腰痛はありますか?
厚生労働省の調査(R1年国民生活基礎調査)によると、日本人の約10人に1人は腰痛を自覚しており、多くの方が、腰痛を持ちながら生活をしているということがわかります。
腰痛の原因は様々ですが、腰に負担のかかる姿勢が続くことも、腰痛の要因となります。
今日は身体の構造から、腰痛の原因にもなりうる、姿勢についてお話ししていきます。
日常で腰部にかかる負担
私たちの背骨(脊柱)は頭から腰までをつなぐ26〜27個の背骨からなります。
その場所や形状により5つに分類され、腰椎(腰部にある椎骨)は5つあります。
そして、1つ1つの椎骨の間には、椎間円板と呼ばれるクッションがあり、この厚さは頚椎と腰椎で厚く、胸椎で薄くなっています。そのため、頚椎と腰椎は比較的大きな可動性を持ちます。
椎間円板にかかる圧力は、姿勢によって異なります。
立った状態での第3腰椎と第4腰椎の間の椎間板内圧を100とすると、立ったまま20度前屈すると138、背もたれのない椅子に座ると115、椅子に座ったまま20度前屈した場合では椎間板内圧は185にまで上昇するという研究結果があります。
この座ったまま20度前屈する姿勢は、まさにデスクワークで多く取られる姿勢であり、長時間のデスクワークで、腰部にかかる負担が大きくなることがわかります。
腰痛改善に効果的なヨガ
この負担を軽減するためにもヨガは有効です。
腰痛改善に効果的なアーサナをご紹介します。
cat&cow
cat&cow は背骨を柔軟に動かしながら、呼吸をおこなうことで腰にかかる圧力を分散させます。
チャイルドポーズ
チャイルドポーズは、強く前傾しがちな腰椎を後傾にすることで負担を軽減しやすくなります。
太陽礼拝
太陽礼拝は、背骨の前後の動きがバランスよく組み込まれていると同時に、プランクなどの体幹を刺激するポーズも含まれているので、正しい姿勢を保持する力を養うこともできます。
自分の身体に意識を向ける
ヨガで全身を動かすことは、凝りを軽減し、身体が本来の正しい姿勢、負担の少ない姿勢に戻る力をサポートします。
ただ、仕事中にマットを敷いて、ヨガのアーサナを取れる方も少ないと思います。
それでも、大丈夫です。立って深呼吸をしてみる、伸びをしてみるだけでも、腰椎にかかる負担は軽減されます。
無理をしている場所はないか、呼吸をして、自身の体に意識を向けてみる、これだけでも充分ヨガなのです。
意識を向けて負担を減らそう
デスクワークの姿勢による、腰椎への負担の大きさ、知っていただけたでしょうか?
立つだけでも、その負荷は軽減されます。意識して立つ時間を作るだけでも、腰痛改善の効果があるかもしれません。
新しいことも多く、何かと緊張する新年度、余計な力を解いてあげられるのは、自分自身です。
使いすぎている場所に、頑張りすぎている自分に意識を向けて、ゆっくりと呼吸する時間をぜひ作ってみてください。
参考資料
- サイエンス・オブ・ヨガ
著者 アン・スワンソン
監修者 高尾美穂
翻訳 プレシ南日子 小川浩一 瀧下哉代
世波貴子 薮盛子 石黒千秋 浦谷計子
出版社 株式会社 西東社
2019年11月25日発行 - カラー図解 人体の正常構造と機能
【全10巻縮刷版】
総編集 坂井健雄・河原克雅
発行者 梅澤敏彦
発行所 日本医事新報社
印刷 ラン印刷社
2012年1月11日改訂第2版発行 - 腰椎系における椎間板負荷の非侵襲的な推定法
- 世帯員の健康状況