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とっても難しい究極のポーズ
シャヴァーサナにも取り方があると練習するのはアイアンガーヨガ、屍になり切れないからできるもんじゃない…とするのがアシュタンガヨガ。シャヴァーサナ(屍のポーズ)は、二大流派の創始者にも「難しい」と言わしめる、究極のアーサナだ。
でも、多くのクラスの最後にはシャヴァーサナが入り、臨床の医師でありヨガインストラクターでもある石井正則先生は、自律神経との関係などをひもとき、「シャヴァーサナがあるからヨガと言える」と話す。初めてのシャヴァーサナ体験が素晴らしすぎて、ヨガにハマッたと話す先生も少なくない。
普段、あなたはどんなシャヴァーサナを取っているだろうか。約1時間動いてきた体を解放する時間だけに達成感、リラックス度とも高く、手放しで横たわっている人もいるが、これも一つのアーサナ。内観してこそ意味があるのだ。
今回は、龍村修先生に教えていただいたシャヴァーサナの方法を紹介しよう。
シンプルなシャヴァーサナの取り方
Step1
重力にまかせて脱力する
まずポーズに集中して練習し、体の硬い部分に意識を向けてほぐしたり、心が集中するとはどういうことかを知る。その後、シャヴァーサナに入って集中を手放していこう。重力にまかせて、肉体レベルで力を抜いていく。内面を観察するが、その時の手がかりは呼吸、気分、そして脈。食べすぎると気持ちが悪くなるように、「気分」は心と体の“ちょうどいい”を教えてくれるのだ。
Step2
長めに呼吸して体の“とらわれ”に気づく
呼吸を深くしていく。エネルギーが静まっていき、体と心の関係がよりクリアになっていくだろう。私達を生かしている力、宇宙のエネルギーの表れでもある呼吸への感謝の気持ちがわいてくるかもしれない。観察を続けていると、呼吸のジャマをする“とらわれ”に気づく。左右の違いや内臓で窮屈に感じる部分などがあれば、別のポーズでほぐそう。
Step1-2を繰り返し練習していると
Step3
純粋意識だけになって宇宙と一体に
“とらわれ”がなくなって呼吸がさらに深まると、肉体の存在が消え、呼吸をしているだけに。前後、左右、上下といった三次元的な空間認識もなくなっているだろう。純粋意識だけがぽつんと残っている。今や、肉体レベルでの呼吸からエネルギー体としての全身での呼吸に変わってきている。地球、宇宙と一緒に膨らんだり縮んだり…。
Step4
偏見などに気づき、真実の存在・構造を理解
自分の偏った見方に気づいて、ありのままを観る心が育っていく。できるだけ幅広く、深く、人智を超えた無意識層にまで意識を広げ、時間軸にとらわれずに感じ、考え、行動できるようになっていく。ヨガにとっての神様である「真実」、言い換えれば、永続的な自然の法則、円宇宙の存在の構造を自然と理解するようになり、生まれてきた意味を知るように。
今回は、すぐにでも実践できるシャヴァーサナの取り方から、発展していくとどうなっていくのかまでを紹介した。
次回は、シャヴァーサナの素朴なギモンへの答えを紹介しよう。
Text:Yogini編集部
出典:『Yogini』Vol.53