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寝起きが悪い、日中眠くなる…などの悩みを抱えていませんか?
- 目覚ましは鳴っているのに二度寝、三度寝を繰り返してしまう
- 寝起きが悪いのでアラームを何個もかけている
- なんとか起きても、とろんとした状態から抜け出すのに時間がかかる
こんな「朝」にまつわるお悩み、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか?
できることならすっきり起きて、一日をスムーズにスタートしたいものですよね。
幸せホルモンともよばれる脳内物質・セロトニン。
昨今メディアでも話題の脳内物質・セロトニン。その効果は想像を超えるほど多岐にわたり、なんと、すっきりと目覚め、一日をベストな状態をつくるうえでも重要な役割を果たしているそうなのです。
そこで、東邦大学医学部名誉教授でセロトニンDojo代表、セロトニン研究第一人者・医学博士で脳生理学者の有田秀穂先生に、セロトニンが活性化することで促される脳機能、そしてセロトニン神経を活性化させるための「朝のおすすめのすごし方」について伺いました!
ハッピーホルモン・セロトニンってどんなもの?
ハッピーホルモンとして巷で話題のセロトニン。メディアなどで取り上げられることも多く、不安などにより心身の緊張感が高まりがちなコロナ禍において、ますます注目度が増しているようにも思います。
・太陽を光を浴びると増えると聞いたことがある
・メンタルに関係があるイメージ
そんなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、セロトニンがもつ働きはそのイメージをはるかに超えるほど広く、また他の脳内物質との関係もみられます。
有田秀穂先生は、
- 私たちには、私たちを元気にしてくれる、ありがたい脳内物質・ハッピーホルモンがある
- それは自然に出てくるものではなく、体に働きかけることでおこること
であるとおっしゃいます。
私たちを元気にしてくれる、というハッピーホルモン。
例えば、うれしいことがあったから、美味しいものを食べたから、など、私たちはつい自分自身の外側から影響をうけて幸せを感じていると思いがちですが、自分自身の脳内に、元気や幸せを生み出すことに関係する物質を、すでにもちあわせているとは驚きですよね。
わたしたちの体に備わった物質であるセロトニンの具体的な脳機能とは、どのようなものなのでしょう?そしてどのように体へ働きかけたら分泌が促されるのでしょう。
セロトニンが関係する4つの脳機能
セロトニンを30年以上研究してこられた有田秀穂先生から、セロトニンのもつ脳機能について伺いました。
すっきりと目覚めることができる
「すっきりとした覚醒状態」は、脳内物質・セロトニンによって作られるといって間違いないそう。セロトニンがしっかりと分泌することで、まず、頭がすっきりと目覚めることにつながります。
気分をポジティブにしてくれる
眠りから覚めてまだぼーっとしている気分を、ポジティブに、やる気がでてくる状態にしてくれるのにも、実はセロトニンの分泌が関与しているそう。一日を前向きに、よい気分とともにスタートを切るのにセロトニンの働きは欠かせないものと言えそうです。
自律神経のスイッチを切り替える
夜、寝ているときには副交感が優位な状態がつづき、起きると私たちが活動するのに必要となる血圧や体温を上昇させるためにも交感神経が優位な状態に切り替わっています。その自律神経を背後で副交感から交感に切り替えてくれるのもセロトニン神経の役割です。
顔つきや姿勢をシャキッとさせる
朝、起きたばかりのときには顔つきはとろんとして、シャキッとしていないもの。この顔つきや外見をシャキッとさせ、仕事モードにさせてくれるのも実はセロトニンの役割なのだそう。
驚くのが、どれもすっきりとした目覚めや一日の過ごし方と深く関係しているという点。
「セロトニンは夜寝ているときには分泌されていないんです。朝起きると分泌がはじまって、起きて活動しているときに、覚醒状態をいい状態にしてくれる物質です」
と、有田秀穂先生。
すっきりと一日をスタートさせ、起きている間を快活に過ごしたい、と願う私たちの理想と、セロトニンのもつ脳機能はばっちり重なっているのだと気づかされます。
セロトニンを増やす!朝のおすすめの過ごし方
セロトニンが一日の快活さにつながることがわかったところで、気になるのが、セロトニン分泌の増やし方。
朝のおすすめの過ごし方について伺いました。
太陽の光を浴びる
理由は照度(光の強さ)。研究では太陽光の照度はおよそ2500~3000ルクス以上と計測されていますけれども、部屋の中は500ルクス以下ですから、電灯の光だと照度不足なので、家の中で電灯の光の下にいてもセロトニンを増やすことはできないんです。
外に出るのが一番ですけれども、窓際から1~2m以内だとけっこうそれくらいの照度があります。これがひとつのセロトニン活性の方法です。
歩行・呼吸・咀嚼!3つのリズム運動
分かりやすい例がウォーキング。セロトニン神経は「脳幹」という脳のいちばん根っこのところにある、基本的な生命活動に直結したところにあるのですが、その左右に、歩行のリズムを司る中枢があります。歩行をしっかりおこなうと、その真ん中にあるセロトニン神経の活性化がおこるのです。
ご紹介したポイントでセロトニンは増えるように私たちの体はできていますから、積極的にそれをおこなうのはすごく意味がありますし、それだけでいいんだということになります。
私たちは、何か不調があるとどうしても自分の外側からなにかを足そうとしてしまいがちですが、すでに私たちの中に、とっておきの方法が備わっていて、それをいかに目覚めさせるのかというポイントがあるということに、安心感もおぼえますね。
今回の記事の元となった、ヨガジェネレーションYouTube動画はこちら
有田先生による「脳内ホルモン基礎講座」開催中!
30年以上の研究にもとづく、貴重なお話を教えてくださった有田秀穂先生。
歩行・呼吸・咀嚼などのエクササイズの詳細や、その知りたい方におすすめなのが、有田秀穂先生による「脳内ホルモン基礎講座」。
私たち人間の心模様、心の状態の作られ方のしくみを脳内物質の視点から紐解きながら、30年以上のセロトニン研究における興味深い研究結果など交えながら、セロトニン・メラトニン・オキシトシンといった脳内物質の詳細や相互関係も学ぶことができます。
セロトニンをはじめとする脳内物質が私たちの体の中でどのように働いているのかという具体的なメカニズムや、研究結果にもとづくポイントなど…
より詳しく脳内物質について深められ、今回教えていただいた事柄もさらに腑に落ちるような学びなので、さらに詳しく知りたいという方はぜひチェックしてみてくださいね。
幸せホルモン・セロトニンには、一日を、そしてこれからも続く自分の毎日を、少し前向きで幸せなものにする秘訣がつまっています。
誰しもに備わった脳内物質を理解し、活性化させることで、毎日がより快適なものとなるよう過ごしてみてくださいね。