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世界には争いが絶えませんが、どうして人はお互いを受け入れることが出来ないのでしょうか。
国籍や人種、宗教や社会的立場で自分たちの立ち位置を決めてしまうのは、周囲の人たちとの間に壁を作ってしまうことですね。
また、同じ職場や家族、友人関係であっても素直に自分の感情を表現することができずに悩んでしまうのはなぜなのでしょうか。
今日は、ヨガのチャクラの概念から、他人を受け入れるオープンな心について考えてみましょう。
ハート・チャクラと呼ばれるアナーハタ・チャクラ
7つあると言われるチャクラの下から4番目のチャクラはアナーハタ・チャクラと呼ばれます。
胸の位置にあるためハート・チャクラと呼ばれることが多いです。
アナーハタ・チャクラは私たちの感情のバランスをとるのにとても重要なチャクラです。
自分自身への認識を高めるのと同時に、周囲の人との関係を築くことも司るため、幸福を得るために不可欠なチャクラです。
アナーハタ・チャクラの意味
アナーハタには「破壊されない」という意味があり、ハート・チャクラや慈悲のチャクラと呼ばれることもあります。
アナーハタ・チャクラは執着や束縛、欲望に汚されない完全な愛が備わっている場所です。
「風」の要素を持つチャクラ
物質世界は空・風・火・水・土という5つの要素で作られています。
その中でアナーハタ・チャクラは風の要素を司ります。
身体的な機能としても、肺や心臓の位置にあたり、外から取り入れた空気、プラーナ(気・生命エネルギー)を貯蔵する場所です。
私たち人間は外から取り入れたプラーナ(エネルギー)をアナーハタの位置から全身に運びます。
生命活動を健全に維持するためにとても重要な役割を持っていますね。
外から取り入れた新鮮な空気から酸素を吸収し、古くなった二酸化炭素を吐く息で外に出すことができないと、私たちの身体の中には澱んだ古い空気が充満してしまいます。
常に新鮮な空気を取り込んでリフレッシュすることはとても大切です。
同じように、感情も流れずに滞ってしまうとストレスが高まり、疲労が溜まり、鬱々とした気持ちが増します。
感情も溜め込んではいけません。
アナーハタ・チャクラと感情
アナーハタ・チャクラは愛の感情と結びついています。
無条件であり、誰に対しても平等な、見返りを求めない純粋な愛情です。
汚れない愛が表れている時、人種や社会的な要因、自分との関係性などに囚われずに他者を愛することができ、自分と他人という境界線もありません。
しかし、アナーハタ・チャクラは社会との繋がりを司っているため、様々な束縛によって汚されやすいです。
それは着ているものや、社会的な階級、学歴や収入などの優越、容姿、特定の習慣などによって、相手をジャッジするものです。
法律、倫理観、食事のルール、宗教などによる束縛や執着もアナーハタ・チャクラに関係します。
アナーハタ・チャクラのバランスが崩れた時の不健康な執着や束縛は人を強く束縛します。
アナーハタ・チャクラに意識を集中させると、過去、現在、未来への無限の智を得ることができると言われます。
それは、あらゆる思い込み、心理的な束縛を手放すことによって、靄が取り除かれた様に視界が鮮明になるからです。
アナーハタ・チャクラが乱れると
現代社会では、動物的な生命の安全よりも社会的な安全性の方が人々の精神に影響を与えます。
社会性に関係するアナーハタ・チャクラのバランスが崩れることで、とても大きなストレスを抱えることになってしまいます。
アナーハタ・チャクラがブロックされてしまうと、周囲に対して心が閉ざされてしまいます。
そのため、強い孤独感を感じ他者との繋がりを見失います。
他者を信用することができず、自分の感情を打ち明けることができません。
アナーハタ・チャクラが乱れた時には下記のような症状が現れます。
