超高齢社会に対応するヨガとは?
ずいぶん前から耳にしてきた“高齢化社会”という言葉。皆さんが実感する機会はあるでしょうか?いわゆるシニアと言われる世代でも、アクティブな方が多いように感じるのですが、実際、日本では総人口に対して65歳以上の高齢者人口は3461万人(平成28年9月15日現在推計)で、総人口に占める割合は27.3%となり、もはや“高齢化社会”ではなく”超高齢社会”となっています。[1]
そこで今回は、今後さらにニーズが高まることが見込まれる「シニアヨガ」について、普通のヨガとの違いや指導の際の注意点をまとめていきます。
シニアヨガのニーズ
超高齢社会の日本において、シニアヨガのニーズは実際のところあるのでしょうか?
内閣府のデータによると、60歳以上のシニア(高齢者)のスポーツ志向、健康志向は、特に女性を中心に高まりを見せており、適度なスポーツや外出が健康維持に役立っていると考える高齢者が多くなってきています。[2]
実際、フィットネスクラブ会員数の年齢別構成比などでは60歳以上の比率が高まってきており、この10年で2倍近くにもなっているという調査結果も経済産業省から発表されています。[3]
これは平均寿命が延び、定年後の時間を謳歌するためにも自分自身の健康が大きな鍵であると考えるシニアが増えてきているからだと考えられます。
また、子供と離れて過ごしているシニアが多いということも考えられます。人との関わり、コミュニケーションの場としてフィットネスクラブやスポーツサークルに行くというシニアも多いのではないでしょうか。
これらのことを鑑みると、今後、シニアヨガのニーズはさらに拡大していくと考えられます。
「シニアヨガ」と「普通のヨガ」の違い
「シニアヨガ」と「普通のヨガ」の違い、それはヨガの目的と練習の質です。
ヨガの目的
シニアヨガの目的は、自立した生活をサポートすることです。
歳を重ねるにつれ、思うように自分の身体が動きにくくなります。これは自然の摂理であり、避けられないものではあります。そしてそれは身体だけではなく、そういった状況に対しての焦燥感や、生活スタイルの変化による孤独感といった、心への影響もあります。
シニアヨガでは、こういった加齢による変化に対して、身体的にも精神的にもサポートし、できる限り今の生活の質を維持することを手助けすることを目指しています。
練習の質
シニアヨガと聞いて皆さんはどんなヨガをイメージしますか?
何となく動きが少なく、緩い、リラックス系のヨガを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、シニアヨガの中には動き自体は小さく、ゆっくりですが確実に身体に効くヨガの要素が含められていることに気づくでしょう。
また体力が衰えているシニアも多いので短時間で効率的に身体を使う練習が取り入れられているのも特徴のひとつです。
どうやってシニアヨガを教える?
シニアヨガを教える上でポイントとなるのが安全性と効果の最大化です。
加齢によりシニアの多くは身体に痛みや硬さ、緊張を持っています。こういった症状の悪化や転倒といった重大な問題が起こりうる可能性を十分に認識しておくことがシニアヨガを教える上ではとても重要です。そして同時にそれらを回避する正しい知識やスキルが必須となります。
通常のヨガ指導の知識の上に、これらのシニアの身体や心に特化した専門的な知識と正しいアジャストメントやクラス作りのスキルを持ったうえでシニアヨガを教えるようにしましょう。
同時に、体力が衰えているシニアも多いので短時間で効率的に身体を使う練習を心がける必要があります。
今の生活の質を維持することを目的としているからこそ、効かせるべきところにきっちり効果をもたらすヨガを指導することが重要です。