海辺で座り右手にマーラーを持つ女性の手元

太陽への祈り~ガーヤトリー・マントラを毎日唱えよう~

今回は、最も有名なマントラであるガーヤトリー・マントラをご紹介します。

ヨガを練習している人なら、どこかで聞いたことがある人も多いと思います。

ガーヤトリー・マントラは世界の全てのエネルギーを与えてくれる太陽神に向けての祈りで、生きるための大切なエネルギーを与えてくれます。

ガーヤトリー・マントラの意味を深く理解しよう

口元で両手を合わせて目を閉じる女性

oṃ bhūr bhuvaḥ svaḥ
(オーム。具現化した世界、精神世界、天界に満ちる)
tat savitur vareṇyaṃ
(至高のサヴィトリ(太陽神)を崇拝し奉る。)
bhargo devasya dhīmahi
(輝く光、神聖な存在に瞑想します)
dhiyo yo naḥ pracodayāt
(叡智によって、その光が私たちに真知を与えてくださいますように)

もう少し細かく意味を探ってみましょう。

世界は3つの組み合わせ

最初の1行は3つの世界を表しています。

  1. bhūr (ヴール):身体、物質世界
  2. bhuvaḥ(ブワッ):生命力、波動、心
  3. svaḥ(スヴァハ):魂

身体、心、魂の3つで世界を表す考え方は、ヨガ哲学では頻繁に見受けられます。

特にハタヨガでは、3つの気道で説きます。

  1. 身体のエネルギー:ピンガラー
  2. 心のエネルギー:イダー
  3. 超自然的なエネルギー:スシュムナー

それ以外にもインド哲学では、世界を様々な3つの組み合わせで説きます。

インドの3大神であれば、宇宙が創造されてから破壊されるまでの全てを3つに分類します。

  1. ブラフマー神:創造
  2. ヴィシュヌ神:維持
  3. シヴァ神:破壊

サーンキャ哲学では物質世界を3つの要素(グナ)の組み合わせだと説きます。

  1. サットヴァ:純粋さ、正知
  2. ラジャス:激しさ、動き
  3. タマス:不純さ、無知

アーユルヴェーダでも、人が持つ3つの属性(ドーシャ)について説きます。

  1. ヴァータ:風
  2. ピッタ:火
  3. カファ:水

そして、宇宙そのものを表すマントラ、オームも3つの音で構成されています。

  1. A:始まりの音、起きている状態
  2. U:中間の音、夢の状態
  3. M:終わりの音、熟睡の状態

このように、ヨガ哲学にとって、3はとても神聖な数字で、世界は3つの要素の組み合わせでできています。

ガーヤトリー・マントラで崇拝されるサヴィトリ神は、この世界全てに満ちている存在です。

インドの3大神とは?世界は「創造・維持・破壊」でできている

サヴィトリ神とは

このマントラは通常ガーヤトリー・マントラと呼ばれていますが、登場する神様はサヴィトリ神です。

サヴィトリ神はとても古い神様で、ヴェーダ時代には最も重要な神様の1一人でした。

サヴィトリ神はスーリヤ神と同様に太陽の神として知られていますが、特に太陽が持っている「鼓舞するもの」「刺激するもの」という役割を司っています。

インドでは、太陽は私たち人間だけでなく、自然界の全てに活動するエネルギーを与えてくれる存在だと考えられています。

例えば、風が吹くのも、雨が降るのも、太陽が海を暖めて水が蒸発するからです。あらゆる植物も太陽の光によって育ち、その植物のエネルギーを人間が食して体内に取り込みます。

調理をするときに使う火も、太陽のエネルギーを地上に持ってきたものだと考えます。また、その火が体内ではアグニ(消化の火)として知られます。

太陽は生命そのものを与えてくれるもので、とても大切な存在です。

【太陽と火】ヨガで実践!自然からエネルギーを受け取り使う

ガーヤトリーとは?

