ヨガで筋トレ?
筋肉が動くときは収縮を伴いますが、その筋肉の収縮には、強度があることをご存じでしょうか?
ヨガは全身の有酸素運動であると共に、筋力のトレーニングにもなります。
今回は筋肉の仕組みと、ヨガへの応用の方法についてお話ししていきます。
筋収縮の強度
私たちの骨格筋は、基本的には関節をまたいで骨に付着しています。そして、脳からの指令で、筋肉を収縮させ、関節を曲げたり、また曲がっていた関節を伸ばしたりするという仕組みを持っています。
筋肉に負荷をかけながら、収縮したり伸展させたりすることを筋力トレーニングと言いますが、方法によって、この筋肉にかかる負荷は3種類に分けることができます。
- 短縮性収縮:筋肉が縮みながら力を発揮する状態で、筋肉にかかる負荷としては1番軽いです。
力こぶの筋肉、「上腕二頭筋」を例にすると、重いものを肘を曲げて持ち上げる動作が、これにあたります。 - 等尺性収縮:筋力が働いたままキープしている状態です。
互角の勝負をしている腕相撲はまさに等尺性収縮がかかっています。力は入っているけれど、見た目に大きな動きはありません。 - 伸張性収縮:筋肉が伸ばされながら力を発揮する状態で、これが最も負荷が高くなります。
「上腕二頭筋」で説明すると、肘を伸ばしながら重い物をゆっくりと下ろす動作です。
ヨガで活かす筋トレ
これらを意識してヨガをおこなうことで、同じアーサナをおこなっていても、強度が変わってきます。
基本的にアーサナのキープは全て等尺性収縮になるので、キープ時間を長くすることは、筋肉への負荷増大に直結します。
また、意識の向け方でも、この等尺性収縮を使うことができます。
例えば「ウォーリアー(戦士のポーズ)2」。しっかりとした土台の強さを感じながら、全身を使うポーズで、比較的難易度も低く、初心者向けのレッスンでも出てくることもあるアーサナかと思います。
この「ウォーリアー2」ですが、例えば、キープしながら、大きく開いた両足でマットを中心に寄せ集める意識を追加するとどうでしょうか?
見た目は大きく変化しませんが、ただ両足でマットを踏み締めていた時よりも、内腿に強く刺激が入ってくると思います。
次は伸張性収縮を使う場面を考えてみます。
例えば「船のポーズ(ナバーサナ)」から、ポーズを解くとき、できるだけゆっくり上体と足をマットに下ろしてみましょう。キープの時に使っていた腹部の筋肉により負荷がかかってきます。
また、プランクからできるだけゆっくりとチャトランガに移行することでも、二の腕の筋肉にこの伸張性収縮がかかり、負荷が増大します。
太陽礼拝でも筋力アップ?
ヨガは基本的に、左右同じ動きをおこなうので、左右均等に筋肉を刺激できます。
そして、ダンベルなどの重りは使わず、自分自身の身体を使っておこなうので、自分の体を支えるために必要な、しなやかな筋肉を作っていくことができます。
難しいアーサナに挑戦することはもちろん筋力アップにもつながりますが、いつもおこなっているヨガをゆっくり、しっかりと意識を向けておこなうことも、十分な筋力トレーニングになります。
例えば、いつもおこなっている太陽礼拝も、1つ1つのアーサナのキープ時間を長くしたり、ポーズからポーズへの移行をゆっくりとおこなったりすることで、より負荷の高いシークエンスに変わります
筋肉への負荷の強度を理解して、ヨガで効率よく筋力アップもしていきましょう。
参考資料
- 荒川裕志 著『プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典』株式会社ナツメ社、2012年
- 坂井健雄・河原克雅 著『カラー図解 人体の正常構造と機能』日本医事新報社、2012年