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「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉を聞いたことがありますか?
ヨガをしている方であれば、きっと耳にしたことがあるかもしれませんね。でも、「大切そうだけど、生き方にどう活かせばいいのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
私が伝えたいのは、ウェルビーイングは知識だけではなく、体感であるということです。もちろん、言葉としての意味を知ることは大切です。でも、それだけでは本質に届かないのです。むしろ、頭で理解することにとらわれすぎると、逆に自分の中にブロックを作ってしまうことさえあるのです。
今回は、ヨガやマインドフルネスと深い親和性をもつウェルビーイングについてお話ししたいと思います。なぜなら、これを理解することは、これからの時代を生きるうえでとても大切な鍵になるからです。
そして、「私は、なぜヨガをしているのだろう?」といった問いへの答えが、きっとこの中に見つかるはずです。
ウェルビーイングへの理解は、ヨガの本質をより深く感じるための大切な一歩にもなるのです。
「知っている」と「わかっている」の違い

たとえば、「呼吸を整えると心が落ち着く」と知っている人は多いでしょう。でも、それを実際に体験し、自分の内側が静まっていくのを感じたことがある人は、それを本当の意味でわかっている人です。
「感謝は大切」と口にすることは簡単です。でも、ふとした瞬間に胸があたたかくなって涙があふれてくるような、そんな感謝を味わったことがある人にしか、その本質はわかりません。
知識として理解しているだけでは、人生には変化は起きません。しかし、体感としてそれを味わいはじめた瞬間、あなたの現実が少しずつ変わりはじめるのです。
内なる感覚を「ナビ」にして生きる

知識は便利です。役に立つし、安心感もあります。でも、そこにとどまり続けると、ときに「こうあるべき」「こうしなければならない」といったブロックを生み出すこともあります。
だからこそ、今ここで問いかけてみて欲しいのです。
私の中のウェルビーイングって、どんな感じだろう?
愛ってどんな質感?
許しって、どんな温度?
色にたとえると何色?
形にしたらどんな形?
肌で感じると、どんな感触?
そうやって、自分の内側の感覚に静かにふれていくことが、“あなた”を頭の中の牢獄からそっと解き放ち、ハートで生きる方向へと優しく導いてくれるのです。
もう、あなたは思考の檻の中にとどまる必要はありません。あなたの“感じる力”が、すでに扉を開いているのです。
日常のすべてが「入り口」になる
たとえば、朝コーヒーを淹れるとき。仕事の合間にひと息つくとき。家族と会話を交わすとき……
その瞬間、「私は今、ウェルビーイングな状態だろうか?」と自分に問いかけてみてください。
焦っている?落ち着いてる?それとも、ただ無意識に「やることをこなしている」だけ?
そして、もし「今、心地よいな」と感じられたなら、その感覚を持ったまま次の行動へ進んでください。ウェルビーイングの体感を持って、コーヒーを淹れる、誰かと話す、仕事に向かう、など……
Doing(行動)ではなく、**Being(在り方)**を基準にするだけで、あなたのエネルギーは静かに、でも確実に周囲に伝わっていきます。
言葉を超えて、深くつながる
ハートで生きるということは、言葉を超えて人とつながることでもあります。
相手の話の奥にある感情や、言葉にならない「想い」の深層に耳を澄ませることで、表面的なやりとりでは得られない信頼や共感が生まれるのです。
ウェルビーイングを体感として生きるようになると、言葉を超えた人間関係が育っていきます。私たちは、普段「相手が何を言っているのか」「どんな表情をしているのか」に注意を向けがちです。でも本当は、その“奥”にある本質、すなわち「この人は今、こう話しているけれど、本当はこんなことを大切にしている」といった、そんな内側の“声”に気づけるようになるのです。それは体感と五感をフルに使って感じ取る力であり、目に見えない部分に丁寧に寄り添う感性が育っているからです。
私自身、カウンセリングの現場でこの感覚をとても大切にしています。相手の言葉の裏側にある“感情の波”や“痛み”、“願いのような想い”にふれることが、本当の意味で人とつながるということなのです。
たとえば、仕事の作業やプロジェクトをしているときでも、ただ「やるべきこと」をこなすのではなく、その奥にある喜びや意図を感じながら動くということが大切です。
「この作業をすることで、どんな喜びが生まれるのか?」
「この行動が、自分や誰かのどんな幸せにつながるのか?」
そうした“見えない本質”を感じながら行動できる人は、これからの時代、とても大切な存在になっていくでしょう。
目に見えること・聞こえることだけではなく、その奥にある“意味”や“スピリット”を感じ取ること。
それが、ウェルビーイングを体感しながら生きるということであり、これこそが、これからの時代の“つながり方”なのです。
私はカウンセラーとして多くの方と向き合ってきましたが、本当に大切なのは、「何を言っているか」ではなく、「その奥にあるものを感じ取る力」だと確信しています。
ハートが「Yes」と言う方向へ
あなたの内側には、いつでもナビゲーションがあります。それは、知識や理屈ではなく、「今、心地いい」「なんか惹かれる」という感覚です。誰かが何を言おうと、外の情報がどうであれ、あなたのハートが「Yes」と言うなら、それに従っていいのです。
それが、あなたと本当に深くつながる道であり、あなた自身を生きるということなのです。
ウェルビーイングに「生きる」こと
ウェルビーイングは、どこか遠くにある理想ではありません。それは、あなたの内側にすでに“ある”感覚で、静かに息づいているあなた自身の本質です。
頭から、ハートへ。
外側の評価から、内なる感覚へ。
「こうあるべき」から、「今、どう感じている?」へ。
その“重心のシフト”が、あなたの人生をやわらかく、力強く、本来あるべき姿へと、還していってくれるのです。
いま、あなたの内側にはどんなウェルビーイングが流れていますか?
ほんの少し目を閉じて、その感覚にそっと浸ってみてください。それは、いつもあなたと共に在るのです。
次回もウェルビーイングについて、さらに深めていきたいと思います。
このテーマを知ることで、より多くの方が喜びと幸せに満ちた日々を生きられるようになることを、心から願っています。どうぞ、次回もお楽しみに。