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影響力があり自信に満ちていて、魅力的な声をしている人っていますよね。
一方で、人の目を気にし過ぎて自分の意見を言うことが苦手という方も多いのではないでしょうか。
ヨガでは、喉元のチャクラであるヴィシュダ・チャクラが表現力やコミュニケーション力に影響を与えると考えられています。またヴィシュダ・チャクラがうまく働けば、エネルギーの流れは良くなり他者への影響力だけでなく自己肯定感を高めることにも繋がりますが、言いたいことを言えないまま心の中に飲み込んでしまうと、それがストレスとなりエネルギーの流れも滞ってしまいます。
今回は、コミュニケーションに関わるヴィシュダ・チャクラについてみていきましょう。
喉元のチャクラ:ヴィシュダ・チャクラとは
ヴィシュダとは「清浄な」という意味です。
喉元のチャクラであるヴィシュダ・チャクラは、外部とのコミュニケーションに関わるチャクラであり、言語的なコミュニケーションとボディーランゲージの両方を司ります。
このチャクラの働きが滞ってしまうと、人間関係など社会生活での不満が高まってしまいますが、正しく機能している場合は、外部との関係によって気を乱される事がなく自分自身の内部への意識を高めることができるようになります。そのため、高い精神世界への入り口とも言われています。
また、外から取り入れるエネルギーを浄化する役割もあります。正常に働いている時は、空気清浄機のフィルターのように呼吸や飲食で取り込んだ空気を浄化して自分の内側に取り込む役割を果たします。しかし、汚い空気や不健康な食べ物を摂りすぎると、空気清浄機のフィルターが真っ黒に汚れて働かなくなるように、チャクラの機能がブロックされてしまいます。
「ヴィシュダ(清浄な)」という意味
ヴィシュダには、「清浄な」「純粋な」という意味があります。
これは、私たちの思考、言動、行動の全てを浄化することを意味しています。
ヨガでなくても、場の浄化に音を使うことは一般的です。例えば、お寺で鐘を撞くことや神社に参拝した際に行う拍手などがありますよね。
マントラを唱えた経験がある人は、その音の波動によって自身の内側が浄化されていく感覚を覚えた人も多いと思います。私たちの体の中で、発声に関係する喉元のエネルギーが浄化に関わるのも納得ですね。
「空」の要素に関わるヴィシュダ・チャクラ
ヴィシュダ・チャクラは空「アーカーシャ」の要素に関わります。
アーカーシャは空間です。空間は、あらゆるものを作り出す可能性を秘めています。
物質的なもの、思考や新しいアイディア、感情や音が生まれるすべての可能性がそこには含まれます。
インド哲学では、世界の根源を音(マントラ)だと考えます。あらゆる音の波動の変化によって、世界が変化すると信じられています。発声に関わるヴィシュダ・チャクラには、世界を創造するエネルギーが備わっていることがわかりますね。
ヴィシュダ・チャクラが整うと
喉元にあるヴィシュダ・チャクラの状態が整っている時は、以下のような特徴があります。
- 仕事でもプライベートでも円滑なコミュニケーションが取れる
- 自信を持って自己表現ができる
- 表現する言葉が明晰
- 思考や感情を分析する能力が高まる
- 自身の感情や思考を受け入れることができる
- 誠実な人間関係が築ける
- アイディアを創造する能力が高まる
- 自信に満ち、自己疑念や決断することへの恐怖が弱まる
自分を表現できるということは、他者と話すだけでなく自分自身に自分の意思を伝えることでもあります。自分自身のことを理解できることによって、その人の言葉が、明晰で自信に溢れたものになっていきます。また、クリエイティブな発想が生まれ実現する力も湧いてきます。
身体的な影響
ヴィシュダ・チャクラの位置にある甲状腺は首の前部にあり、新陳代謝、成長、脈拍や体温、自律神経の調節に重要な役割を果たしています。また、エネルギーレベルでも全体的な健康状態に影響します。
ヴィシュダ・チャクラの状態がいいと甲状腺に良い影響を与えるので、身体とエネルギーの調和が取れます。
ヴィシュダ・チャクラのバランスが崩れている時
ヴィシュダ・チャクラへのエネルギーの流れがブロックされアンバランスな状態になると、コミュニケーション能力にも悪い影響が出て自分自身や他者の声を拒否しがちになってしまいます。
内面的な影響
- 自分自身の内なる声を表現できなくなり、自分の考えや感情を伝えられずフラストレーションが溜まる
- 自分のことを誤解されていると感じる
- インスピレーションが抑制され、創造力が失われる
- 他者とのコミュニケーションで誤解が生まれ衝突が起き、断絶されていると感じる
- 深い人間関係が築けなくなる
- 自己肯定感が下がり、外部評価を極端に気にする
身体的な影響
- 喉の痛み
- 甲状腺の問題
- あごが緊張している
- 首の緊張や痛み
また甲状腺ホルモンの生産の低下により、疲労、体重増加、うつ病、倦怠感を引き起こす事があります。
逆に甲状腺ホルモンの過剰な働きによって、落ち着きのなさ、不安感、イライラ、急激な体重減少、心拍数の増加などが起こりえます。
ヴィシュダ・チャクラのバランスを整えるには
自分の内なる声を聞き、ありのままの自分を受け入れるためにもヴィシュダ・チャクラのバランスを正常にすることはとても大切です。また、ヴィシュダ・チャクラは自己表現にも繋がるため、自分の人生を創造していく能力にも繋がります。
では、どのようにして喉元のチャクラを活性化させるのか具体的に見ていきましょう。
アーサナ
サーランバ・サルワーンガアサナ(肩立ちのポーズ)やハラーサナ(鋤のポーズ)はヴィシュダ・チャクラの緊張感を取り除くのに最適なアーサナです。逆の動きであるウシュトラ・アーサナ(ラクダのポーズ)やマツヤ・アーサナ(魚のポーズ)も組み合わせて体の前後に刺激を与えていきましょう。
また、日頃からの姿勢にも気をつけましょう。スマートフォンやパソコン作業によってストレートネックになっている人は、喉元のチャクラの動きが停滞しています。
定期的に姿勢に気をつけて、疲れてきたら首のストレッチを行いましょう。
マントラ
自身の声を出してマントラを唱えることは喉元のチャクラを活性化して整えることに最適な方法です。
ヴィシュダ・チャクラのマントラは “Ham(ハム)” です。座って目を閉じ、喉元を意識しながら“Ham”を繰り返し唱えることはとても効果的です。
それ以外のマントラでも良いので、自分の内側から生まれる音に意識を向けながら唱えましょう。
呼吸法
喉元のチャクラの詰まりを取り除くためには、ウッジャーイ・プラーナーヤーマがとても効果的です。
ウッジャーイ・プラーナーヤーマでは、喉元を締め付けながら深い呼吸を行うことで強い呼吸音を出しながら呼吸を行います。
チャクラの働きを阻害している不純性を素早く取り除くことができます。
チャクラを意識しながら実践してみよう
今回は喉元のヴィシュダ・チャクラについて深めていきました。
多くの方が意識していないチャクラかもしれませんが、実はとても大切なチャクラですね。
マントラの正しい発音や、プラーナーヤーマ(調気法)は先生から学ばないと正しく行うことが難しいのですが、アーサナは意識を少し変えるだけで効果を感じやすいので、練習をする時にチャクラを意識しながら実践してみましょう。
外からの情報に左右され過ぎていると自分自身の声に耳を傾けることができません。内側から湧き上がる自身の声にしっかりと耳を傾け、それを表現できるようになりたいですね。
そのようにできればきっと、周囲との関係も良くなってくると思います。