- 拒絶される恐怖
- 信頼の欠如
- 愛情の与え方と受け取り方が分からない
- 恋愛関係における過度の依存
- 気遣ってくれる人々との距離を置く行動(深い関係が怖い)
- 内心は傷つきやすい一方で、タフで感情のない姿
- 動悸、血液循環不良、心臓の痛み、狭心症、さらには喘息などの身体症状。
少なからず感じている人が多いのではないでしょうか。
精神的な苦痛だけではなく、人間関係の問題を考えると胸が苦しくなる人も多いと思います。
アナーハタ・チャクラを開くために
アナーハタ・チャクラのバランスが整って活性化することで、思いやりがもて、共感力が高まり、豊かな愛情を感じることができます。
これは、他者に対してだけでなく、自分自身へも同様です。
周囲からの評価に惑わされることがなくなると、自分自身のことも受け入れることができます。
アナーハタ・チャクラに効く瞑想
自分自身と他者を受け入れるためにダイレクトに効果がある瞑想は「慈悲の瞑想」です。
慈悲の感情を抱くことは、心の波を穏やかにするために『ヨガ・スートラ』でも勧められています。
慈悲の瞑想では、ありのままの自分自身を受け入れる練習をします。
無条件に自分と周囲の人たちを受け入れて愛する純粋な感情に対して瞑想を行います。
それによってアナーハタ・チャクラが癒され、浄化されるのを感じることができます。
アーサナで心を開く
胸の位置にあるアナーハタ・チャクラが閉じている時には姿勢にも出やすいです。
巻き肩や猫背の方は、上手くチャクラにエネルギーが流れていないことが多いです。
心の状態が姿勢に現れることもありますが、逆に胸を閉じた姿勢を長時間続けていることで心も閉じてしまうこともあります。
スマートフォンやパソコンをちょうじかん使うような仕事で、姿勢が悪いと呼吸も浅くなり、ますますプラーナ(気)が流れなくなってしまいます。
アナーハタ・チャクラを活性化するためには、胸を開くようなアーサナが有効です。
カポタアーサナ(鳩のポーズ)、セツバンダ・アーサナ(橋のポーズ)、マツヤアーサナ(魚のポーズ)、ダヌラアーサナ(弓のポーズ)などを行うことで、胸が開いてエネルギーが流れます。
プラーナーヤーマでチャクラを活性化する
アナーハタ・チャクラが閉じている人は呼吸も浅くなりがちです。
呼吸によってエネルギーを動かすプラーナーヤーマはアナーハタ・チャクラを活性化するのに最適です。
左右の呼吸のバランスを整えるナディーショーダナ呼吸や、胸を大きく使うバストリカー呼吸はとても効果が高いです。
深い呼吸を行うためには、身体の準備がとても大切です。
胸を広げるいくつかのアーサナを行ってからプラーナーヤーマを実践することで、より効果を感じられます。
アナーハタ・チャクラが整った時の効果
アナーハタ・チャクラが整うと、とても優しい幸福を感じられます。
- 自分自身と周囲の人に対して無条件の愛を感じることができる。
- 執着や束縛を離れた健全な人間関係を築ける。
- 外部の状況に惑わされずに内側の平穏を感じる。
- 他人を信頼、尊重することができる。
- 弱さを受け入れることができる。
- 自分自身に満足感を感じることができる。
これだけで私たちの日常の悩みがほとんど解消されてしまいそうですね。
チャクラを意識してヨガを深めよう
目に見えないチャクラを理解することは難しいと思います。
実際にチャクラを感じることができたり、急激なプラーナの流れを感じることができる人は多くないかもしれませんが、なんとなく息が詰まる感覚があったり、胸の辺りにしこりを感じる人は多いのではないでしょうか。
それをヨガで解消することで、アナーハタ・チャクラの不調を手放すことができます。
チャクラごとの役割を理解することはヨガの練習でとても有効です。
ヨガの練習をするときに、胸がオープンになっていく感覚と、心への影響を観察してみましょう。
より深くヨガの効果を実感できると思います。