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春は新しいことを始めるのに最適な時期です。学校や新しい仕事を始めるのも春が多いですね。
同じように、ヨガの練習を始めるのも春が良いと言われています。
ハタヨガの古典教典に書かれた、ヨガに最適な季節に関してみていきましょう。
ヨガを始めるのに適さない季節、最適な季節
実践的なヨガの教本として、現代でも読み親しまれている『ゲーランダ・サンヒター』という教典があります。
17世紀後期に書かれたと言われる、今から何百年も前のヨガの教本ですが、インドのアシュラム(ヨガ修行道場)では今もゲーランダ・サンヒターに書かれたヨガの技法を忠実に実践している人が沢山います。
そんなゲーランダ・サンヒターの中には、ヨガを始めるのに最適な季節について書かれています。
冬季、寒季、夏季、雨季にヨガを始めるべきではない。もしこれらの季節に行うと病気を招く。(ゲーランダ・サンヒター5章8節)
ヨガを始めるべきではない季節
まずは、ヨガを始めるべきでない季節について説かれます。
へーマンタ(冬季)
へーマンタは冬です。冬はヴァータ(風)の性質が高く、乾燥しています。インドの冬は、空気も汚れています。
寒い時期には身体全体の筋肉も硬直しがちで、呼吸に必要な肺の働きもなめらかではありません。
深い呼吸が難しく、ヨガの練習を始めるには適していない季節です。
シシラ(寒季)
シシラは特に寒さの厳しい季節です。
ヨガにはカパーラバーティなど、体温を上げるようなテクニックが沢山あります。
しかし、ヨガを初めて行う初心者にとっては、寒い時期は適していません。
私たちが呼吸するとき、入ってくる息が冷たすぎても熱すぎてもいけません。そのため鼻から入った空気の温度を肺に届くまでに自然に調節を行っています。
しかし、外気があまりに冷たいと、多量の空気の温度調節ができないため、自然と息が細くなりがちです。
深く呼吸ができないと、ヨガの効果を充分に受け取ることができません。
グリーシュマー(夏季)
逆に暑い夏もヨガにはできしません。
ヨガの実践の多くは、体内の炎を燃やして不純性を燃やすために、熱を生むテクニックを行います。
もともと暑い夏季にヨガを行うと、体内に熱が溜まりすぎてよくありません。
また、暑い時期は消化の力も弱まりがちで、不純性が体内に生まれやすいです。消化に沢山のエネルギーと時間を必要とするので、激しいヨガを行うことが困難です。
ヴァルシャー(雨季)
インドのモンスーンはとても激しい嵐のような豪雨が続きます。このような季節もヨガ向きではありません。
太陽を見ることができない梅雨の季節には、身体も怠く、重たくなります。消化の力も弱くなるため、体内の不純性が高まりやすいです。
ヨガを始めるのに最適な季節
前述した季節を避け、ヨガは春か秋に始めるべきだとされます。
ヨーガは春と秋に始めるべきだと言われる。そうすることによって、ヨーガ修行者は成就を得、様々な病から解放される。(ゲーランダ・サンヒター5章9節)
春と秋は空気の温度も最適です。乾燥しすぎても、湿度が高すぎもせず、深い呼吸をするのに適しています。
ゲーランダ・サンヒターによると、春は3月と4月。秋は9月と10月です。日本での季節の認識とほぼあっていますね。
ヨガは春か秋に初めて、4か月間集中して行うと良いと言われます。
伝統的なヨガの修行では、呼吸の質が最も大切です。心地よく、深く呼吸をできる季節であることがヨガにとって大切です。
春は花粉症にもなる?カパ(水)の性質を整えるヨガ
春は深い呼吸をするのに最適な季節なので、ヨガに適していると言われています。
一方で、春の訪れとともに花粉症などに悩んで呼吸がしにくいと感じる方もいるかもしれません。
ヨガと深いかかわりのあるアーユルヴェーダによると、冬の間に蓄積されたカパ(水)の体質は、春の暖かさによって表に出てきやすく、それによって粘液質の症状が出やすいです。
カパ(水)の性質がもっている粘液質の症状の代表的なものは、鼻水や淡などです。
また、カパ(水)はタマス(暗質)の特徴もあり、重たく、怠慢になりがちです。
「春眠暁を覚えず」という言葉もありますが、春には自然とタマス性が上り、眠たさを感じやすいです。
春に急に表面化するカパ(水)の特徴を避けるためには、冬の間からカパのエネルギーを取りすぎないように気を付けることが大切です。
例えば、冬に美味しいホットチョコレートやクリスマスのケーキなど、砂糖、乳製品、油の多い食品を冬に摂りすぎると、暖かくなってきたときに急に怠さが現われます。
春のカパ(水)の乱れを洗い流すシャット・カルマ
ハタヨガでは、春に表面化しやすいカパ(水)の乱れを解消するためのテクニックがあります。それはシャット・カルマ(6つの浄化法)と呼ばれています。
肥満と粘液質(カパ)の人はシャット・カルマを行うべき。それ以外の人は行うべきではない。3つのドーシャ(性質)が均衡がとれているから。(ハタヨガ・プラディーピカ2章21節)
3つのドーシャ(性質)とは、ヴァータ(風)、ピッタ(火)、カパ(水)の3種類を意味しています。
この中で、ヨガの障害となるのは粘液質であるカパ(水)の性質です。
シャット・カルマとは、カパの粘液質を洗い流すための6つの浄化作法です。
今回は6つの作法の中から、比較的取り入れやすいものをご紹介します。
ジャラ・ネーティ
ジャラ・ネーティは、水を使った浄化作法です。
ネーティポットと呼ばれる専用の道具を使い、ぬるめの塩水を片鼻から入れ、反対の鼻から流し、鼻孔を水で洗い流します。
鼻の中を洗い流すことで、呼吸がしやすくなるだけではなくて思考がスッキリするのを感じることができます。
ハタヨガ・プラディーピカによると、頭の中を清めて霊的な直感を与えてくれると説かれています。
ネーティは、カパ(水)の性質が高まる前の、冬の時期から始めることで花粉症などの症状を弱めることができるとも言われています。
カパーラバーティ
呼吸法として知られているカパーラバーティも、ハタヨガではシャット・カルマ(浄化法)と定義されています。
カパーラバーティは腹部を活発に動かして体内の火を燃やすことによって、粘液性の不純物を燃やしきることができます。
不純性を燃やしきることで霊的な感覚が研ぎ澄まされ、頭蓋骨の中に光を感じることができます。
新しい季節にヨガを楽しもう
少しずつ暖かい季節になると、気持ちもワクワクしてきますね。明るい光の差し込む春は、気持ちも前向きになって新しいことを始めるのに最適です。
すでにヨガを練習している人であっても、春には少しずつ呼吸が深まっていくのを感じて、ヨガを練習する喜びを感じやすいと思います。
新しい気持ちでヨガに向き合うことによって、今までと違う発見があることでしょう。
ヨガの恩恵を深めやすい春や秋に練習に集中することによって、体調を崩しやすい夏や冬にも自分の身体を整えるコツが分かってきます。
その時々の気温、湿度、時間帯など、ヨガを行う環境によっても効果の違いを感じられるようになると、ヨガがもっと生活に密接なものになってきますね。
ヨガで感覚を研ぎ澄ませて、季節による違いに意識を向けるのも楽しいですね。