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みなさんは毎年新年の抱負を考えますか?
新年の抱負を考えるのは日本だけの文化ではありません。毎年この時期になると世界中の人が1年の抱負を考えて、SNS に投稿している人も多いです。
今年は、やっと旅行がしやすくなったこともあり、念願の海外旅行に行くことを望んでいる人を見ることが多いです。
さて、そんな抱負について、ヨガではどのように考えているのでしょうか?
ヨガではサンカルパと呼ばれるものがあり、新年にはサンカルパ瞑想を行うヨガ・スタジオも多いと思います。
ヨガのサンカルパについて考えてみましょう。
ヨガのサンカルパは内側から現れる深層心理
ヨガでは自分自身への誓いをサンカルパと呼びます。
ヨガでは、サンカルパは浅はかなものではなく、自分が本当に願うものでないといけないと説きます。
みなさんの新年の抱負を思い出してみましょう。
例えば去年の新年の抱負を思い出すことはできますか?また、昨年の新年の抱負を叶えることはできましたか?
筆者は毎年のように「今年は10 ㎏ 痩せよう」と新年に唱えていますが、1月から継続し続けて達成した記憶は1度もありません。
このようにお正月に決心した1年の抱負は、多くの場合3日坊主で忘れてしまう程度の浅はかな願いです。
それはサンカルパとは違うものです。
3日で忘れてしまうような願いは、外からの情報に影響されて決める場合が多いです。
SNS でミニマリストの投稿を見て「今年こそは部屋を綺麗にするぞ!」と決心をしたり、ジムに通い始めて身体が引き締まった友人を見て「私もワークアウトをするぞ!」と目標をたてたりします。
これらの願望は決して悪いものではありませんが、自分の心にしっかり向き合って見つけた本当の願いではない場合が多いです。
自分の内側の奥深くから現れる本当の願い
サンカルパは、人生において、何よりも優先して叶えるべき大切なものであり、自分の心の奥から溢れてくる願いに従って探さなければいけません。
もしサンカルパ、本心からの誓いが痩せることだとしたら、ビュッフェのパーティーで「参加費がもったいないから」という理由だけで簡単に誓いを破ってしまうことはありません。
1度決めたサンカルパは、毎日唱えて、人生をかけて継続して抱き続けるものです。
だから、これが自分のサンカルパだと確信できるものに出会うまで、毎日自分自身に問いかけて探しましょう。
1度サンカルパが見つかると、それが人生の指針になります。自分が幸福に生きるために、何をしなければいけないのか、どこに進まなくてはいけないのか、それを教えてくれるのがサンカルパです。
結果に執着しないことがヨガのサンカルパ
ヨガとしてのサンカルパを見つける時のヒントとして、結果に制限される願いは見つけてはいけないとされています。
教典『バガヴァッド・ギーター』では、結果に執着してはいけないと繰り返し説いています。
「あなたに与えられたのは定められた義務のみである。行為の結果にはない。行為の結果を動機としてはいけない。また行為しないことに執着してもいけない。(バガヴァッド・ギーター2章47節)」
例えば、「10㎏痩せるぞ!」や、「年内に年収を20%アップする」といった願いは、数字によって成功か失敗かが分かれてしまうものであり、結果を動機とした目標です。
それに対して「軽快で快適になるための正しい食生活」という抱負であれば、結果的に健康体重まで痩せることは一緒であっても、自分自身の行為にコミットしているので結果をジャッジする必要はありません。
サンカルパは、自分がやり遂げることを目的とするべきで、その結果に固執するものでないことが重要です。
自分の言葉を真実にするサティヤ(正直)の実践
サンカルパを決心したら、それを継続して実践していくことがとても大切です。
サンカルパは、自分との約束です。
自分に対して誠実であることは大切であり、1度決心したサンカルパは必ず毎日唱えて自分の心に深く刻んで忘れないようにしましょう。
例えば、「少しでも病気に苦しむ人を助けたい」という自分の願いに気が付き、医者を目指すとします。難関大学に合格するためには継続して勉強を続けなくてはいけません。
しかし、3日坊主で、「今日くらい遊んでも良いかな」とサボってしまったとします。それは、自分との約束を破ってしまったということですね。
頻繁に目標を立てては挫折してしまう人は気を付けましょう。
「自分との約束は破っても良い」のだと、自分を軽視する習慣が無意識に身についてしまいます。
それは、自分自身を大切にしていないということです。
友達との約束を「急に彼に誘われたから」とドタキャンされたらどう思いますか?とても悲しくなりますよね。
人に軽く見られたら悲しいのに、自分で自分を軽視していることを黙認していませんか?
自分で「大切にしなくて良い人」と無意識に思っているのに、家族や友人、パートナーからないがしろにされるのは許せないと考えるのは道理が通っていないですよね。
だから、サンカルパは必ず継続できると決心するものであるべきです。
自分との約束を守り続けるサティヤ(正直)
『ヨガ・スートラ』に出てくるサティヤは、正直であること、嘘をつかないことです。
「サティヤの戎業に徹するならば、その人は行為とその結果とのよりどころとなる。(ヨガ・スートラ2章35節)」
サティヤの実践を続けることで、私の発した言葉は必ず現実に起こるようになってきます。
以前「引き寄せの法則」という言葉が流行しました。この引き寄せの法則は、ヨガ的に考えて半分正しくて、半分間違っています。
確かに私たちの思考によって行動が変わり、人生が変わります。そのため、常にポジティブな思考や発言を心がけることはとても大切です。
しかし、私が嘘つきならどうでしょうか?
例えば、「明日から間食を食べない」という自分に向けた約束を、3日ごとに破っていたとします。
常に自分への誓いを破り続けた結果、「私の誓いは破られるもの」「私が望んだものは実現しない」というパターンが潜在意識に記憶されてしまいます。
自分との約束を守ると言うことは、とても強いサティヤ(正直)の実践です。
忘れないように毎日唱えて、それを継続することによって、私の思考や言葉には真実に繋がる力が備わってきます。
実現しやすい段階的なサンカルパ
求めるものが大きすぎると、一気に叶えることができない場合があります。
その場合は、段階的なサンカルパを探しても良いでしょう。
最終的な目標を叶えるために、今できることは何なのか?
まずはこれを叶えて、次にこれに挑戦するといったように、確実なステップで進むことも良いと思います。
1つずつ自分との誓いを守ることができれば、自分の言葉に力が宿ってきます。
自分の言葉は守られるものであると刻み込まれれば、考えたことが自然と実現するような経験を得られるようになってきます。
じっくりと自分のサンカルパを考えましょう
サンカルパは、自分の人生を幸せに生きるための指針です。
まずは、自分が本当に望んでいるものは何なのかをじっくりと考えてみましょう。
そのためには、内観するヨガの時間がとても大切です。
ヨガを行っている時、瞑想している時間は、自分と向き合う貴重な時間です。
自分の内側に意識が向き始めると、自然と心の声が聞こえるようになってきます。
自分の本当の願いを見つけたら、自分に対して誠実に、自分への誓いを守っていくことで、自分の人生の変化を感じられるようになってきます。