気候や環境、時代の流れが大きく変化をしているいま。外の状況に振り回されない本来のじぶん、つまり、どんなときでも不安や恐れに支配されない状態でいることがますます重要になってきています。
皆さんもご存知のとおり、ヨガもアーユルヴェーダもインド哲学もすべてそのためのツールです。私のクラスでは、この本質を伝えることに重きを置いています。
ヨガやアーユルヴェーダは対処療法ではない
健康になりたい。体質を改善したい。キレイな体になりたい。人間関係を良好にしたい。不安から解放されたい。充実した日々を送りたい……。ヨガを始める動機は様々ですが、本来のじぶんに目醒めて生きることは、このすべての願いを包括しています。
たとえば体に不調がある場合、その大元の原因は日々の食習慣、睡眠のサイクル、人間関係、心のありかた……など、日常の過ごし方にあります。西洋医学的に見て不調の原因がホルモンバランスの崩れだったとしても、ホルモンバランスを整える薬を飲めば根本から解決できるとは限らないのです。
心と体、意識をアンバランスな状態に傾けている習慣、癖が何かをじぶんでとらえて、じぶんで解決しない限り、また別の形で問題がでてくるでしょう。
病気に限らずどんな問題も、外に原因や答えを求めるのではなく自分の内側に答えを見出す。視点を外から内へと向けて、本来の快適な状態へと自らが自らの力で戻っていく。これこそが、外の状況に振り回されない、本来のじぶんで生きる一番の近道なのです。
わたしたちの本来の姿は、プルシャそのもの。それは、なんのフィルターもないニュートラルな状態。どうすればいいのか、すべてを知っています。不安や恐れとは無縁の存在なのです。
つまり本来のじぶんは、外に答えはないこと、じぶんにとって必要な答えは、すでにいまこの瞬間にあることを知っているのです。
ではなぜ私たちは、その真実の姿を認識できないのでしょうか。
それは重力をもつ地球に誕生すると同時に、この重力に耐えうる肉体をまとい、さらに心(感情)をもち、そのうえ育った環境下であらゆる概念や観念に基づく自我のシャワーを浴び、何層ものマスクで自らを覆っていったからです。
それはまるで目隠しをしている状態。常に真実とともにいるにもかかわらず、それを見えなくしているのです。
本来のじぶんに目醒める=重力を超えていくこと
先日、あるテレビ番組で「重力と遺伝子の関係」という興味深いテーマを取り上げていました。なんと、重力が働く世界では“ネガティブコントロール”という仕組みが働き、遺伝子のなかでも重力の世界には必要ないとみなされたものは開花されないことが明らかになったというのです。
この話を聞いたとき、何かが腑に落ちました。
ヨガが目指す解脱や目醒めというのは、肉体、心の働きによるフィルター、マスク、重石をどんどん無くして、純度を上げ、軽やかなじぶんになることです。つまり重力によるネガティブコントロールを超えていくということなのではないか、と。
重力のある世界を生きるために必要な肉体ですが、その扱いかたを正しく知らなければ当然、体も心もどんどん重くなります。曇り、明晰さに欠け、不快な状態へと傾いていきます。
ヨガやアーユルヴェーダというのは、常に自分自身を快適な状態に維持するための、心身のトリセツとも言えるかもしれません。だからこそ対処療法的に使うのではなく、何層にもわたるマスクを外して、本来のじぶんに目醒めるために“生きかたにしていく”ことがポイントになるわけです。
TTは、変容のプロセス
ティーチャートレーニングというと、講師になるためのスキルや技術を学べる場所、と感じられている人も多いかもしれません。けれど私のクラスでは、なによりも自身の変容を実践によって体感していただくことを大切にしています。
感情のマスクを外すことは簡単なことではありません。現実に執着しているときには、抵抗が起こることもあります。だからこそ、同じ目的をもつ仲間の存在は大きいものです。一時的に苦しいと感じることもありますが、一緒に取り組む仲間が強い支えになります。また、ヨガやアーユルヴェーダに惹かれた自分を信頼し、継続する強い信念があれば、必ず前に進んでいくことができます。
わたしのクラスの生徒さんたちも、感情のマスクを外す浄化の過程で、一時的に苦しさを感じた方たちもいました。けれど、逃げずに向き合い続けた結果、ものすごくキラキラと輝きを放つじぶんへと変容を遂げて、卒業されたかたがほとんどです。
大切なのは、あなたの想いと信念が合致しているかどうかです。変わりたい、幸せになりたいと想いつつもヨガやアーユルヴェーダ、講師、仲間、自分自身を信じる強さがなければ、「こんなことで、本当に変われるの?」という疑いに飲み込まれてしまうでしょう。
でも強い信念を持ってこれまでの習慣を破り、ヨガやアーユルヴェーダの叡智のなかから何かひとつでも日常に定着させることができたのなら、必ず人生は変わっていきます。
そうして自らの実践をとおして、変化を遂げた人の言葉には力が宿ります。相手の魂に届く、波動を帯はじめるのです。
自分と向き合うためにティーチャートレーニングを受講した人のなかには、講師になろうとは思っていなかったけれど、周囲から講師を依頼されるようになって、ティーチャーを始められた方もいらっしゃいます。
まずは、じぶんから。
じぶんが変われば、無限の可能性が広がっていくというのは真実です。ポジティブな変容を積み重ねるうちに、じぶんにとっての真実の道が、どんどんひらかれていくことでしょう。