皆さん、こんにちは。丘紫真璃です。今回は、美容研究家の小林照子さんの「なりたいようになりなさい」を取り上げたいと思います。
89歳を迎える今も現役で活躍する小林さんは、信じられないほどシャンとしており、肌もびっくりするくらいイキイキと輝いていらっしゃいます。テレビでお見掛けし、あまりにもシャキッと美しい様子に魅かれて彼女の本を手に取った私は、美容研究家である彼女の言葉に驚きました。なぜなら、長年美容研究家として走り続けて来た小林さんの言葉の数々は、そのままヨガにもつながる言葉だったからです。
今回は、そんな小林さんの生き方や言葉がたっぷりつまった「なりたいようになりなさい」を取り上げ、美容とヨガのつながりに迫りたいと思います。
89歳でも現役のメイクアップアーティスト
小林照子さんは1935年生まれ。化粧品会社コーセーで35年以上に渡って美容の研究をし、欠点を修正する欠点修正法のメイクではなく、一人一人の個性を生かしたナチュラルメイクを開発して一斉を風靡しました。また、メイクアップアーティストとして、女優から一般女性まで様々な人のメイクを手掛け、どんな人でも美しく変えてしまう「魔法の手を持つ女」と称されるようになりました。
コーセー取締役・総合美容研究所長を退任後は56歳で会社を創業し、「美・ファイン研究所」を設立。1994年の59歳の時には、「フロムハンド小林照子メイクアップアカデミー」を開校するなど精力的に活躍されています。
75歳の時には、高校卒業資格とビューティーの専門技術を両方習得できる「青山ビューティー学院高等部」をスタート。
89歳の今も第一線で活躍しながら、若い人材を育てることに力を注いでいるスーパー美容研究家です。
美容的な生き方を
「なりたいようになりなさい」は、コロナ禍に書かれました。
世界中を揺るがしたコロナ禍に、多くの人が明日への不安でいっぱいになりましたよね。自分の生き方を見つめ直した方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。小林さんもまた、自分の生き方を見つめ直し、今、自分のするべきことは何だろうと真剣に考えられたそうです。そして彼女が出した結論は、「私には美容的な生き方を伝える使命がある」ということでした。
美容という言葉について、小林さんはこう書いています。
“「美容」とは、「顔やからだつき、肌などを美しく整えること」と辞書に書いてあります。辞書には外見のことだけが書かれていますが、美容は人の内面、心の状態や生き方に大きな影響を与えます。美容で外見に働きかけることで、内面を変化させ、人生そのものも変化させることができるのです。”
なりたいようになりなさい
美容は外見を整えるだけではなく、心も整えていくことだと美容研究家は言い切ります。これを聞いたみなさんは、心を整えるといえばヨガのことだとすぐに思いませんでしたか?
「ヨガ・スートラ」にも、ヨガの一番大きな目的は心を整えることだとハッキリと書かれています。
このように、外見だけでなく心も整える美容はヨガと深くつながっているのです。
すべてをプラスに変えていく
小林さんは美容的な生き方について、こんな風に書いています。
“「美容的な生き方」とは、人の個性、目の前にある物、起きた出来事、すべてを受け入れてプラスに変えていく生き方なのです。”
なりたいようになりなさい
そのためには、○○しなければならないを捨てようと小林さんは言います。
ふとした時、つい、○○しなきゃ……って言ってしまいますよね。私もすごく言っています。ごはんの支度しなきゃ!とか、洗濯しなきゃ!とか、仕事しなきゃ!とか、もう出かけなきゃ!とか、私の毎日は○○しなきゃ!だらけです。
でも、その「○○しなきゃ」は要注意だと小林さんは言います。
“「私自身も、うっかり、「○○しなきゃ」と口走ってしまうことは正直あります。
そういうときは、自分に突っ込みを入れるのです。
「しなければいけないから、やっているの?」
「したいからする、楽しいからするんじゃないの?」と」”なりたいようになりなさい
具体的に言えば、まずは「○○しなきゃ」という言葉を、別の言葉に変えてみようと小林さんは言います。
