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今年の夏も厳しい猛暑になることが予想され、熱中症への注意が必要です。さらに近年は夜間の熱中症で亡くなる方も多く、日中だけではなく1日を通しての注意が必要です。
また、ホットヨガやサウナなどに行っている方は、夏以外にも熱中症のリスクが高いので、要注意です。
熱中症になると、体温がかなり上がり、消化器症状も現れるため新型コロナウイルスとの判別がつきにくくなり、救急搬送される際に医療従事者の方々にかなりの負担をかけてしまいます。
新型コロナウイルスの爆発的流行で、医療体制の崩壊が危ぶまれている中、熱中症を防いで少しでも医療や社会に貢献していきたいものです。
3段階の熱中症の症状
熱中症とは、体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、さまざまな症状を起こすことです。
気温や湿度が高い環境のなかで
- 立ちくらみ
- 筋肉のこむら返り
- 体に力が入らない
- ぐったりする
- 呼びかけへの反応がおかしい
- けいれんがある
- まっすぐに走れない・歩けない
- 体が熱い
上記の症状がみられたときは、熱中症が疑われます。
さらに、高体温、汗をかいていなくて触ると熱い、ズキンズキンとする頭痛、めまいや吐き気、意識障害がある場合は、重症であり、重症度によって、3つの段階に分けられます。
Ⅰ度:現場での応急処置で対応できる軽症
- 脳への血流が瞬間的に不十分になったことで生じる立ちくらみ
- 筋肉痛、発汗に伴う塩分の不足で生じるこむら返り
- 大量の発汗
Ⅱ度:病院への搬送を必要とする中等症
- 頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐
- 倦怠感、虚脱感
Ⅲ度:入院して集中治療の必要性のある重症
- 意識障害、けいれん、手足の運動障害
- 高体温
熱中症の応急処置
熱中症が疑われる方にすべき対応をご紹介いたします。
涼しい環境に移す
風通しの良い日陰や、クーラーが効いている室内に患者さんと連れていきます。
脱衣と冷却
衣類を脱がせて、体内の熱を外に出します。
露出させた皮膚に水をかけ、うちわや扇風機などで扇ぐ、氷嚢で首やわきの下、太ももの付け根を冷やし、体温を下げます。
水分と塩分を補給する
冷たい水、特に塩分も同時に補える経口補水液やスポーツ飲料などを飲ませます。
ただし、意識障害がある場合は水分が気道に流れ込む可能性があるので飲ませないようにしましょう。
また、吐き気や嘔吐の症状がある場合には、すでに胃腸の動きが鈍っていると考えられるので、口から水分を入れることは避けましょう。
※意識がない、または呼びかけに対する返事がおかしい場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
※水分を自力で摂れない場合、また、水分を自分で摂れ、必要な応急処置を行ったものの、症状が改善しない場合も、医療機関に行きましょう。
熱中症の予防方法
暑さを避ける
- 外出時にはなるべく日陰を歩く、帽子や日傘を使う。
- 家の中では、ブラインド、カーテン、すだれで直射日光を遮る
扇風機やエアコンで室温・湿度を調整する。(室温は28度以下に保つ)
服装を工夫する
- 外からの熱の吸収を抑えて体内の熱をスムーズに逃がす、吸収性や通気性の高い綿や麻などが良い。
- 熱がこもらないよう、襟や袖口があいたもの。
- インナーを着たほうが肌とインナー、インナーとアウターの間に空気の層ができ、外からの熱気を遮断してくれる。
こまめな水分補給
スポーツ飲料は水分とミネラルを同時に補給できますが、糖分が多いのが欠点です。
飲み過ぎには注意が必要です。ミネラルを補給するには、麦茶などのほうが良いでしょう。
暑さに備えた体作り
- ウォーキングなどの運動やお風呂で汗をかく習慣を身につける。
本格的に暑くなる前の5月頃から暑さに備えて汗をかける体にしておくことが重要です。
乳幼児や高齢者は、熱中症を起こしやすいので、暑い日や湿度の高い日には特に気をつけましょう。
乳幼児は大人よりも新陳代謝が活発で体温が高く、体外に汗を出す汗腺の発達が未熟のため、乳幼児は体温のコントロールがうまくできません。外出時には水分補給や服装に気をつけてあげましょう。顔が赤くなっていたり、汗をたくさんかいているときには、すぐに涼しい場所に移動してください。
年をとると体内の水分割合が少なくなり、暑さやのどの渇きを感じにくくなるため、高齢者も熱中症になりやすいので要注意です。心機能や腎機能が低下していると、熱中症になった時の症状が重くなりやすいという傾向もあります。
運動に慣れていない運動部の1年生、皮下脂肪が多くて体内の熱が逃げにくい肥満の人、寝不足や疲れなどで体調が悪いとき、二日酔いや下痢などで体内の水分が減っているときも、熱中症が起こりやすくなります。
温暖化により昼夜を問わず危険な暑さが続いていますが、熱中症を防いで健やかに過ごしたいですね。