『陽』のエネルギーがピークになる夏。太陽の光に誘われて、海や山へ、楽しみを求めて出かけたくなる季節です。
五行の考えでは、『夏』は『火』、『喜』、『心』、『赤』と関係があります。
心も身体も広がる季節、しっかり暑さ対策をしながらアクティブに過ごし、『喜び』で満たされることが『夏』の養生になります。
今回は、東洋医学的暑さ対策についてお伝えします。
赤いものを食べよう!
季節の色の食材を食べると、その季節の不調の予防、解消に繋がります。
青・赤・黄・白・黒の五色の中で、『赤』が、『夏』と同じ『火』に属します。
『夏』は『赤い』ものを食べることで、『火』の要素による暑さから身を守ることができます。
赤い食材おすすめ3選
なつめ
乾燥なつめ100グラムあたり、1.5ミリグラムの鉄分が含まれています。
また、赤血球を作り出すのに欠かせない葉酸も豊富で、貧血や鉄欠乏症にも良いとされています。
五臓の中で、『心』は、『夏』と同じ『火』に属します。
東洋医学での『心』の働きは、血を作ること、血流をコントロールすることなどがあり、『心』の働きをサポートする観点から、『夏』におすすめです。
そのまま食べても美味しいですし、胡桃と合わせて食べたり、弱火で約30分煮詰めて、なつめ茶として頂くのも美味しいです。
小豆
小豆には余分な水分をとる作用があるので、前回のコラム、梅雨の養生でおすすめしましたが、余分な熱をとる作用もあり、引き続き『夏』にもおすすめです。
小豆茶、あんこを使った和菓子など、楽しみながら養生できます。
トマト
トマトは、口の渇きを潤し、余分な熱をとってくれると共に胃を元気にしてくれます。
お出かけ前にトマトを食べたり、お出かけ先でトマトジュースを飲んだりすることが熱中症予防になります。
特に、身体に熱がこもりやすいという方に、オススメです。
消化を促す働きもあるので、暑さで食欲が落ちている時にも最適の食材です。
私は、トマト(2〜3個)と玉ねぎ(1/2個)のみじん切りをお鍋に入れて、トマトが崩れるくらいまで弱火で煮込んで、さっぱり簡単トマトソースを作り置きしています。
塩、胡椒、オリーブオイルをプラスして、そうめんにかけたり、ご飯にかけてリゾットにしたり、夏の定番手抜き料理です。
注意点としては、身体を冷やす作用が強いので、身体が冷えやすい方は、生のトマトよりも、火を通したトマト料理をおすすめします。
冷え症は夏に解消:冬病夏治
東洋医学では、冷え症、喘息、関節痛など、冬になると悪化する症状は、『夏』の1番暑い時期に治療をすると治療効果が高いとされています。
中国では、夏の1番暑い持期を「三伏天」と呼び、この時期のお灸の治療は、「天灸」と呼ばれ、冬の慢性病の治療として行われています。
三伏天に使われるツボをご紹介します。
- 大椎:頭を下に向けた時に1番出っ張っている背骨のすぐ下です。
- 肺兪:大椎から3つ下の背骨で、左右に指2本分外側です。
- 膏肓:大椎から4つ下の背骨で、左右に指4本分外側です。
火を使わない貼るお灸などもあるので、セルフ冬病夏治を行うのも良いでしょう!
今年の「三伏天」は、7月3日〜8月11日です。
セルフ清熱で快眠
清熱とは、熱がこもった身体を冷ますことです。
睡眠不足が続くと、『陰』のエネルギーが少なくなります。
『陽』のエネルギーがピークになる『夏』は何もしなくても『陰』が少ない状態です。そこに睡眠不足による『陰』のエネルギーの低下が続くと、身体に熱がこもり『夏』の不調に繋がります。
暑さで眠れない夜は、寝る前に手をグーにして反対側の脇の下を叩いてあげると、『心』の経絡の流れを良くすることでき、余分な『心』の熱が取れて、質の良い眠りをもたらしてくれます。
参考資料
- 実用 中医薬薬膳学 辰巳洋 著/東洋学術出版社
- 薬膳素材辞典 健康に役立つ食薬の知識 辰巳洋 主編/源草社