あなたの普段の考え方は、ポジティブですか?ネガティブですか?
もちろんどちらの場合もあるとも思いますが、実は生物学的にはネガティブの方が有利です。
とはいえ、ネガティブな感情や思い出に苦しむ事避けたいですよね。今回はそんな「思考とヨガとの関連」についてお話していきます。
ネガティブな方が良い!?脳の仕組み
私たちの大脳には、「扁桃体」という快と不快を感じる部分があり、原始的な仕組みとして、不快の刺激は避けて、快の刺激には近寄っていきます。
その中でもヒトの大脳の特徴は、長期記憶ができるというところにありますが、もう1つの特徴として、不快な記憶ほど残りやすいという性質を持ち合わせています。
これは、『生存』という視点で考えた場合、楽しかった記憶よりも、不快、危険なことを多く長く記憶しているほうが重要なためです。
ヨガ哲学の「苦」
ネガティブな感情や思考は、必要なもので、長く記憶にも残りやすいですが、その分何度も思い出したりしてその度に自分を苦しめる原因にもなります。
そして人は想像や妄想する力も持っています。
これにより、過去の経験からくる恐怖や、未来に対する不安を想像、妄想することで、恐怖や不安を感じやすくなってしまったと言えるかもしれません。
ヨガ哲学では、このネガティブな感情からくる『苦』は誰しも持ち合わせており、当たり前であることを前提にしています。
「苦」を減らす方法
ヨガでは、この「苦」に対して「今」に目を向けることで、これらの不快な感情を理性で制御しようとしています。
人間が記憶や妄想により得る不快な感情は、過去や未来のもので、「今」にはありません。
これは大きなポイントで、ヨガを通して、「今」「この瞬間」に意識を向けることで、変わらない過去に囚われすぎるのではなく、未来を変えるために、今できることに意識が向いてきます。
この「今」に集中するためにアーサナや呼吸法が存在するのです。
また、内臓感覚も、快不快の中枢である「扁桃体」と強く関連しています。これは、内臓の不快刺激は生命に直結するためです。
ヨガで体幹を捻るポーズをおこない、そこで「今」感じる内臓の感覚や伸びる筋肉などに意識を向けて数呼吸おこないます。
この客観視により前頭葉の背内側前頭葉という部分が刺激され、不安が抑制されるそうです。
ネガティブとの付き合い方
ネガティブな思考や感情があることは決して悪いことではなく、むしろ生きていく上で必要な力です。
そのことを前提とした上で、『今』に意識を向けることによって、ネガティブな感情からくる『苦』を軽減していこうとするのがヨガです。
瞑想やヨガも、脳の仕組みによって裏付けされることによって、より効果を実感しやすくなるのではないでしょうか。
何か不快な感情がある時こそ、自分自身の今に意識を向けるヨガ、是非おこなってみて下さい。
参考資料
- 中村尚人著『体感して学ぶ ヨガの生理学』株式会社BABジャパン、2017年