手を繋いだ人型に切られた切り絵

ヨガで人間関係もマインドフルに生きる

ヨガでは、今この瞬間に意識を向ける練習をします。すると多くの人が、日常生活の中でも食べることや部屋の環境などに対して、自然とマインドフルな生き方ができるようになります。そしてマインドフルに生きることで、幸福感を感じやすくなる人も増えています。

しかし、多くの人が最後まで手放せないものがあります。それは、人間関係の悩みです。

ヨガの練習で、今この瞬間に意識を向けることができるようになってきたら、人間関係においても少しずつマインドフルを応用してみましょう。

マインドフルは人間関係にも大切

真ん中で千切れた赤いハートの紙を持つ人の手元

ヨガを練習している人の多くが、自分と向き合うことによって生きやすくなったと感じています。しかし、多くの人が最後まで手放せないのが人間関係の悩みです。

特に、家族や毎日顔を合わせる職場の人のような身近な人に対して、ストレスを感じていることが多いようです。大切な人や関係性が近い人とほど、衝突が起きやすいのはどうしてなのでしょうか。

私たちの多くは、同じ家に住む家族などに対しては「私はこの人のことをすでに理解している」と思いがちです。「すでに知っている」と感じている相手に対しては、相手の話を聞いているつもりでもちゃんと聞けていないことがあります。あるいは、以前の経験をもとに「こういうことだよね」とイメージで理解しようとします。この思い込みが危険です。

どんな時でも、自分と相手の両方に、しっかりと向き合ってみましょう。

人間関係がうまくいかない時は自分自身を観察する

職場で暗い表情で考え込む女性

家族やパートナーと上手くいっていないと感じる人の中には、「他の場所での人間関係は問題ないから、私のことを理解してくれない家族が悪い」と、思っている人もいるのではないでしょうか。また、同性の友達からは人気があり、誰とでも仲良く出来る人が、パートナーとは揉め事ばかりという場合があるかもしれません。そんな時は、「この人だけが私を理解してくれない」と感じてしまうかもしれません。

「本当は一番理解し合いたい」と思う人とほど、うまくいかないのはどうしてなのでしょうか。

関係が近く一緒に過ごす時間が多いほど、「すでに知っている」が当たり前になってしまいます。自分自身についても「前にも言ったから分かっているはず」と考えてしまいます。

友人や初対面の人に対しては丁寧に状況や自分の気持ちを説明する人でも、関係性が近い人には言葉足らずになっているかもしれません。

例えば、付き合いの長いパートナーに食事に誘われた時、忙しければ「仕事だから無理」と一言で返してしまう人もいるでしょう。しかし、出会って間もない、これから仲良くなりたい相手に対しては少し丁寧に説明しますよね。「職場で体調不良の人が多くてカバーしているから、本当は行きたいけれど2週間くらいは難しそう。」などと状況を丁寧に説明すれば、嫌な気持ちになる人はいません。本当は行きたいという気持ちを伝えないと、「いつも仕事優先で自分には興味がない」と相手に思わせてしまいます。

人間関係においても、自分自身の観察が必要です。

良い関係が築けている相手といる時、そうでない相手といる時の自分の姿を知るところから始めてみましょう。

相手の変化に気が付けるようにマインドフルになる

手を繋いで歩きながら子供に向かって微笑む女性

マインドフルな生活を楽しんでいる人は、些細な変化に気がつくことができます。

例えばコーヒーが好きな人は、マインドフルに味わうことで小さな変化も見落としません。同じコーヒー豆で淹れても、わずかなお湯の温度の違いやドリップの速度で全く違う味わいになることや、コーヒー豆を開封した日の味と1週間経った時の味の変化にも気がつきます。

