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知らない間に進む血管の老化。予防方法とは
「いつまでも若々しくいたい」というのは、誰もが願うことではないでしょうか。歳をとれば、誰でも老化現象というのが現れます。しかし、その“程度”というのは個人差が大きく、同じ年齢の人でも、見た目や運動能力といった様々な点で差があります。
そのなかでも、血管は個人差が大きくでるものの1つです。血管の老化現象と言われる動脈硬化は、早い人では10代から進む一方、80歳代でも動脈硬化度が“0”の方もいるのですから驚きです!
正しく理解してる?動脈硬化とは?
[1]「動脈硬化」とは動脈(血管)の壁が厚くなったり、硬くなったりして、血管が狭くなったり、血液の流れが悪くなったりする老化現象のことです。
動脈硬化は、進行すると心筋梗塞や脳卒中など命に直結する病気を引き起こすだけでなく、脳の動脈硬化が進むと、記憶力の低下や反応が遅くなるなどの症状も引き起こします。
動脈硬化は“症状がない”というのが特徴で、これらの症状が自覚できるようになった時には、すでに何十年も前から動脈硬化が進んでいた、というのが怖いところです。ですので、症状がないうちから“予防”をすることがとても大切です!
動脈硬化の予防は生活習慣の見直しが第一
では、どうしたら予防できるのでしょうか?まずは、生活習慣を正すことが第一です。どの生活習慣病でも言われることですが、特に、下記の3点が重要な点なので、出来るところから日々の生活でも気を付けてみましょう。
- バランスの良い食生活
- 適度な運動習慣
- 禁煙
サウナで血管の老化を予防。ホットヨガでも期待できる?
上記の3つが基本的な予防法ですが、サウナに入ることも「心臓病や血管の病気を予防する」という研究結果があります。ということは、ホットヨガでも同様の効果が期待できるのではないでしょうか?
この疑問には、アメリカのカリフォルニア大学が既に答えを見つけています。ホットヨガの一種であるビクラムヨガを週に3回行うことで、2ヶ月後には血管内皮機能が改善する(=血管が若返った!)[2]とういうことが2017年に報告されました。
ビクラムヨガとは、アメリカで生まれたホットヨガの一種で40.5°Cの中、決まった呼吸法2種、アーサナ24種を行ったあと、リラクゼーション(シャバーサナ)を行うヨガの体系です。
ホットヨガを行うことで、血管の若返り効果が期待できるとは、何とも嬉しい報告ですね!
では、常温ヨガではこのような効果はないのでしょうか?そちらの疑問にも答えが見つかりましたので、続いてご紹介します!
ホットヨガ VS 常温ヨガ 血管若返り効果に違いはない
先程ご紹介した研究では、ホットヨガと常温ヨガを比較した研究ではなかったため、「ホットヨガには血管若返り効果がある」ということはわかりましたが、「常温ヨガとホットヨガのどちらが血管若返り効果が大きいのか?」という疑問までは解決できませんでした。
そこで、この疑問に答えるために「ホットヨガ VS 常温ヨガ」のガチンコ対決した研究が行われたので、その結果を紹介致します。
結果からお伝えすると、どちらも若返り効果があり、大きな差はありませんでした。
上のグラフは、FMD検査(血管内皮機能検査)の結果を示しています。FMD検査は動脈硬化になる一歩手前の血管内皮機能状態を知る4)検査で、6%以上が正常値です。
Beforeは試験を行う前の検査結果、Afterは週3回90分のヨガクラスを行った12週間後の検査結果を表しています。Controlグループ(ヨガを行っていないグループ)は前後で変化がない一方、Yoga(40.5℃)=ホットヨガグループ、Yoga(23℃)=常温ヨガグループではFMD検査の値が改善していることがわかります。
つまり、室温に関わらず、ヨガを行うと血管若返り効果があることがわかったのです!
若い人では10代から始める血管の老化。「血管若返り効果も若いうちしか期待できないのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ですが、この研究では40~60歳の方を対象にして行い、ホットヨガでも常温ヨガでも同じような血管若返り効果が証明されています。今からでも遅くありません。ヨガを初めて、血管を若々しく保ちましょう!
生活の一部にヨガを取り入れ、身体の中身から若返ろう
健康診断の結果を見て、「血圧」や「コレステロール」「体重の増加」など、気になる項目が増えてきた方はいらっしゃいませんか?それらの項目の異常値は、血管の老化を進行させる要因だと言われています。
将来、心筋梗塞や脳卒中など命を脅かす病気を防ぐために、また物忘れなどせずいつまでも若々しくいるために、ぜひ今日から食事・運動・禁煙に加えて“ヨガ”を行うことで、身体の中身から若返りませんか??
ホットヨガでも常温ヨガでも、ご自身がお好きな方、通いやすい方で構いません!まずは、ヨガをはじめてみましょう!
※高温下での運動は、持病をお持ちの方、体調に不安のある方は医師に相談の上、ご参加ください。
参考資料
- 国立循環器病センター 循環器情報サービス(参照日 2018年7月19日)
- Hunter, SD ,et al “The effect of Bikram yoga on endothelial
- Hunter SD, et al “Effects of yoga interventions practised in heated and thermoneutral conditions on endothelium‐dependent vasodilatation: The Bikram yoga heart study,” Exp Physiol, 2018 Mar 1;103(3):391-396