ジャヌシルシアーサナをとり前を見つめる女性

自分の可能性に蓋をしない~ヨガで思い込みを弱めよう~

ヨガを始めたことで人生が変わったと感じる方が沢山います。または、人生の価値観が変わった方も多いでしょう。

それは、ヨガを行うことで自分自身の限界を取り除くことができるからです。

ヨガを行うことで自分自身の可能性が広がっていくしくみを考えてみましょう。

ヨガ・スートラが説くヨガの可能性

後ろから光が差す安楽座で座る人のシルエット
ヨガの最も有名な教典『ヨガ・スートラ』の第3章では、ヨガによって手に入る様々な超自然能力について書かれています。

これらの超自然能力は、ダーラナ(集中)・ディヤーナ(静慮)・サマディ(三昧)という、深い瞑想状態に到達することで発揮することができます。この瞑想の3段階をサンヤマ(綜制)と呼びます。

瞑想によって超自然能力が発揮されるしくみ

ヨガ・スートラの瞑想は、瞑想の対象を1つ決めて、そこに対して意識を集中させること(ダーラナ)から始まります。

集中が途切れることなく続き瞑想が深まると、ディヤーナ状態に入ります。そして、瞑想の対象への意識が深まることによって、自分自身に対しての自我を忘れてしまいます。

この、自我を消失した状態をサマディと呼びます。

心の中から自分自身に対する意識が完全に消失すると、瞑想の対象だけが残ります。

その結果、普段自分が思い込んでいる自身の限界以上の能力を使えるようになります。

例えば、象など力持ちの動物に対して瞑想を行うと、象と同様の力が発揮できると言います。

象などの力にサンヤマを向けると、それらと同様の力が現れる。(ヨガ・スートラ3章24節)

普段の私たちは、自分はこれくらいだろうと自分の可能性を制限して考えています。

時には経験によって、「時には物理的な知識によって、自分はこの程度の力しか発揮できないのだ」と認識します。

私たちの可能性は、自分の限界を決めてしまった時に制限されてしまいます。火事場の馬鹿力ということわざがありますが、「絶対にこれをするのだ」と本気で決意した時には、自分の思っていた以上の能力を発揮することができることがあります。

実は、私たちの限界を決めているのは、私たちの心なのかもしれません。

信じられないような超自然能力も可能

それ以外にも、ヨガ・スートラの3章では、空中に浮いたり、全ての星の位置を把握したり、他人の身体に入り込むこともできると説きます。

そんな非現実的なことは信じることができないと考える人も多いでしょう。しかし、奇跡的なこともインドでは現実に沢山起こっています。

例えば天文学。古代の人たちが正確に星の位置を把握して歴を作っていたことはとても驚かされます。

ヨガ・スートラの中では、「太陽にサンヤマを向けると宇宙を知ることができる。」「月にサンヤマを向けると星の位置を知ることができる。」「北極星にサンヤマを向けると星の運行がわかる。」と、宇宙を知る方法が説かれています。

もしかしたら、このような実践を行った聖者たちによって占星術や天文学が発展したのかもしれませんね。

自我意識が可能性を邪魔している

扉の開いた鳥籠の中に座る女性
さて、自分自身の可能性について考えてみましょう。

多くの人が自身に対して「私はこういう人間だ」「私にはこれができない」という思い込みを抱いています。

それは本当に正しいことなのでしょうか?

私たちは、失敗することが怖いので挑戦することを避けます。もしくは、挑戦するときにも、失敗した時に傷つかないための言い訳をあらかじめ考えてしまいがちです。

失敗はいけないと思うことが壁になる

ヨガを知り合いに勧めた時に「私は身体が固いから」と断られた経験のある人は多いと思います。

多くの人が「私には無理だから」という理由で新しいことへの挑戦を避けます。それは失敗をしてはいけないという思い込みによって起こります。

ヨガを練習している人は、「失敗なんてものはない」と知っています。

例えば、座位前屈のポーズを練習する時、ヨガを初めて行う人は、頭が足に届いた先生を見て「すごい!」と思うかもしれません。

そして、前屈では手が足先に届けば、次に頭が足に届けば成功なのだと思い込みます。

しかし、実際は頭を足に近づけることには意味がありません。むしろ、無理に背中を丸めてまで前屈を行うと痛みや怪我の原因となってしまいます。

そして、「ヨガでかえって身体が痛くなった」と感じる人も現れてしまうでしょう。

では、ヨガを正しく練習している人は?

