環境に馴染む服装とは
アメリカでは、ファッションの流行やお洒落にさほど敏感ではなく、それぞれ皆が好きな格好をしています。しかし、「みんながよくする格好」というものは存在します。その服を着ていることで、周りの環境や人となじみやすいというものです。
例えば、カンザスに住んでいた時は、Tシャツとジーンズ姿が周りの環境によく溶け込みました。また、ハワイに住んでいた時は、リゾートワンピースが周りと心地よく調和しました。
そして今は、ヨガパンツ姿が大変落ち着きます。特にアメリカのママコミュニティの中では、ヨガパンツがなじみが良いのです。子供の学校のお迎え、公園、動物園など、子連れママのファッションを見ると、ヨガパンツ、ヨガパンツ、あの人もこの人もヨガパンツ……。公園で、ママ友とプレイデート(子供たち同士を遊ばせること)をすると、アメリカ人ママは、全身ヨガウェアを来て公園にやって来ます。
子育てをしていると、ヨガパンツの素晴らしさを日々感じます。動きやすくて、汚れても大丈夫なヨガパンツは、ママにとって最強アイテムです。
普段着のヨガパンツ
アメリカでは、ヨガパンツは普段着です。ヨガをしていない人もヨガパンツを履いています。ここで言うヨガパンツとは、ピタッとしたレギンスのことです。アメリカでは、「ヨガパンツ」または「ヨガレギンス」という言い方をすることもあります。
普段着としてのヨガパンツ in アメリカは、日本のそれとは、多少合わせ方が異なります。
日本では、レギンスの上にショートパンツ、スカートなどを合わせて腰回りをカバーしますが、アメリカでは、腰回りを隠すようなものは着ません。つまり、スキニージーンズのような位置付けです。そして、色は、断然黒を履いている人が多いです。
また、ヨガパンツの値段も様々です。有名なヨガウエアブランド lululemon のヨガパンツは100ドル前後しますが、ファストファッションの forever21 では8ドルで売っています。普段着として履かれているレギンスは、ヨガウェアのブランドだけではなく、人気のアパレルブランドでは、必ず取り扱っているほど手軽に買えるものです。
ピースフル・ヨガパンツ・パレード
アメリカでは、ヨガパンツ姿でどこにでも行けます。犬の散歩、スーパーで買い物、公園、病院、銀行など、普段の生活で行く場所はどこでも平気です。
しかし、そんなヨガパンツ普段着使いを疑問に思った人もいました。2016年、アメリカ人の63歳の男性が、地元新聞紙の投書欄に、ヨガパンツを履く女性を批判したのです。
その内容は、「ヨガスタジオの外でヨガパンツを日常的に着るという最近の傾向は、女性のファッション界において、最悪のことだ。若さの恩恵を受けている子供や若い女性がヨガパンツを履くのは可愛いものだが、成熟した大人の女性が公の場で履くのは、奇妙で不快だ。ヨガパンツはヨガスタジオのみで履くべきであり、二十歳以上の人は、公の場で着るものではない。」というものでした。
投書者はジョークで書いたつもりでしたが、世間に大きな物議を醸しました。ヨガパンツを着た300人(多くは女性)が集まり、「ピースフル・ヨガパンツ・パレード」と名を打って、その投稿者の近所をパレードしたのです。
パレードの主催者は、「これは彼に対する嫌がらせのデモではなく、男性が『女性の服装はこうあるべき』と決めつけることに対して反対の態度を示すものです。」と述べました。
中には、”WE WEAR WHAT WE WANT” (自分達が着たいものを着る)と書かれたパネルを持った人もいました。それに対して、投稿者の家の前には”FREE SPEECH”(言論の自由)という手書きのサインが掲げられていました。
パレードの最後には、参加者は芝生の上でヨガをして、ピースフルに締めくくられたそうです。
アメリカのライフスタイルに合うヨガパンツ
しかし、このパレードも2016年の話です。現在、普段着としてのヨガパンツはすっかり市民権を得て、みんな堂々とヨガパンツを履いて街を歩いています。ヨガスタジオの後は、着替える必要もなく、そのままショッピングやお出かけできますので、ヨギーには良い環境です。もちろんオンとオフの切り替えもちゃんとしますので、夜のパーティー、ディナーなどではドレスアップします。
しかし、今はコロナの影響もあってか、仕事関係のパーティー、会合、イベント関係はほとんど無くなりました。そのため、ドレスアップする機会も減り、現在のライフスタイルには、より一層ヨガパンツが重宝されています。