯により消化力が変化すると考えられていて、朝と夜は一日の中で消化力が弱くなっている時間帯だ。
軽く、温かく、消化にいいものを食べることを心がけたい。特にこの時間帯には、Kaphaを乱す原因である、重く、粘り気のあるヨーグルトや納豆、豆乳などを食べることは避けたい。
昨今の発酵食ブームで、毎日ヨーグルトを食べている人も多いかもしれないが、どうしても食べたい場合は、最も消化力が上がっている昼食時に食べるのがオススメ。
(2)消化前に食べる
アーユルヴェーダでは、前の食事が消化されてから、次の食事をすることを勧めている。胃の中に前の食事が残ったまま次の食事をすると、消化不良を招くだけではなく、消化力まで落としてしまう。
しっかりとお腹が空いてから、次の食事を食べるようにしよう。これは、食事の時間を不規則にするということではなく、次の食事までにお腹が空く量を食べようということ。これが、アーユルヴェーダで考える「適量」だ。
アーユルヴェーダでは、消化力が落ちている時は、無理に食べる必要はなく、食べる量を減らす。また、消化に重いものを食べる時には、食べる量を調整しよう。
(3)ヘルシーでないものを食べる
人間は、農薬、添加物、化学調味料、精製された砂糖など、自然の摂理に添っていない食べ物を消化することが得意ではない。
オーガニックや無農薬の食材を食べることが理想的だが、まずは、丁寧に作られたものや、心を込めて作られたもの、温かく作りたての物を食べるところから始めよう。
Recipe
消化に軽い万能野菜〜ビーツのスープ〜
インドのアーユルヴェーダの病院でも、旬になると、カレーから炒め物まで、多彩な調理方法でほぼ毎日、食事に登場するビーツ。消化によく、Kaphaを整えるだけではなく、造血作用、ホルモン調整作用など、多彩な効果を発揮する、女性にもうれしいスーパーフードだ。
ホウレン草の苦味と渋味はKaphaを抑え、ブラックペッパーは、消化力を上げて鼻詰まりや、Kaphaを原因とする風邪の諸症状に効果抜群。
材料(2人分)
- ビーツ(水煮) 200g
- 水 300g
- タマネギ 50g
- 塩 小さじ1弱
- ブラックペッパー(粗びき) 小さじ1/2
- ホウレン草 50g
- ギー(精製バター) 小さじ1
作り方
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生のビーツは丸ごとゆで、軟らかくなったら、皮をむきスライス(水煮のビーツを使う場合はそのまま使用可)。
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鍋に、1と水、タマネギのスライスを入れ、よく煮込む。
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2をブレンダーにかけ、鍋に戻す。
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塩と水分を調整し、ブラックペッパーを入れ、味を整える。
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別のフライパンにギーをひき、ホウレン草をさっと炒め、上から飾る。
写真、文=Kazuya(冨岡和也)
とみおかかずや。料理人、フードコーディネーター、栄養士、インド政府機関認定アーユルヴェーダセラピスト。食のアトリエ『Natural Lifestyle』代表。 instagram: @kazuya_naturallifestyle