たとえ頭と足が遠くなってもできるだけ背筋を伸ばしたまま前屈を行ったり、膝の下にプロップスを置いたりなどして、気持ちよく効果を感じられるポジションを探します。

ヨガの目的は心地よさであり、カタチではないことを理解すれば、ヨガに失敗などあり得ないのだと分かりますね。

ヨガで学んだことがマットの外で活かされる

ビジネスなどで成功している人たちについて考えてみましょう。

成功者と呼ばれる多くの人が、トライアンドエラ―を繰り返したのちに成功を収めています。

どんな天才であっても、才能があっても、1度の挑戦で成功することはほぼありません。何かやってみて、ダメならすんなりと次に行ける人がチャンスを掴むことができます。

そのような人たちは、失敗を失敗だとわざわざとらえていない場合もあります。

「やってみたらダメだった、それなら次にこんな方法はどうだろう?」と、1つダメでもすぐに次に行けるタフさが備わっています。

それに比べて多くの人は、1歩を踏み出して1度ダメだった時に「やっぱり自分には才能がない」と決めてしまいます。

1度「自分にはできない」と決めた人は、それ以上進むことができなくなってしまいます。

誰かの真似ではない自分だけの可能性

成功している人の体験を真似してみることも役に立つことがあります。

他人が成功を収めていったプロセスについて学ぶことによって、「自分も同じように挑戦したらできる気がする」と良いモチベーションを得られるとやる気に繋がりますね。

しかし、必ず誰かと同じ方法で実践する必要はありません。誰かの真似をしてたまたま上手くいく場合もありますが、同じ方法では難しい場合もあります。

例えば、たまたま手足が長く生まれたインド人のアーサナのアプローチを真似したら、手足の短い日本人にとっては身体を痛める原因になる場合があります。

その時「私は生まれつき手足が短いからこのアーサナは不可能」だと思ってしまいますね。

それなら自分自身にとってのアーサナを探せばいいのではないでしょうか。

以前はヨガをしている人と言うと、スレンダーでスタイルの良い人というイメージがありました。しかし、何年か前にふくよかな体型の女性が様々なアーサナを行う姿が SNS で話題になり、多くの体系にコンプレックスを抱く女性が励まされました。

「痩せていないとできない」という思い込みさえ捨て去れば、できないことは何もないのかもしれません。

自分に対する思い込みが消えると人生が変わる

崖を飛び越える人のシルエット
みなさんの周りにも、もしくはあなた自身も、ヨガを初めて大きく変わった経験がある人は多いのではないでしょうか。

ヨガを練習することで、「私はこういう人間だ」という思い込みが弱まります。

自分にたいする色眼鏡を外したことによって、今の自分にとって最適な場所が分かるようになってきます。

数年前は自分にとって最適だと思っていたパートナーと前向きに別れを決意する人もいれば、長年勤めた職場を変える人もいるでしょう。

食生活が変わる人も多く、アルコールをやめたり、ベジタリアンになったりする人も多いです。

そこまで大きな変化ではなくても、今まで躊躇していた海外旅行に行くようになったり、新しい習い事を始めたりする人もいます。

幼少期の自分、学生時代の自分、新社会人になったばかりの自分、どの自分も本当の自分ですが、私たちは常に変化しています。

過去の自分に執着してしまうと、今の自分を大切にしてあげることができません。

子供の時にはできなかったことも、今の自分ならできるかもしれません。

自分の可能性に蓋をすることなく、無限大の可能性を信じてあげると人生は開けるのではないでしょうか。

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