今、瞑想が世界を変える ~なぜ今こそ瞑想が必要なのか?~

今、瞑想が世界を変える ~なぜ今こそ瞑想が必要なのか?~

ヨガを実践していると、瞑想やマインドフルネスといった言葉を耳にすることが多くなると思います。これらの概念がどこから生まれ、どのように発展してきたのか考えたことはあるでしょうか?

かつて瞑想というと宗教的なもの、あるいは少し怪しいものと見なされていた時代がありました。しかし世界を一変させたコロナ禍を経て、現在では多くの人々が「なぜ生きるのか?」という人生の根本的な問いに直面し、生きることへの意識が変わり始めています。このような時期にこそ、瞑想の価値が再認識されつつあるのです。

事実、これまで封じ込められてきたスピリチュアルな世界の扉が開かれ、私たちは死の恐怖に向き合う中で生きる意味を再考するようになりました。私たちは、こうしたコントラストの中で深い学びを得てきました。

今回は、日本や欧米諸国が瞑想の本場であるインドから受け継いだ叡智の旅を少し深掘りしてみましょう。歴史的背景を知ることで、現代において瞑想がなぜ重要なのか、その答えが見えてくるはずです。そしてその叡智に触れることが、あなたのライフスタイルやビジネスに変革をもたらし、“人生が意味あるもの”であることを再認識するきっかけとなるでしょう。

インド発祥の瞑想:心と体に深く息づく伝統

インド発祥の瞑想:心と体に深く息づく伝統
インドの僧が瞑想する様子

瞑想といえば、まず思い浮かべるのはインドですよね。ヨガの発祥地であり4500年以上の歴史を持つこの国では、瞑想は自己の内面と向き合い、悟りや解脱を目指すための重要な手段とされてきました。例えば「ヴィパッサナー瞑想」や「サマタ瞑想」は、心を浄化し平穏を保つことを目的としています。これらの瞑想法は、私たちがヨガの練習で感じる静けさや集中の源泉とも言えます。ヨガのポーズ(アーサナ)を通じて身体を整え、その後に続く瞑想で心を整える。このプロセスは、インドの伝統から受け継がれた大切な要素です。

欧米のマインドフルネス:現代社会にフィットした瞑想

欧米のマインドフルネス:現代社会にフィットした瞑想
ビジネスの現場でマインドフルネスを取り入れている様子

インドの伝統的な瞑想がどのようにして欧米で広がり、現代の「マインドフルネス」へと形を変えたのか興味深くないですか?
実は20世紀後半に欧米で紹介された瞑想法は、宗教色が取り除かれ、より実用的な「ストレス軽減ツール」として再構築されました。これが、今や多くの企業や学校で取り入れられている「マインドフルネス」です。例えば、ジョン・カバット・ジン博士が提唱した「マインドフルネス・ストレス低減(MBSR)」は瞑想の科学的効果を示し、慢性痛やストレス、うつ病の予防に効果があることが証明されています。これは、ヨガが身体だけでなく心にも良い影響を与えることを裏付ける現代の科学的アプローチでもあります。

やっぱり日本はすごかった!マインドフルネスのルーツ、実はここに…

マインドフルネスのルーツ、実はここに…
世界の中の日本のカタチ

さらに面白いのは、実はこのマインドフルネスのルーツが日本にあるということです。マインドフルネスの基礎となる「正念」は、もともとお釈迦様の教えであり仏教の八正道の一つとして知られています。
ではなぜマインドフルネスがアメリカから広まったのか、その背景を探ってみましょう。

20世紀半ば、アメリカではベトナム戦争やマーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺、ケネディ大統領の暗殺など混乱した時代が続きました。そんな中で人々は生きる気力を失い、心の安らぎを求めるようになりました。この頃、日本から渡った禅仏教がアメリカで注目を集めました。例えば鈴木大拙氏がコロンビア大学で禅を教え、続いて鈴木俊隆氏がサンフランシスコに禅センターを開設。ティク・ナット・ハン氏はベトナムとアメリカの平和運動を行い、ダライ・ラマ14世もまたマインドフルネスを広める立役者の一人となりました。

ダライ・ラマ14世は、瞑想が科学的にどう証明されるかに強い関心を持ち、脳神経科学者たちに「瞑想をすることで何が起こっているのかを証明してほしい」と依頼しました。これがきっかけとなり、瞑想の研究が進みます。その結果として、マインドフルネスがアメリカから広まりました。

しかしここで知っておきたいことは、マインドフルネスの研究がアメリカに渡る前は日本の九州大学の内科にあったということです。日本での研究費不足からアメリカに研究が渡ってしまいましたが、元々は日本がマインドフルネスの発祥地であったのです。

言われてみればマインドフルネスの特色は、日本文化のあらゆる面で見受けられます。特に禅仏教における「只管打坐(しかんたざ)」、つまり「ただ座る」ことに専念する座禅は、今この瞬間に意識を集中させるという点でマインドフルネスと非常に似ています。禅の教えに基づくこの瞑想法は、シンプルでありながらも非常に深い集中を促します。また日本の茶道や書道といった伝統文化も、マインドフルネス的な要素を含んでいます。茶道の一服に集中する時間や書道で一文字に心を込める瞬間は、まさに“今ここ”に意識を向ける実践そのものです。

今なぜ、瞑想が必要なの??の答え…それは、実は…

忙しい毎日を送っていると自分自身を見失いがちです。周りからの評価や外側のものに振り回されるあまり、本来の人生の目的からズレてしまうことが多々あります。これが多くの人々の悩みの原因となっているのです。

私たちは自分が進むべき道から外れてしまったとき、様々な形でサインを受け取ります。それは病気やケガ、事故といった形で現れることもあります。そしてそのサインを無視し続けると、次第にその警告は強まり「早く気づいて!」と言わんばかりに大きな問題へと発展することもあります。

困ったことに本来のあなたの生きるべき道は、心の騒がしさや外的な影響によって覆い隠されていることが多いのです。事実、自分がやりたいことや好きなことをやって生きている人はごく稀ですね。ですが・・・それは、これまでの時代でした。

これからの時代は、本来の道を歩んでもよいのです。だからこそ、心をクリアにして雑念を取り除く瞑想が必要なのです。「忙しい」という言葉は「心」を「亡くす」と書きます。心を穏やかにして静かで平和な状態にすると、あなたが進むべき道は“頭”ではなく“ハートの中心”から湧き上がってくるのです。その感覚にぜひ、意識を向けてみてください。

1分瞑想から始まる「何事も静かな心から生まれる」―あなたのヨガに瞑想を取り入れるヒント―

ここまで読んで、瞑想に対する理解が少し深まったのではないでしょうか?瞑想が苦手で続かない人は、たった1分から始めてみてはいかがでしょうか?

「何事も静かな心から生まれる」・・・これはかつてスティーブ・ジョブズ氏が言った言葉です。
ヨガの練習に瞑想を取り入れることで、体だけでなく心も整えることができ、日々の生活にさらなる充実感をもたらしてくれます。瞑想はただ目を閉じて座るだけのように思えるかもしれませんが、“今ここ”に意識を向けると、過去、現在、そして未来が同時に流れていることに気がつくでしょう。その背景にはインドから日本、さらに世界へと広がった豊かな伝統が息づいているのです。

追伸:
次回ヨガをする時には、ぜひ少し時間をとって瞑想してみてください。忙しい日々の中で一呼吸おいて内側に意識を向けることで、新たな生きる意味を見いだせるかもしれません。あなたのヨガがもっと特別なものになるはずです。