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第2回のテーマは「女性の体と妊娠」
爆発的なヨガブームから次第にライフスタイルとして定着してきたヨガ。特に女性にとっては美容・ダイエットから、自分の心と体の調和やストレスとうまく付き合う1つのエッセンスとなってきているのではないでしょうか?
そこでヨガジェネレーションでは、ヨガの指導者として女性の体と心に寄り添い、第一線で活躍を続ける、産婦人科医 高尾美穂先生とサントーシマ香先生にヨガのこと、女性の心と体のこと、そして指導者としてのこれからなどをお話頂くスペシャル対談を行いました。
第2回のテーマは「女性の体と妊娠」です!
現代女性は妊娠・出産のタイミングに悩んでいる?
診察に来てくれた方には直接そのことを伝えられるけど、実際にこういう風に考えている人は多いんじゃないでしょうか。
身近な人だとなかなか言いづらくて、本当にやんわりとしかそういうことが伝えられないですよね。でも同時にその一言、多少お節介に感じるかもしれないけど、それがすごく大事だと思います。「意外と子どもってすぐに出来ないんだよ」という言葉は「へえー、そうなんだ」ってなると思うし、それは言ってあげてほしいと思う。
「不妊」について
でもどうしたらいいかではないし、自分自身がそこのレベルでアドバイスをする存在じゃないですし。でもみんな、辛い経験や今子どもが欲しくて不妊治療をしていますという話をすごくよく聞きますね。
そういう意味でヨガの先生と高尾先生のようなお医者さんとの棲み分けがすごく大事だと思っていています。
それに排卵日にトライすればいいと思っていても排卵日が不規則というケースはありますからね。
今回の排卵日を逃すとまた1ヵ月後となるし、でもそれほど多くトライしていないにも関わらず次の生理で出血が始まるとがっかり、という方は多いですね。
まずはその気持ちのアップダウンの幅を小さくしてあげることでずいぶん楽に過ごせると思います。期待する気持ちはいいんだけど、そのあと下に落ちてしまう気持ち、そのボトムを上げてあげるというのが楽に生活していく方法じゃないかなと思うので、そこをヨガでどうにか出来ないかなと思っています。
そこで問題になる前に自分の健康の底上げをしてあげる、月経サイクルを整えたりだとか、便秘を解消したりだとか、食事とかライフスタイルとか。
それは更年期にしても不妊治療しても言えることで、問題が現れる前に何かしてあげることが大事だと思います。時間もかかりますよね。
妊娠したからヨガをするんじゃなくて、いつか妊娠したいと思っているんだったらヨガしようよ!って思いますね。そうすると、妊娠しようと思っているんだったら今吸ってるタバコを止めようってなるだろうし、妊娠したから赤ちゃんにいいものを食べるんじゃなくて妊娠する前の自分にいいものを食べるべき。
いいものって言うのは、すごく高いものとか、完全なマクロビとかじゃなくて、たんぱく質やビタミンなどをバランスよく、それこそ昔から良いと言われていること、腹八分目とか、減塩とか、お酒を控えめにするとか、そういうことを少しでも意識できるかが、すごく大きく違ってくると思います。
でも絶対にオーガニックやマクロビだけと決めてしまう必要もないと思います。
きちんと自分の中で選択をすることが重要ですね。今日は時間があるかいいものを作って食べよう、今日は忙しくて時間がないからコンビニや外食にしよう、と自分で理由をもって選ぶことがまずは必要。
そのうち妊娠したいという想いがあるのならその時から頑張るのではなく、その前から助走期間を作って生活を見直すことが大切だよね。
男性ができることとは?
タバコなど身体に悪いものがない環境、大事なパートナーにストレスを与えない環境とかかな。あとは食事もバランス良くね。
そんな話をみんなにする時にはいつもこう言ってるんですが、生理が終わってから排卵日まで、排卵日の前と後では前の方が妊娠しやすいの。だからこそ排卵チェッカーなどを上手く活用して、排卵日までの期間になるべく多くトライすることが大切だと思います。
ピンポイントではなくその期間に頻回にトライすることで、旦那さんにとってもプレッシャーを減らせるのではないかな。
女性の体は野生的!?
