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この記事に目を留めてくださった皆さん、もしよかったら、少しの間柔らかく目を閉じてみてください。目元の緊張が少し和らいでいくのを感じたら、鼻先に注意を向けて、呼吸に気づきを向けていきましょう。
自ずと吸う息が入ってきて、自ずと吐く息が出て行く、あるがままの呼吸の流れ…。その自然なリズムをしばらく味わったあと、ゆっくりと瞼を開いていきます。
気づいていなくても、ずっとわたしたちに寄り添ってくれている呼吸。
あまりにも当たり前すぎて、気にしていない時間の方が圧倒的に長いもの。
呼吸もその一つなのではないでしょうか。
呼吸も含め、わたしたちの生命を維持する大切な機能を“自律神経”が司ってくれているおかげで、吸う息、吐く息は、無意識のうちにも生じています。その数、一日平均2〜3万回。そこにここまで生きてきた年月を掛け合わせれば、自分がどれだけの呼吸を重ねて今に至っているかが分かります。
一生切っても切れない”呼吸”。心がけるべきことは?
お母さんのお腹の中に宿っていた間は、胎盤やへその緒を通して受け取っていた酸素。この世に生を受け、初めて肺呼吸をした瞬間が、第一呼吸と呼ばれる産声です。
わたしたちの生命は、吸う息で始まり、吐く息で終わりを迎えるもの。その間、止めどなく繰り返される天文学的な数の呼吸の一つひとつが、わたしたちを今ここに生かしてくれているのです。
ヨガでは、呼吸に乗って “プラーナ(生命エネルギー)” が流れると言われています。豊かで伸びやかな呼吸でプラーナが十分に巡れば、心身共に本来の健やかな状態でいることができます。それだけでも、呼吸は浅いより深い方がいいということが分かりますが、そのためには何を心がけたらいいのでしょう。
「ため息をつくと幸せが逃げる…」はただの迷信!?ため息のススメ。
日常生活に取り入れやすいものとして、一番のおすすめは “ため息” です。ため息と聞くと、どこか後ろ向きな印象を抱いたり、
ため息をつくと幸せが逃げる…
という迷信のような言葉が頭に浮かぶかもしれません。ですが、生理学的に、特に自律神経のメカニズムを考えると、実はその反対。むしろ「ため息は幸せの始まり」です。
試しに、ここで敢えてため息をついてみましょう。鼻から息を吸って、口から「はぁ〜」あるいは「ふぅ〜」っと息を吐きます。もしそうしたければ、何度か同じことを繰り返してから、しばらく目を閉じて、体、頭、心の中で起きていることを感じてみます。体の力みがやや緩んだり、頭の騒がしさが少し落ち着いたり、心の強ばりがどこかほぐれたような感覚がありませんか?
ため息は人間に備わった叡智の1つ。その役割とは?
実際にため息は、自律神経のバランスを取り戻すために交感神経の高ぶりを鎮めようと、わたしたちの体が自ずとしている作用。言わば、“体(生命)の叡智”そのものです。
交感神経が優位になりすぎている状態が長引いていると、体は緊張して縮こまり、その分呼吸が浅くなり、血液中の酸素が不足してしまいます。その乱れを整えようとして、思わずため息が出るのです。
ため息は幸せの始まり。生命を生き生きと育むツールとして。
深くため息をつくことは、深く息を吐くこと。吐く息が深まる分、吸う息も深まり、浅い呼吸から深い呼吸に戻っていきます。そうすることで、プラーナが行き渡り、生命としてのわたしたちを生き生きと育んでくれるのです。
“Deep breaths are like little love notes to yourself.”
ーUnknown author「深呼吸は、あなた自身への短い恋文のようなもの」
(作者不明/和訳: 川原朋子)
ヨガジェネレーションで受けられる、「自律神経を整える」リストラティブヨガ