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感染が心配で実家に帰れない
おばあちゃんに会いたくても、会いに行けない
こんな声をどれだけ聞いたでしょうか。
こんにちは。ヨガジェネレーション企画部の琴美です。
例に違わずわたしも実家に帰ることがはばかられました。およそ1年半くらいでしょうか。親にも会いづらい状況があったなぁと思い出されます。
2023年5月8日からは、コロナウイルスの位置づけが2類から5類に変わり、感染症対策が個人や事業所の判断に委ねるものとされました。
今年のゴールデンウィーク、東京は活気が戻って来ましたね!
久々味わう人混み酔いに感慨深ささえ覚え、人が集まるってやっぱり凄いエネルギーやなぁと、実感しております。
喜んでばかりじゃない!?アフターコロナで懸念される「フレイル」とは?
アフターコロナで喜べることばかりではないようです。先日ホリエモンこと堀江貴文さんのYouTube動画が目に留まり見ていたところ、
フレイルの話はヤバいなと思いましたよ
と。フレイルがこれから増えるという話題に触れていました。
私たちヨガの世界からするとかなり尖った内容ですが、とても大切な話だということが分かる動画です。
「フレイル」とは、厚生労働科学研究特別研究報告書によると、以下のように定義されます。※学術的な定義はまだ確定していないそうです。
加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像
ざっくり言えば、健康な状態よりも少し衰えている状態。
軽い転倒で介護が必要な大きな怪我を招いてしまったり、何か精神的なショックが起こるとそれが原因で急激に認知機能が衰えてしまったり、という脆弱な状態です。
海外の老年医学の分野で使われている「Frailty(フレイルティ)」という日本語の訳が「虚弱」や「老衰」「脆弱」などを意味します。
フレイルを経て日常生活でサポートが必要な要介護状態になってしまう、という一方で、適切な介入(治療や予防)、支援により健康な状態に戻れる状態でもあるため、健康な状態と要介護状態の中間とも表されます。
なぜコロナで「フレイル」が増えてしまうのか?
日本では新型コロナウイルス感染流行前から、高齢者の社会的孤立や孤独の問題が指摘されていました。
感染症予防の為に取られていた、ソーシャルディスタンスや外出自粛の措置は、ただでさえ孤立していた独居高齢者を更に社会から遠ざけ、運動や日光に当たる機会を減らしてしまい、実はこの問題をより増大させているという懸念がささやかれていました。
運動不足や栄養不足、日に当たらないなどから起こる運動機能や生理機能の低下、孤立、孤独のストレスからくる精神的機能の低下そのものがフレイル状態といえます。
コロナ禍で身を潜めていた問題は、ホリエモンさんという著名な方が取り上げるほど、これから注目されるべき問題なのかもしれません。
3つのフレイルとは?フレイル予防とは?
フレイルとは”健康な状態よりも少し衰えている(脆弱な)状態”、とかなりざっくりと言いましたが、より具体的に説明をしたいと思います。
フレイルには、さまざまな判断基準がありますが一般的に、以下の項目で1-2項目当てはまる場合は「プレフレイル」3項目以上該当すると「フレイル」とされます。
- 体重が減少している
- 疲れやすい
- 歩行速度の低下(動作が緩慢になる)
- 握力の低下
- 身体活動量の低下
フレイル状態に入ってしまうと、ストレスに弱くなり、免疫が下がり病気を発症しやすくなってしまいます。また、病気の治癒が遅くなったり、合併症を引き起こしやすい状態でもあります。
運動機能が落ちていることで、転倒して骨折してしまうことも。
また、精神面では感情がコントロールしづらくなることもあるそうです。
フレイルには、大きく3つの領域があります。
- 身体的側面(身体機能の低下)
- 精神・心理的側面(うつ・認知症)
- 社会的側面(孤独・閉じこもり)
これらが絡み合い、負のループをも引き起こすリスクが。
フレイル予防への取り組みには、文字通りフレイル状態になることを予防する目的がありますが、フレイル状態から改善を図ること、フレイル状態から要介護に陥らないようにすることも大切な目的となります。
少子高齢化社会の日本にとって必要なことは、まずフレイルを知ること!
少子高齢化社会の日本では、介護問題が露呈しつつあります。
医療技術は進歩し、人が長生き出来るようになる一方で、高齢者を介護する人材が不足するなどの、さまざまな問題を引き起こしています。
- 介護費用の負担増
- 介護業界の人材不足
- 老老介護
- ヤングケアラー
このような問題を解決する為に、要介護高齢者の減少を目指すことが重要です。
フレイル予防の重要性を広く国民に周知することが必要で、それにより介護予防が進み、要介護高齢者の減少が期待できる
と記述されています。
ヨガがフレイル予防に役立つ理由
フレイルには早く気づくこと、適切な介入(治療や予防)をすることが重要となります。
具体的には
- 持病(主に生活習慣病)のコントロール
- 運動療法
- 栄養療法
- 感染症の予防
- 社会参加へのフォロー
などが挙げられます。
この中でヨガを伝えている私たちが介入できそうなのが「運動療法」や「社会参加へのフォロー」の分野ではないでしょうか。
ヨガは身体や心、自律神経にも働きかける効果が期待されます。
運動が嫌になってしまうようなキツイことをしなくても、今の健康を維持したり、呼吸や自律神経を整えたりすることに役立つヨガは、高齢者にはとても相性がいいと言えます。
コミュニティを作って通う場所を作ったり、ヨガを通じて笑顔や会話を交わしたり、身体に触れてあげたりすることは、人の生活の質(QOL)を上げることにとても役立ちます。
大きな取り組みまでは行かなくとも、ヨガを伝えている私たちが「フレイル」という概念を知って、私たちでも出来ることがあるんだということを知ることが重要ではないでしょうか。
まずは、身近な人にヨガを伝えていくことからでも始めてみませんか?
参照リンク
日本老年医学会:フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20140513_01_01.pdf
厚生労働省HP:地域サポート体制を基盤とした早期からのフレイル予防戦略
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135472.pdf
健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/about.html