また水着が着たい
Beach(ビーチ)が大好きで、ハワイに住んでいた頃は、歩いていける距離にあるお気に入りのビーチで毎週末、ただ何をするでもなく日光浴をしていました。
わたしのヨガの師からの教えのひとつ、
海では頭まで水に浸かること。それが心身の浄化になります
ーマイラ・リューイン
ということをいつも心に留め、必ず頭まで浸かり、あとはプカプカ浮いているか、波打ち際でボーッとするか。
乳がんとわかり、手術で身体がどうしても変化してしまい元通りにはならないとわかった時に、「もうビーチで楽しむことは二度とできないのか?」という落胆する気持ちを感じながら、それでも「いつかまた水着を着て海に入りたい」という希望を捨てきれませんでした。
身体の変化
大胸筋の下にインプラント(シリコン)を挿入する乳房再建手術[1]後の経過観察中、形成外科主治医から「台湾へ留学へ行くことになりました」と告げられたある日の診察室での会話。えー!先生台湾行っちゃうのー!?せっかく仲良くなれたのに、寂しいなあ。
旦那さんと一緒に診察を受けたこともあって(一緒に診察されたわけではなく旦那さんはただの付き添い)、挿入するインプラントの触り心地を旦那さんにも試してもらったことがあるので、先生はうちの旦那さんをよく知っている。
あ、そこ気になるんだ。
普段は表情をオモテに出さない先生も微笑んで嬉しそう。
エキスパンダーとは、乳房切除手術と同時に大胸筋の下に挿入する拡張器のことで、数週間ごとにエキスパンダーに少しずつ水を入れてふくらまし、大胸筋と皮膚を伸ばしてインプラントを挿入しやすくする準備器具です。もともとの乳房のサイズより大きめになるように水を入れるので(そうすると手術がしやすいそうです)逆の胸とかなりアンバランスになります。
ほんとうにいろいろ。何がいい、何が悪いではなく、いろいろあって、いろいろでいい。
約1年間、男性の形成外科主治医にためらわずに胸を見せてこれたのも、「この人が救ってくれる」と信じて(Believe)きたから。包み隠さずありのままを見せて、話すことで、心の痛みもほどけ、癒されていきました。身体(Body)は変化しても、わたしの本質は変わらないから。それは相手が医師でも、家族でも。
台湾でもたくさんの人を救ってほしいと思います。
ヨガがもらたらす効果とは
ヨガというと、心身の健康に良い効果(Benefit)をもたらすものだ、という考えがよく知られているのではないでしょうか。そこから一歩進んで、わたしは、ヨガとはよりよく人生を送るための考え方や生き方に、良い影響を与えるものだと体感しています。
ヨガそのものが人それぞれの人生そのものであり、だからこそヨガは人の数だけ違って存在すると信じています。その人のヨガを生きること。それが自分自身との対話をスムーズにし、相手を交えたコミュニケーションも円滑にする効果があると思っています。
「ヨガ」は古代インドの言語であるサンスクリット語で「結ぶ」という意味を持つ通り、自分と自分の人生を、そして自分と他者を結びつけるコミュニケーションツールなのではないでしょうか。
未来を信じる
最初、インプラントによる乳房再建をすることをとても悩みました。自然でないものが身体の中に入ることが想像できず、受け入れられなかったこと、またインプラントのメンテナンスなどがこれから続くことへの煩わしさを感じたことも悩んだ理由です。
けれど、なりたい自分に近づくにはどんな選択をしたらいいのか?ということを客観的に考え、まわりの意見も聞き、結局はインプラントでの再建手術を決めました。
決めたあとにもまわりから「本当にいいの?身体への負担はかなり大きいよ?」というアドバイスを受けて決心が揺らぐことがありましたが、それでもメリットとデメリットを並べてみて、再建手術を決めた自分の判断を信じました。
結果、主治医にとても綺麗に(もちろん傷は残るし、ある程度の不自然さはありますが)つくっていただき、持っていたビキニを着てビーチで遊べるまで回復し、もとの自分らしく振る舞う自信も戻りました。
人生、どんなこともやってみないとわからないことだらけですが、まずは自分を信じ、そして自分の選択を信じましょう。きっとその信じる心が、わたしたちを未来へと導いてくれるはずです。