“たとえば、「ごはんを作らなきゃ」ではなくて、「さあ、ごはんを作ろう。今日は何にしようかな? ワクワクするわ」と言葉を変える。
子どもを保育園に迎えにいくときも、「迎えに行かなきゃ」だと嫌なことを渋々やっているみたい。
それより、「うちの子、今日は何をして遊んでいたのかな。早く会いたいな」と切り替えたほうが、自分も子どもも気分がいいと思うのです”なりたいようになりなさい
「ごはんを作らなきゃ」でも、「さあ、ごはんを作ろう。ワクワクするわ」でも、やることは同じです。それなのに「ワクワクするわ」と言ってみただけで、ごはん作りが楽しいことのような気がしてくるから不思議です。
しなければならないからしているのではなくて、いつだって、どんなことだって、自分が今やりたいから、やっているんだという意識を強く持つこと。そのために、無理やりでもいいから「ごはんを作ろう。ワクワクするわ」とか、「うちの子に早く会いたいな」という楽しい言葉に変えてみること。
それだけで、自分のやらなきゃいけない仕事が、自分が楽しいからやっているワクワクするものに変わっていくのです。
“何かに束縛され、義務感で生きるのではなく、「自分が選んだ道を、楽しく生きていきたい」と思うのなら、それを言葉に表していきましょう”
なりたいようになりなさい
義務感を捨てて楽しくイキイキと生きる人は、ストレスも減って肌の状態も良くなり、美容的にもプラスになります。
そしてまた、義務感を捨て「自分の選んだ道を楽しく生きていく」ということは、ヨガ的な生き方そのものだということもできます。
ヨガの大きな目的は、縛りからの解放です。人は常識、義務感、仕事、人生観などありとあらゆるものに縛られているものですが、そうした縛りを一つ一つほどいて自由になることがヨギーの目標なのです。
そう考えてみると、美容的な生き方はヨギーの生き方そのもの。美容的な生き方は、ヨガ的な生き方だということができるでしょう。
思いやりを持つ
もうひとつの美容的な生き方は、思いやりを持って生きることだと書いてあります。
例えば、自分の肌に思いやりを持つことが大切だと小林さんは言うのです。
“自分の肌を信じること。敬うこと。
それを形にするのが、本来の美容だと私は思います。
あなたの肌が持つ素晴らしい力を信じて、毎日のスキンケアやメイクアップで肌に愛情を注いであげてください”なりたいようになりなさい
思いやりを持つ対象は、自分の肌だけではありません。もっと視野を広げていくことが重要だと小林さんは続けます。
“もっと視野を広げると、人の生き方、社会のあり方、地球の環境も、あなたの肌と無関係ではありません。
肌の細胞を作るのは、食べ物です。
日々、口にする食べ物は、自然という資源を活用しながら生産や加工をする人がいて、流通する人がいて、販売する人がいて、私たちに届きます。
目の前にある食べ物は、たくさんの人の営みに支えられていまここにあるのです。
オゾンホールの破壊による強い紫外線や、環境破壊による空気の汚れは、肌にダメージを与えます”なりたいようになりなさい
自分の肌というものは、人の営みや、地球と深くつながっている。だから、人々に感謝し、地球に思いやりを持つことが、肌を美しくすることにつながるのだと小林さんは言います。
ヨガでは、地球上の生きとし生ける全てのものに神が宿っていると考えます。一人一人の人間の中にも、犬やネコ、イノシシやカラス、木々や花や雲や石。全てのものに神は宿っています。
だから全てのものを愛し、思いやりを持ち、大事にしなさいというのは、ヨガの教えそのものなのです。ここでも、美容的な生き方とヨガ的な生き方は、深くしっかりとつながります。
そしてまた、自分の身体の細胞1つ1つの中にも神は宿っているとヨガでは考えるわけですから、肌に思いやりを持つことはこれまたヨガ的だということができるでしょう。
小林さんの本の中には、まだまだ、まだまだ、まだまだたーくさん、ヨガとつながる言葉がひしめいています。そして、読んでいると背筋がシャンと正されて、自分の選んでいるこの道を出来る限り楽しく生きていこうという前向きな気持ちになれます。
最近、暗い気持ちになっているという方や忙しくてイライラしているという方は、ぜひ、小林照子さんの本を読んでみて下さい。背筋が伸びて、気分が明るくなると思います!