職場のウェルネスのためにマインドフルネス瞑想

職場のウェルネスのためにマインドフルネス瞑想

健康の維持・向上、心の安定、美容など、さまざまな目的でヨガをされている方がいらっしゃるかと思いますが、海外ではすでに医療の補助や代替ケアとしても注目されています。

文献検索サイトに「Yoga」と入力してみると、2023年7月末までで7,700件を超える報告がされていて、科学的な視点からもヨガの効果が確認されつつあります。

今回は職場におけるマインドフルネス瞑想の効果について、2019年のシステマティックレビュー(すでに報告されている過去の個別の研究をとりまとめる手法)による研究を紹介します。

研究の背景:注目されるマインドフルネスの職場環境への有用性

職場で瞑想をする女性
職場で瞑想をする女性

補完的統合健康法の1つとされる「マインドフルネス瞑想」は注目を集めており、すでに仕事における健康という観点からも取り入れられはじめています。

マインドフルネスは、東洋の古代の瞑想法をもとにした、今この瞬間に注意を向けて受け入れる手法です。

心理学や医療の場面でもマインドフルネスが治療に取り入れられ、ストレスや慢性疼痛などの様々な疾病に対してマニュアル化されたプログラムも作成されてきました。

これまでに得られた知見を利用して、会社組織でも従業員に最適なパフォーマンスを発揮してもらおうとマインドフルネスが活用されつつあります。

アメリカでは著名企業で従業員にマインドフルネス・トレーニングが提供されている事例もあり、労働人口の13%がマインドフルネスを向上するための何等かの取り組みをしているとの報告もありました。

職場におけるマインドフルネスの効果に関する研究は加速をみせています。

組織的な心理学や経営学からも、マインドフルネスが職場環境・機能を向上することにつながる可能性があることが示唆されています。

ストレスによる燃え尽き症候群やトラウマの予防に役立つ可能性だけでなく、心身・認知・感情・対人などの健康に関する広範囲の面で良好な評価結果が得られています。

そこで、これまでに報告されているマインドフルネスに関する研究報告をとりまとめ、職場環境への有用性を確認することを目的としました。

研究の方法:関連報告のレビュー

関連報告のレビュー
関連報告のレビュー

文献検索サイトを用いて2017年7月までに発表された関連する報告をレビューしました。

主な検索キーワードは以下のとおりです。

  • マインドフルネス
  • 健康
  • ウェルビーイング

マインドフルネス・プログラムの主な例は以下のとおりで、様々な健康・予防・疾病管理に対する視点からマニュアル化がすでにされており、実績が上がってきています。

  • マインドフルネスストレス低減法(MBSR)
  • マインドフルネス認知療法(MBCT)
  • マインドフルネス再発予防(MBRP)
  • 喫煙者のためのマインドフルネス・トレーニング(MTS)
  • マインドフルネス志向の回復強化(MORE)

研究の結果:ヨガでパフォーマンス向上

一次検索をした結果320の文献がヒットし、そこから今回の研究目的に合わせて最終的に175のシステマティックレビューによる文献に絞り込んで内容を確認しました。

一般的な身体的の健康および精神面の健康、ウェルネスといったキーワードに対するマインドフルネスは、良好な結果がかなりの数が報告されており、健康に対する意識の高まりとともに研究としても注目を集めていることが分かります。

職場でのマインドフルネスという観点では、医療従事者、ソーシャルワーカー、介護者(専門職だけでなく自宅での家族等による介護も含む)、教育者、又は一般的な労働者など特に専門職に焦点が当てられ報告されており、そのうちの28の文献が該当しました。

これらの文献を確認したところ、共通して以下のような良好な結果が得られました。

  • ストレスの軽減
  • うつの軽減
  • 不安症の軽減
  • 心身の健康の向上

また、その他の報告では、痛み・慢性疼痛についても挙げられていました。

痛みに対する一般的な治療法と比べて、マインドフルネス法を取り入れたことにより、痛みが軽減するという報告がありました。

これは主にはマインドフルネスによって、痛みの強さそのものの他、痛みに対する受容性、痛みのコントロールに対する効果が得られたためであるとされています。

これまでにもヨガや瞑想の効果は、老若男女問わず体や心の両面での健康、病気の予防改善を含めて幅広く様々な効果が報告されてきました。

「ワークライフバランス」や「健康経営」という言葉も声高に聞かれるようになってきた昨今。

人生のうち大半を過ごす職場環境においても、定期的にヨガや瞑想を取り入れることによって、働き手自身も、従業員に対しても、健康を促しさらには仕事の効率やパフォーマンスを向上することにつながりそうです。