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ヨガジェネレーションではヨガについての様々な情報をお届けしていますが、皆さんはヨガとピラティスの違いをご存知ですか?
筆者も、「ヨガとピラティスは何が違うの?」と聞かれることが多く、私自身も実際にヨガとピラティスを始めた頃はそんな疑問を抱いたことがありました。
そこで、どちらのインストラクターの資格講座にも通ってみて学んだことを元に、ヨガとピラティスの違いについてお話できればと思います。これからヨガを始めようと思っている方にとって少しでもご参考になれば嬉しいです。
ヨガとピラティスの大きな違いは歴史や成り立ち
ヨガとピラティスの大きな違いは、その歴史にあると言えます。それぞれ、どのようにして始まったものなのか、その起源から辿ってお話できればと思います。
ヨガの成り立ち
ヨガは、インドが発祥で、サンスクリット語で”繋ぐ”という意味を持つ言葉です。“繋ぐ”とは、具体的には、心・身体・魂が繋がっている状態のことを意味し、それらの調和が取れることでより健やかに・一時的ではなく永続的な幸せを感じながら日常を生きることができると考えています。
現代は、美容やダイエット目的でヨガを始める人も多く、”アーサナ(ポーズ)”の部分だけがフォーカスされて単なるストレッチや運動と考えられがちですが、体を動かすことだけがヨガではなくて、アーサナはヨーガ・スートラという経典の中で説かれている八支則の中のうちのひとつです。
ヨーガ・スートラとは、「瞑想」をすることで本来の自己を見つめ、どのように生きるべきか、ということについて提示した書物で、どのようにしてヨガを実践して行けば良いのかを8つの段階に分けて示したのが八支則です。
- ヤマ:禁戒(日常生活の中で他人対して慎むべき5つの心得)
- 二ヤマ:勧戒(日常生活の中で自分に対して守るべき5つの心得)
- アーサナ:坐法(集中して座って瞑想をするために、様々なポーズを通して身体の筋肉を使えるように鍛えたり柔軟性を高める)
- プラーナヤーマ:呼吸法(吸う・吐く・止めるという3つの要素やムドラーを用いて呼吸を整え身体全体にエネルギーを巡らせる)
- プラティヤハーラ:感覚の制御(外側に向いている感覚から、内側に意識を向けること)
- ダーラナ:集中・精神統一(心をある一点に集中させること)
- ディヤーナ:瞑想(心がある対象と同化すること)
- サマーディ:三昧・超意識・悟り(ヨガのゴール)
つまりヨガは、考え方や心の在り方から始まり“生き方そのもの”、とも言えるのではないでしょうか。
よく「運動不足解消やダイエット目的でヨガを始めたけれど、継続する中で身体だけでなく心も整った」という声を聞くことが多いですが、それもヨガが始まった本質的な理由からであると考えられます。
ピラティスの成り立ち
ピラティスは、創設者であるドイツ人のジョセフ・ピラティスという人物によって、第一次世界大戦の傷病兵のリハビリのために取り入れられていたのが始まりです。
元々彼自身が病弱であったこともあり、それを克服するために様々なスポーツや身体運動を学び、より健康的で美しい体づくりにこだわり続けていたことも影響していると言えます。その中にヨガも含まれていたとも言われています。
ピラティスには、マットで行うものだけではなく、イクイップメントを利用したマシンピラティスもありますが、それは、寝たきりになってしまった傷病兵のために、寝たままでもリハビリができるようにとベットのスプリングを利用してマシンを作ったことが元になっています。
その後、ジョセフ・ピラティスはアメリカのニューヨークに渡り、スタジオを開設しましたが、同じビルの中にダンススクールとリハーサルスタジオがあったということもあり、多くのダンサーが怪我の回復やパフォーマンス向上のために彼の元を訪れました。彼から直接指導を受けた弟子のほとんどがダンサーだったというのは、このことが理由として挙げられます。
ヨガとピラティスの共通点とは?
ここまではヨガとピラティスの違いについてのお話をしてきましたが、共通点としてはどのようなものが挙げられるのか、お話していきたいと思います。
一番大きな共通点としては、ヨガからもピラティスからも得られる効果ではないでしょうか。どちらも身体を安定させるために必要なインナーマッスルを含めた筋肉を養い、柔軟性をアップさせることで、身体に負担のない姿勢へと整えて、結果的に肩こりや腰痛、猫背などの身体の不調が改善されていくのだと考えられます。
また、どちらも“呼吸”を大切にしてマインドフルに身体を動かしていくという共通点もあります。
呼吸は、唯一人間が意識的に自律神経をコントロールできるツールでもあり、心と身体を繋ぐためには必要不可欠なものです。また、呼吸によって使われる筋肉は横隔膜・骨盤底筋・腹横筋といったインナーマッスルであるため、呼吸と動きを連動させ、アウターマッスル優位で余計な力が入らないようにすることで、そのアーサナやムーブメントから得られる効果が上がると考えられます。
終わりに〜両者から得られる相乗効果を実感してみよう!〜
ヨガとピラティスの違いや共通点について少しでも理解を深めていただけましたでしょうか?
どちらの方が良い、効果が高いなどではなく、どちらにもそれぞれ良い部分があり、動きは似ているように見えても目的やその根源が全く異なるのがとても興味深いですね。
また、目的が異なっていても、似ている動きが取り入れられているため、結果として同じような効果が得られるということが言えるのかもしれません。
ヨガは、どちらかと言えば”ヨガ”という言葉そのものが持つ意味の通り“統合”、逆にピラティスは、“細分化”して使いたい部位にフォーカスして細かく骨や筋肉の動きを整えて、身体に正しい動きや感覚・位置を覚えさせていくものなのではないかと考えられます。
ヨガのアーサナを、より安定させ、心地よく・快適に行うためにも、その前段階としてピラティスを取り入れてみると、更に感覚が研ぎ澄まさて相乗効果が生まれるかもしれません!
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
参考資料
- 認定NPO法人日本ヨガ連盟,”ヨガの目的と効果”
- YOGA HACK, ”ヨガの八支則ってなに?毎日の生活に「8ステップ」を取り入れて幸せをつかもう!”
- ジョセフ・H・ピラティス 著/川名昌代 訳,「CONTROLOGY ピラティス・メソッドの原点」, 2020年