OM(オーム)を科学的に証明!効果はいかに?

科学的に証明された!「OM(オーム)」を唱える効果とは?

一番短いマントラ「OM(オーム)」とは

一番短いマントラ「OM(オーム)」。それは、「聖なる音」とも「宇宙の音」とも言われ、マントラの中でも最も大事で神聖な音とされています。ヨガの経典ヴェーダは、「OM(オーム)」と唱えれば、“どんな願いでも叶えることができ、何かをする前に唱えれば、どんな行いも浄化できる”と説き、ヴァガヴァッドギーターでは、“心が浄化される”とされています。

「OM(オーム)」を唱えると、身体と共鳴し、不思議と心が落ち着いていった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

しかし、宗教っぽくて抵抗感があると感じている方が多いのも否めません。しかし、科学的に「OM(オーム)」と唱えることは身体的なメリットがあると言われたら、その抵抗感も小さくなるのではないでしょうか?今回は、「OM(オーム)」と唱える効果を、ヨガの伝統的教えからではなく、最新科学を用いて紹介します!

「OM」と唱えることで血圧が下がる!?

  • 「OM(オーム)」と唱えると本当に心が落ち着くのか?
  • 他のリラクゼーション法と違いはあるのか?

そんな疑問に答えてくれるのが、ACYTER(Advanced Centre for Yoga Therapy Education and Research)というインドにある「ヨガセラピーに関する教育と研究機関」です。ACYTERはインドの医学系総合大学の中にあるセンターであり、日々ヨガセラピストの養成と、ヨガセラピーの研究を行っている機関です。

ACYTERが行った研究は、10分間『仰向けでリラックスするグループ(コントロール群)』と『「OM(オーム)」と唱える呼吸法を行ったグループ(OM群)』の血圧を比較しています。

結果からお伝えすると、コントロール群は血圧に変化がなかった一方、OM群は収縮期血圧の平均が134.3mmHgから124.7mmHgまで下がったという結果がでました。

収縮期血圧の変化
収縮期血圧の変化

嬉しいのは、この効果の即効性です。コントロール群もOM群もたった10分間仰向けにいただけです。その10分の間に、足元から頭頂へと身体を緩めるインストラクションを聞いていたグループは血圧の変化がなく、「OM(オーム)」と唱える呼吸法を行ったグループは血圧が10mmHgも下がったのですから、驚きです。

血圧はとても変動しやすい値だと言われております。例えば、車の運転で少しイライラしただけでも、一時的に血圧は上がってしまいます。一方、身体がリラックス状態になれば、すぐに下がるものなのです。つまり、「OM」と唱えることで血圧が下がったということは、それだけ身体がリラックス状態に導かれた、ということが示されています。

プラナヴァ プラーナヤーマとは?

血圧を下げる効果がある『プラナヴァ プラーナヤーマ』を
血圧を下げる効果がある『プラナヴァ プラーナヤーマ』を

身体をリラックス状態に導き、血圧を下げる効果がある「OM(オーム)」と唱える呼吸法は、『プラナヴァ プラーナヤーマ』といいます。ここでは、『プラナヴァ プラーナヤーマ』のやり方について紹介していきます!

  1. 全ての息を吐き切る
  2. 胸の下の方に向けてたっぷり息を吸う
  3. 「Aaa(アとオの間の音)」と言いながら息を吐き切る
  4. 胸の真ん中に向けてたっぷり息を吸う
  5. 「Uuu(ウに似た音)」と言いながら息を吐き切る
  6. 胸の上に向けてたっぷり息を吸う
  7. 「Mmm(ムとンの間の音)」と言いながら息を吐き切る
  8. 胸の下から上に向けてたっぷり息を吸う
  9. 「AaaーUuuーMmmー」と言いながら息を吐き切る

※8と9は3回繰り返す。

以上が、『プラナヴァ プラーナヤーマ』のやり方です。ポイントは、吸う息と吐く息の割合を1:3くらいにコントロールすること。発声しながら息を吐き出すプラナヴァ プラーナヤーマ。決して難しくありませんので、ぜひ心を鎮めたい時に実践してみてはいかがでしょうか?

まだある!「OM(オーム)」と唱える効果

オームと唱える効果は血圧を下げるだけではありません。脳の安定化、否定的な思考の除去、エネルギーの増加をもたらすことがわかっています。[2]また、このような精神的な効果も、血圧が下がる等の身体的な効果も、両方すぐに効果があるのが特徴です。

日々の生活の中でちょっとイライラしてしまった時、ネガティブな思考から抜け出せない時、気分が落ち込んだ時などにプラナヴァ プラーナヤーマを試してみてはいかがでしょうか?たった10分で、霧が晴れるように、きっと心も体もすっきり晴れやかになるのが感じられますよ。

参考資料

  1. Bhavanani AB, Madanmohan, Sanjay Z, Vithiyalakshmi SL, “Immediate cardiovascular effects of pranava relaxation in patients with hypertension and diabetes,” Biomed Hum Kinet 2012;4:66–69.
  2. Arkiath Veettil Raveendran, Anjali Deshpandae, Shashank R. Joshi, “Therapeutic Role of Yoga in Type 2 Diabetes”, Endocrinol Metab. 2018 Sep;33(3):307-317