詩歌の女神ガーヤトリーのイラスト
サヴィトリを讃えたマントラなのに、ガーヤトリーと呼ばれるのは不思議ですね。

実は、ガーヤトリーも女神の名前として知られています。

ガーヤトリーは、ヴェーダの代表的な詩歌の形式の1つで、8️音節の句を3つ並べたものになり、合計24の音の組み合わせになります。

マントラは、1つずつの音にエネルギーがあります。ガーヤトリー・マントラはその全ての音に真性のエネルギーがあると言われています。

一般的にガーヤトリー・マントラといえば、サヴィトリ神を讃えたものが有名ですが、ガネーシャ・ガーヤトリー・マントラのように、他の神様についてのものもあります。

詩歌の女神ガーヤトリー、太陽神サヴィトリ、学問の女神サラスワティの3人の神様は同一であるとも考えられているため、創造神ブラフマーの妻であるとも言われます。

そんなブラフマーでさえ、毎日ガーヤトリー・マントラを唱えていると言われています。

ガーヤトリー・マントラを唱える効果

全てのヴェーダ(聖典・叡智)の母であるがーヤトリー・マントラを唱える効果は「何にでも効く」と言ってもいいほど万能です。

このマントラは、宗教などに関係なく全ての人が唱えることができるもので、誰もがその恩恵を受けることができます。

アージニャー・チャクラを活性化させる

マントラを唱えることによって、その振動が眉間の位置にあるアージニャー・チャクラを活性化します。

このチャクラは第3の目、シヴァ神の目とも言われ、物事の本質を知ることができます。

また、集中力を高めることができ、散漫さや怠惰を破壊します。

イキイキと若返る

ガーヤトリー・マントラを唱える習慣のある人にインドで会うと、とてもイキイキとしていて、肌も綺麗で年齢に関わらず若々しい印象を受けます。

それは、マントラの音の波動が細胞に良い刺激を与え、毛細血管まで流れる血流も活性化し、より多くの酸素が肌にまで届くからだと信じられています。さらに毒素の排出も促していると考えられています。

また、ガーヤトリー・マントラを自分で唱えるときには舌、喉、唇、口蓋に振動が生まれ、圧力もかかります。この振動が脳を刺激し、神経伝達物質をし、健康が増幅すると言われています。

ネガティブさが取り除かれる

ガーヤトリー・マントラを唱え、その音に心を集中させることによって、心の中にあるネガティブな思考が消えて心が晴れ渡っていきます。

実際にマントラを唱えた後には、心の中がスッキリするのを誰でも体験できると思います。

緊張状態、恐怖なども弱まり、心が落ち着くのを感じることができます。強いストレスや鬱にも効果が高いと言われています。

ガーヤトリー・マントラを唱えてみよう

安楽座で座る右手にマーラーを持つ女性の半身
すでに述べたように、ガーヤトリー・マントラはマントラの意味以上に、各音の振動がとても大切です。

そのため、カタカナで読むのではなく、先生から正しく学ぶことが大切です。

身近にマントラの先生がいない場合は、動画などで正しい発音のものを真似して繰り返し唱えるのがいいでしょう

ガーヤトリー・マントラは、マーラーと呼ばれる108の珠で作られた数珠を使うのが一般的です。

マントラは目を閉じて唱えますが、1回唱えるたびに右手で持ったマーラーの珠をスライドさせ、一周すると108回唱えたことになります。

108回唱えるのはハードルが高いと感じる場合は、10回でも良いです。

短いマントラなので、10回くらいなら負担にならないと思いますが、それでも効果は感じやすいと思います。

マントラを唱える習慣を取り入れる

マントラはお経のイメージもあり、とても宗教的に感じて苦手な方もいるかもしれません。

しかし、実際に唱えてみると、心がスッと軽くなることを感じられると思います。

ガーヤトリー・マントラは太陽という、世界中の誰もが祈りを向けられる対象に向けたマントラであり、太陽の純粋で明るいエネルギーを受け取ることができます。

沢山のマントラを覚える必要はないので、毎日ガーヤトリー・マントラを唱える習慣を身について、その時に自分が何を感じるのか、その感覚を味わってみましょう。

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