睡眠不足や睡眠障害は、現代人の重要課題のひとつです。季節の移ろいやさまざまな情報の影響で、「夜にすぐ寝付けない」「なんとなく眠りが浅い気がする」と感じている人も多いのではないでしょうか。
私たちの人生の3分の1は、睡眠時間にあてられています。大切な睡眠の質を高めるためには、寝る前にヨガを取り入れるのがおすすめです。
今回は寝る前に簡単にできるヨガポーズや、自律神経へ効果的にアプローチできるヨガ環境をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
寝る前にヨガをするメリット
寝る前にヨガをすると、以下のようにさまざまなメリットを感じられます。
メリット1:自律神経を整えられる
ヨガは、自律神経を整えることに役立ちます。自律神経とは、交感神経と副交感神経からなり、基本的に人間の意思とは関係なくバランスをとっている神経のことです。
就寝時には自然に副交感神経が優位になり、私たちの心身をリラックス状態へと導いてくれています。
自律神経は自分の意識でコントロールしにくいものです。しかし、ヨガによる穏やかな呼吸によって、神経の支配下にある筋肉や副交感神経そのものにアプローチし、深い眠りへといざなうことが期待できます。
⇒夜ヨガと自律神経の関係をさらに知りたい方は、記事「多忙でストレスフルな人は必見!夜ヨガと自律神経の話」もチェックしてみてください。
メリット2:1日の疲れをリセットできる
ヨガで全身をほぐすと、その日にたまった疲れをその日のうちに和らげられます。
私たちは、PCやスマホ操作で肩が緊張したままだったり、ドライブやデスクワークで腰を長時間動かさなかったりと、日々さまざまな癖や凝りを抱えていますよね。
寝る前のヨガで日中の筋肉の疲れをケアすることで、血流を改善し、老廃物の運搬・排出も促してくれます。
メリット3:ぐっすり寝るための準備ができる
寝る前のルーティーンがあると、身体や心が「さあ、今日はもう寝よう」と準備を始めます。
また、寝る前にヨガをすると体温が一時的に上がり、体温が下がると同時に寝付きのよい状態になります。寝る直前まで仕事のメールやSNSを見ていたりすると、なかなか就寝モードに切り替わりません。
ヨガをきっかけに日中のテンポや慌ただしさから離れれば、ぐっすり寝る用意ができるでしょう。
寝る前におすすめのヨガポーズ
寝る前におすすめのヨガポーズを紹介します。身体の凝りをほぐし呼吸を整えるために、できそうなものから取り入れてみてください。
寝る前のヨガポーズ:バーラーサナ(チャイルドポーズ)
身体の緊張を解き、気分を落ち着かせるポーズです。
- 足先を重ねずに正座をします。
- 両手を前に伸ばし、おでこを床へつけます。
- 背中やお腹の力を抜き、リラックスします。
(お腹が苦しい場合は、両ひざの間隔を空けてみましょう)
寝る前のヨガポーズ:ジャタラ・パリヴァルタナーサナ(ワニのポーズ)
大きくねじり、お尻・腰・肩周りを柔軟にするポーズです。
- まっすぐ仰向けになります。
- 片膝を抱え、左右反対の方向に倒します。
- 手を真横に伸ばし、目線を手先に向けます。
(ねじれの強度は、その日の体調や気分に合わせて調整します)
寝る前のヨガポーズ:ハラーサナ(すきのポーズ)
身体を逆転し、背中から首をリラックスさせるポーズです。
- まっすぐ仰向けになります。
- 両足を天井に上げ、頭の先へそっと置きます。
- 肩甲骨を寄せるようにして、床の上で両手をからめます。
(腰に手を添えて背中をサポートすると、安定感が増します)
寝る前のヨガポーズ:ウッタンプリシュターサナ(トカゲのポーズ)
太もものつけ根を大きく伸ばし、骨盤のゆがみを整えるポーズです。
- 片足を大きく前に出し、ひざを90度にします。
- 両手(または両肘)を前足の横につきます。
- 後ろ足を伸ばし、太もものつけ根を床へ下げます。
(じっくり時間をかけてポーズを身体になじませていきましょう)
寝る前のヨガポーズ:マツヤーサナ(魚のポーズ)
胸を開き、気分をすっきりさせるポーズです。
- まっすぐ仰向けになり、両手をお尻の下につきます(手のひらは下向き)
- 肘で床を押しながら、胸を持ち上げます。
- 頭頂を床につけて、視線を定めます。
(ポーズをほどく際も、ゆっくり丁寧におこなってください)
寝る前におすすめのヨガ環境
自律神経にアプローチして睡眠の質を高めるためには、快適なヨガ環境を整えることも大切です。
寝る前のヨガ環境:ライトを暗くする
昼と夜のメリハリをつけるために、部屋を薄暗くしてみてください。
ブルーライトや昼白色の蛍光灯はなるべく避け、暖色系の間接照明を使うと、リラックスしてヨガができます。
寝る前のヨガ環境:好きな香りに包まれる
香りが好きな人は、アロマキャンドルやお香なども活用できます。
ラベンダー、ゼラニウム、サンダルウッド(白檀)は、イライラの緩和やリラックス効果が期待できます。
寝る前のヨガ環境:安心できるスペースを確保する
ヨガマット1枚分の、誰にも邪魔されない自分だけの空間を作ることも重要です。家族や恋人と同居していると難しいかもしれませんが、「今からちょっとヨガするね」と声をかけるだけでも、周りの人に協力してもらいやすくなります。
スマホの通知が見えないように、マットから遠ざけておくのもおすすめです。
寝る前のヨガですっきりとした明日へつなげよう
寝る前のヨガは、良質な眠りに入りやすくして、明日への活力につなげることができます。
習慣化のポイントは、「毎晩続けなければ」「15分以上やらなければ」などのこだわりを持ちすぎないで、ゆったりとした気持ちで始めること。
また、怪我をしているときや体調が優れないときは、できる範囲で動くか、十分なお休みをとってください。健やかなヨガと睡眠で、豊かで心地いい生活を送っていきましょう!
参考資料
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「健やかな眠りの意義」