妊娠しているヨガ講師が立木のポーズをとっているところ

【アメリカ】ヨガ講師リアルな出産体験記~ヨガの呼吸法で陣痛を乗り越える~

Hello!アメリカ テキサス在住の CHIKA です。2019年末、私はアメリカで出産をしました。ヨガの経験と知識を生かして、出産に挑もうとした私のリアルな体験記をお伝えします。

アメリカで出産 無痛分娩 or 自然分娩

アメリカで出産するにあたり、1番考えたことは、「無痛分娩にするかどうか」の問題です。アメリカでは無痛分娩の割合は、70%以上にもなります。そうなると、アメリカで出産した友達の多くは無痛分娩です。

そんな無痛分娩経験者の友達は言います。「寝られたよ〜」「漫画読んでいた」など、そのような素敵エピソードを話してくれます。むしろ、「なんで無痛分娩にしないの?」的な雰囲気さえも感じます。

それでも私は、一生に1度の出産になるだろうから、出産の痛みも経験したいという気持ちがありました。そして、自然分娩(痛みを和らげる麻酔は使用しない)に決めました。

産婦人科医にもそのことを相談すると、ベテランの女性医師は「アジア人の方が、白人よりも痛みに強いよね。」とぼそっと言いました。それは本当か、本当なのか。

それは例えば「アジア人は数学に強い」というような、私には当てはまらないアジア人へのステレオタイプなのではないか‥‥‥。そんな気持ちをモヤモヤと抱えながら、自然分娩へと舵を切りました。

アメリカの病院では、専門の麻酔科医が24時間体制で常駐しています。そのため、最初に自然分娩を希望していたとしても、出産中に、「辛いので、やっぱり無痛分娩に切り替えます」というのは可能なのです。これはこれで、便利なようで、このあま〜い誘惑(?)に、打ち勝つのは大変な精神力を必要としました。

陣痛は、最高に辛い。キツい。

そんな中、「苦しくない道があるよ。いつでもこの痛みから逃れられるよ。デザートはこちらですよ〜」と、まるで甘いデザート(無痛)を目の前にぶら下げられているようなイメージでした。

それでも、私は「これまでウン十年も生きてきた人生の中で、この痛みは1日だけのこと。辛いことはずっとは続かない」「陣痛では死なない(はず)」というポリシーの元、無痛はしない方向性を突き通しました。

ポーズで陣痛が乗り切れるのか、挑戦してみる

陣痛に苦しむ妊婦
私がヨガ講師としてマタニティヨガを教えていた時、陣痛の痛みを乗り切るポーズをいくつか指導していました。

四つんばい、シムスのポーズ(横向き)、クッションに寄りかかって体を預けるポーズなど、それらの知識を生かし、出産中はそのポーズを色々と試しました。

しかしながら、私の正直な感想は、どんなポーズをとっても痛いものは痛い!悶えながら「マタニティヨガのクラスで、陣痛を乗り切るポーズ教えていたけど、太刀打ちできないほど痛いわ‥‥‥」と付き添いの母につぶやいていました。

陣痛が来ると、体中に電気ショックが走ったように痛く、体がガタガタ震えます。時々、「ぎゃ〜!」と野生動物のように叫ばずにいられませんでした。

ヨガ呼吸法が出産に役立った

片鼻呼吸法を行う女性の横顔
しかしそんな中、ヨガの呼吸法が出産にとても役立ったのです。

陣痛が来たときは、ゆっくりと息を吐き、呼吸に集中しました。また、陣痛と陣痛の間は、アヌローマ・ヴィローマ(片鼻呼吸法)で気持ちを落ち着けました。

呼吸法というものは、普段から練習しておかないとなかなか出来ないものです。普段、私たちは無意識に呼吸をしているものの、深く息を吸えていなかったり、ゆっくり息を吐けていなかったりします。

また、気持ちが焦ると、呼吸が浅く早くなるものです。呼吸とマインドは繋がっています。呼吸をコントロールすることで、私たちはマインドもコントロールすることができるのです。出産時にも、呼吸法で心身を落ち着かせることができました。

強い陣痛がきて、いきみたくなる時にも、いきみ逃し(いきむのを我慢して逃していくこと)をしなければいけない時がありました。そんな時、医師に ”Breathe through it”(呼吸で乗り切りなさい)と言われ、その時はゆ〜っくり息を吐いて静かに呼吸に集中しました。
  
出産後、医師は「痛みに対して忍耐強いね〜。」と褒めてくれました。

助産師は、「自然分娩で出産しているとは思わなかったよ。普通、自然分娩だと、ベットの上でのたうち回っているものよ。痛みへのコントロールが上手いのね!」と言ってくれました。

これは、普段からヨガ呼吸法で、身体とマインドのコントロールを練習してきたお陰だと思います。

出産後に思うこと

生まれたばかりの赤ちゃんに頬擦りをする母親
ヨガが出産を安産にするのか?それは私にもよく分かりません。

私の場合は、40代の高齢出産で、赤ちゃんの頭が大きかったこともあり、結局3時間もいきむことになりました。あまりにも長引くお産のため、助産師に「あと3回いきんで産まれなかったら、緊急手術室に行くよ!」と言われ、最後のチャンスで精一杯いきんで、やっと赤ちゃんの産声を聞くことができました。

私の出産は難産だったように思いますが、母子ともに健康でしたので、それが何よりの感謝です。

私は事前にバースプラン※1を立てて、医師や助産師にも希望の出産のあり方を伝えていました。

しかし、結局1番のゴールは、母親と赤ちゃんが安全で生きていること。そこへの道のりは、人それぞれ、状況それぞれで、それでOKなんだと思うようになりました。

母子ともに健康で出産できたことが、何よりもの奇跡です。そして、今日1日、私たちが生きていることも奇跡。

そんな奇跡の連続の中に生かしてもらっている命の尊さ、美しさに気づかせてもらった出産体験でした。

  • ※1 バースプラン:Birth Plan とは、出産計画。どのようなお産を望んでいるか、産後や入院中どのように過ごしたいかなどの希望をまとめたもの。