そんな繊細な感覚を持った人であっても、なぜか自分の大切な人の変化には鈍感になってしまいがちです。

例えば、いつもは全くお手伝いをしない子どもが反省して、自らお手伝いをしようと考えたとします。普段はやっていないので勝手が分からず、母親に「お皿洗った?」と聞きます。母親は、「私が忙しいのは見ればわかるでしょ!まだ洗っていないよ。たまには自分の使った食器ぐらい洗ってちょうだい!」と、ぶっきらぼうに答えてしまうかもしれません。せっかく自分からお手伝いをして褒めてもらいたいと思っていた子どもは、「今やろうと思っていたのに、言われてやるみたいで嫌だ」と思ってしまいますね。

ちゃんと観察できていれば、いつもよりも恥ずかしげに話しかける子どもの姿に気がつけたかもしれません。しかし「この子はお手伝いしない子」という思い込みが、誤解を生んでしまいます。

身近な人も、常に変化していることに気がつけるようになりましょう。

仕事や学校で嫌なことがあれば、関係のない相手に当たってしまうこともあるかもしれません。おしゃべりな人でも静かにしたい時もあれば、寡黙な人でも自分の気持ちを伝えたい時もあります。

自分が大切に思う人に対してこそ、相手の些細な変化に気づくようにしたいですね。

向き合うことから逃げないようにする

ヨガは、良い部分も悪い部分も含めて自分に向き合うためのメソッドです。

ヨガに誘っても、断固として嫌がる人が身近にいるとします。そんな人の中には、身体が硬い人が多いですね。苦手なことをするのは怖いことです。

自分自身のことで考えても、アーサナ(ポーズ)の練習を1ヶ月サボってしまったら、再開するのはとても億劫になると思います。その理由は、練習をしなかったことで身体が硬くなった事実に向き合うことが苦しいからです。

誰でも自分の弱い部分、苦手なことに対峙するのは苦しいと感じますが、弱い部分と向き合うことで始めて根本的な解決に繋がります。

人間関係に戻りましょう。

たまたま道ですれ違って二度と会わないであろう人に嫌われても、ショックはそれほど大きくないと思います。しかし、毎日顔を合わす人や一生繋がりを持ちたい人との関係は、大切だからこそ自分にとっての弱点であるので、向き合うことが困難です。

すれ違いが起きていることに気がついていても、そこに対峙することができず完全に壊れるまで放置してしまいます。

過去の感情ではなく、その瞬間を言葉にする

人間関係がうまくいかない時は、過去のイメージのまま相手と付き合っていることが多々あります。

例えば、出会った当初は優しかったのに、今は自分を大切にしてくれない相手に対して「いつかあの時に戻ってくれるはず」と盲目的になりすぎる人がいます。

逆に、以前嫌な思いをさせられた相手に対して、今、その人がどれだけ親身になろうとしてくれていても「この人は本当は悪い人だと私は知っている。騙されるものか。」と思い込んでしまいます。

一度覚えたイメージを払拭することはとても難しいことですが、しっかりとその瞬間に意識を向けて、昨日ではなく、今日の自分と相手を感じられるようになりたいものです。

ヨガを人間関係にも活かす

海辺で夕日に向かってヨガをする女性の背中

人間関係に、王道のテクニックはありません。

社交的な礼儀や多くの人が喜ぶ言葉は人間関係を築く初期ではとても重要ですが、最終的に深い関係を築くためには相手としっかり向き合う心が大切です。

ヨガでも、最初は基本のポーズの形から覚えます。そして徐々に、自分の体に合ったオーダーメイドのポーズが何かを学んでいきます。そのプロセスを自分以外の人にも応用できると、人間関係も怖くなくなります。

健康に気を遣っていても自分の身体が不調な時があるように、他者も私の言動に関係なく不機嫌な日もあります。変化することは当たり前のことです。変化を受け入れられるようになると、不安は弱まっていきます。

まずは、正直に自分の感じたことを言葉にする練習をしてみましょう。

  • 何かを嬉しいと感じた時には、正直に感謝を言葉にする。
  • 嫌だと思った時には、その気持ちを伝える。
  • 一緒にいたい相手には、その好意を伝える。

最初は「ありがとう」の一言を口にすることさえ、気恥ずかしいと感じる人もいるかもしれませんが、親しい相手との関係こそ大切に築いていきたいですね。

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