ヨガは食後何時間後?
私たちの口から入った食物は、消化の過程で各臓器が必要な処理をし、体内で利用可能な状態に変換されます。
消化器とは口から肛門までの1本に繋がった管を指し、成人で約9mもの長さがあります。
食べ物の内容や量にもよりますが、通常、食べ物が胃に滞在するのは食後2〜3時間、その後便として体外に排出されるまでは食後24〜72時間かかります。そして、このように消化管に食物が滞在している間は、血液も消化管に集中します。
また、食後すぐに運動することで、消化不良や嘔吐の原因にもなりかねません。これらのことから、ヨガ等の運動は、食後2〜3時間後以降におこなうことが望ましいです。
内臓と免疫
消化管の健康は免疫機能にも関わってきます。
私たちの体は、食べたものでできているからこそ、身体にとって危険なものが体内に入らないように、または入った場合でもすぐに外に出す仕組みが存在します。
まずは舌。苦味は毒と判断され、吐き出すことで体内に入らないようにします。これは子どもの方が敏感で、苦味のある食物が苦手な子が多いのはこのためです。
そして、胃や腸でも消化の過程で、体に有害と判断されれば、脳に信号が届き、嘔吐や下痢になって体外に排泄されます。
つまり、病原体から身体を守るために、消化管を健康に保つことはとても大切で、内臓の健康はそのまま免疫機能の強化につながります。
ヨガで知る内臓の状態
では内臓の健康はどのようにして知れば良いでしょうか。
ヨガには「シャットクリア」という6つの浄化法が存在し、「ナウリ(内臓の浄化)」や「ネイティ(鼻うがい)」が代表的です。
内臓は内部感覚の最たるもので、他の刺激があると中々感じることができないため、これらの浄化法はどれも、空腹状態でおこなうことが良いとされます。
浄化法を通して、日常的に内臓の状態を確認することは、体調管理に直結します。
免疫機能を上げるためのヨガ
食事は腹八部目までが良いとも言われますが、ヨガでは腹七部目程度にしておくのが良いと言われています。
お腹一杯に食べ過ぎることは、内臓への負担、さらには免疫力の低下に繋がります。
また、「シャットクリア」以外にも、アーサナで内臓に関係するものがあります。捻りや逆転のポーズです。
「アルダマッツェンドラアーサナ」等の体幹を捻じるポーズでは、内臓に刺激が入り、マッサージ効果が期待できます。
「セッツバンダアーサナ」等の逆転のポーズでは、内臓を重力から解放させ、本来の位置に戻すことで、その機能を向上させる効果が期待できます。
内臓に意識を向けて身体を知る
私たちは食べたものからできているので、何を食べるかはもちろんとても大切です。
ですが、日々自分の内臓の状態に意識を向け、今身体が必要としているものを知ることも、健康的に過ごしていくためには必要です。
免疫機能の要である内臓に意識を向ける1つのツールとして、ヨガは有効になり得ます。
せっかくヨガをするなら、是非食後2〜3時間後、空腹時に内臓の感覚へも意識を向けながらおこなっていただくことをオススメします。
参考資料
- 中村尚人著『体感して学ぶ ヨガの生理学』株式会社BABジャパン、2017年