女性ホルモンの波に乗って自然と妊娠しやすい心と体になっていくんですね。
人間も動物だから排卵日の前後は妊娠しやすいように、心も体も全てが変わっていくはずなの。だからこそ排卵期のおりものはサラサラで精子が子宮にのぼっていきやすいように変化するの。
逆に排卵が終わった後のおりものっていうのは、雑菌や他の精子やってくるな!となって、ぽてっとしたおりもので蓋をする。それくらい体は変化しています。
ある下着メーカーの調査によると排卵前の女性のヒップの位置は生理中のヒップの高さより5cmも高いというデータがあるそうだよ。
本当に本来は人の体って自然のまんまなんだよね。
今って性差があまりないと言われていますが、女性にとってあの感覚は本来の心の状態に近いのかなって思います。現代は特にそんな状態ではいられないような生活環境や職場環境だったりして、その状態が女性であっても抑制されているんだろうなって感じます。
月経サイクルを整える、便秘を解消する、食事やライフスタイルを見直すなど特別なこと、偏ったことではなく日常の小さなことからまずは取り組むこと。
同時に女性ホルモンや月経の起こる仕組みを正しく理解することで妊娠の確率を高めることができるのではないでしょうか。
プロフィール
高尾美穂|Miho Takao
産婦人科専門医・医学博士・イーク表参道副院長・
スポーツドクター・Gyne Yoga主宰
東京慈恵会医科大学大学院修了後、慈恵医大病院 産婦人科助教、東京労災病院 女性総合外来などを経て現在イーク表参道
副院長を務める。大学病院では婦人科がん(特に卵巣がん)を専門としていた。得意分野は女性スポーツ医学、婦人科内分泌。日々、婦人科外来診療・分娩などに携わっている。
幼いころよりスキー、乗馬、ソフトボール、テニス、サーフィンなど様々なスポーツに親しむ。2003年にヨガと出会い、練習をはじめる。ケンハラクマ師に師事。
IYC アシュタンガヨガプライマリーシリーズ指導者養成修了
IYC アスリートヨガ指導者養成修了
IYCウェルエイジングヨガ特別監修を担当。
日本マタニティヨーガ協会マタニティヨーガ指導資格を持つ。
婦人科医として、手術はもちろんのこと抗がん剤、放射線療法、緩和ケアを含む終末期医療など大学病院で学び、実践してきたばりばりの『西洋医学』をベースとし、趣味が高じた『yoga』、アンチエイジング医学、漢方をはじめとした東洋医学、栄養学、スポーツ医学それぞれを総合的多角的に用い、女性がよりよく歳を重ねていけるようさまざまな角度からサポートしていくことをライフワークとしている。
サントーシマ香|Kaori Santosima
学生時代よりモデルや女優などの活動をおくり、生真面目な性格もあって心身のバランスを崩す。
試行錯誤を続ける過程で自然療法に興味を抱き、出会ったヨガに夢中になる。
2002年カリフォルニア移住後、インド古来の総合的なヨガ、
アーユルヴェーダ、ヨガニードラ、ヨガセラピーを学び、Berkeley市のスタジオYoga Mandalaにて英語でクラスを教え始める。
2008年の帰国後もアメリカやインドなどを度々訪れ、
海外のシニア・ティーチャーとの研修を積み重ねている。
数々の素晴らしい先生方との出会いと、自己練習を通じて得た気づきを生かし、自らが充足し、満ちあふれた調和のエネルギーが作為なく周囲に広まっていくような、現代人の毎日を
支援するためのツールとしてのヨガが広く役立つように情熱をもって活動している。一児の母。
著書に自宅で取り入れやすいヨガ練習を提案する「カラダが 変わる たのしい おうちヨガ」高橋書店
「サントーシマ香のムーンサイクルヨガDVD (2014)」竹書房など
NHK第一ラジオ「すっぴん!」内で「ゆる~りヨガ」(2012春~2013年3月末終了)
オハナスマイルヨガ講師養成講座、スピリットヨガ講師養成講座、ビーヨガ講師養成講座など