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これだけは押さえたい!ヨガに必要な主な骨
ヨガを始めたばかりの頃、クラスで「坐骨で床を押して」と先生に言われ、坐骨とは何か、またどこにあるのか分からなかったということがあります。
ヨガでは、普段の生活の中ではあまり行わないような姿勢(反ったり、捻ったり、逆さまになったり)をするため、最初は誰もがとまどいます。
- なぜこのアーサナが上手くできないんだろう?
- 体が痛いけれど、これは効いているのか、それともこれ以上やらない方がいいのか
- 私はどうしてこんなに体が硬いんだろう?
など、様々な体に対する疑問が出てくるはずです。体の声を無視して行えば、怪我へのリスクも高くなります。そんな疑問に答えてくれ、安全にヨガを楽しむ為の知恵となるのがヨガ解剖学、そう、骨や筋肉の知識です。
私たちの体は約200個の骨と約600個の筋肉で成り立っているといわれています。医師や理学療法士を目指す方などを除いては、細かい骨や筋肉の名前を一度に覚える必要はないかもしれません。
けれど、「これだけは押さえたい!」という、ヨガに必要になってくる重要な骨や筋肉を押さえて、アーサナを行っている最中に、皮膚の下の骨や筋肉が透けて見える、あるいは想像できるようになると、きっと同じアーサナをしていてもその景色は大きく変わるはずです。
まずは、難しく考えず基礎からはじめてみましょう。ここでは、ヨギとして、これだけは最低限知っておきたい代表的な骨をご紹介します。(ヨガに必要なすべての骨を網羅しているわけではありません)
上肢の骨
肩甲骨(けんこうこつ)・鎖骨(さこつ)
鎖骨と肩甲骨からなるのが上肢体。肩甲骨も鎖骨も、比較的よく耳にする骨の名前かもしれません。
肩甲骨(けんこうこつ)
肩甲骨は、背中側についている逆三角形の大きな骨。体の背面にあるので感じにくいですが、アーサナの中ではとても重要な働きをしてくれます。
構造上、可動域がとても大きく、肩の関節が色々な方向に動かせるのはこの肩甲骨の動きがキーになります。肩甲骨の動きを意識しながらアーサナを行えばより快適にアーサナを深めることができるはずです。
鎖骨(さこつ)
そして、肩甲骨と胸骨をつないでくれているのが鎖骨です。
上腕骨(じょうわんこつ)・尺骨(しゃっこつ)・橈骨(とうこつ)
ダウンドッグを行う際などに、「上腕を外旋」、「前腕を回内」といったインストラクションを耳にすることがあるでしょう。
上腕骨(じょうわんこつ)
上腕骨とは肩から肘までの管状骨です。上部は肩甲骨と肩関節をつくり、下部は前腕骨と肘 (ちゅう) 関節をつくっています。
尺骨(しゃっこつ)・橈骨(とうこつ)
前腕骨は小指側の尺骨と親指側の橈骨から成り立っています。
体幹の骨
体幹の骨格は、脊柱(せきちゅう)、肋骨(ろっこつ)、胸骨(きょうこつ)から成っています。
肋骨・胸骨
胸郭を構成する 12対の骨を肋骨(いわゆる、あばら骨)といい、肋骨は胸骨とつながっています。
脊柱:頚椎(けいつい)・胸椎(きょうつい)・腰椎(ようつい)
脊柱とは、いわゆる背骨のこと。上から、頚椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)から成り立っています。実は、部位ごとに得意な動きと不得意な動きがあります。
腰椎が一番反りやすく、胸椎は肋骨とつながっているため、曲げたり反ったりする動きが制限されて主に回旋の動きが得意です。背骨を反らしたり、ねじったりするアーサナにおいて、それぞれの骨の個性を知っておくと、アーサナを深め易いでしょう。
下肢の骨
下肢の骨には、骨盤や大腿骨(だいたいこつ)、脛骨(けいこつ)などがあります。
骨盤:寛骨(かんこつ)・仙骨(せんこつ)・尾骨(びこつ)
ラテン語名「Pelvis」は「たらい」という意味があるそうですが、すり鉢状の大きな骨で体の中心部にあります。その形は、骨格の中でも最も男女差のある骨です。
上の骨盤の写真、どちらが男性でどちらが女性が分かりますか?女性の骨盤は男性よりも幅広で、男性のものは狭くて高さがあります。骨盤は、かなり大雑把に言うと寛骨、仙骨、尾骨とで構成されます。仙骨や尾骨もヨガのクラスの中で「尾骨を下に向けて」「仙骨を床から垂直に」など、よく聞かれるワードではないでしょうか。
坐骨(ざこつ)
骨盤を構成する「寛骨」の後下方部にあり、あぐらをかいて座ったときに床に触れる骨です。坐骨で床を押して、体幹を支えながら座るというのはヨガの定番ですね。またダウンドッグのときに「坐骨を天井に向けて」といったインストラクションをよく耳にします。
骨盤はその他たくさん骨の名前がついていますが、ここでは省略させていただきますね。骨盤の構造、そして「骨盤が歪む」、「骨盤が開く・閉じる」といった言葉の真偽など、詳しくは『ヨガ解剖学:骨盤セラピーワークショップ』で詳しく学んでいただくことをオススメします!
大腿骨(だいたいこつ)
大腿骨は、股関節と膝関節の間の太い骨で、人体の中で最も長い骨です。
脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)
膝下にある2本の骨の内、いわゆる「すね」にあたる内側の大きな骨が脛骨、外側の細い方の骨が腓骨です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?アーサナを行う上で大切なのは、骨の名前をただ覚えることではなく、その骨がどの場所にあり、どんな動きをするのかを実際に体感して理解できることが大切です。「こんなのもう知ってるよ、当たり前!」という方も、ほとんど聞いたことがない骨の名前ばかりだったという方も、ここで終わらず、さらに体の学びを深めていくきっかけになったらいいですね。